400年以上の時を経て、今も発展し続ける砂糖と菓子のストーリー 「砂糖文化を広めた長崎街道 -シュガーロード-」日本遺産認定 ~長崎県ではカステラや出島和蘭商館跡など24件が構成文化財に~
長崎県長崎市、諫早市、大村市と、佐賀県および福岡県の関係市が申請した「砂糖文化を広めた長崎街道 -シュガーロード-」が、2020年6月19日(金)、文化庁認定の「日本遺産」※に選定されました。これを記念し、日本橋長崎館では、2020年8月12日(水)から8月31日(月)の間、長崎街道沿いの砂糖文化を受け継ぐ県内の商品を紹介する「シュガーロードコーナー」を設置します。
※日本遺産(Japan Heritage)について:https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/nihon_isan/
※日本遺産(Japan Heritage)について:https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/nihon_isan/
長崎街道「シュガーロード」は、小倉と長崎を繋ぐ全長228kmにおよぶ、山を越える道程が多い険しい街道です。室町時代末頃から江戸時代、西洋や中国との貿易で日本に流入した砂糖は、日本の人々の食生活に大きな影響を与えました。なかでも、海外貿易の窓口であった長崎と小倉をつなぐ長崎街道沿いの地域には、砂糖や外国由来の菓子が多く流入し、独特の食文化が花開きました。現在でも、宿場町をはじめ、当時の長崎街道をしのばせる景観とともに、個性豊かな菓子が残されています。
このように砂糖や菓子と関わりが深いことから、長崎街道沿いの地域は、近年、シルクロードになぞらえて、砂糖の道「シュガーロード」という愛称を得ています。「シュガーロード」をたどると、長崎街道の歴史だけでなく、400年以上もの時をかけて発展し続ける砂糖や菓子の文化に触れることができます。
日本遺産に認定されたストーリー「砂糖文化を広めた長崎街道 -シュガーロード-」を構成する文化財は全52件です。本県では、「長崎街道」および、長崎市の「出島和蘭商館跡」「崇福寺」、「カステラ」、「有平糖」など、諫早市の「大村街道」「諫早おこし」「諫早おこし道具」など、大村市の「松原宿」、「へこはずしおこし」、「おこし製造道具」、「大村寿司」など、計24件が構成文化財に認定されました。
「シュガーロードコーナー」概要
【期間】:2020年8月12日(水)から8月31日(月) 10:00~20:00
【場所】:日本橋長崎館(中央区日本橋2-1-3アーバンネット日本橋二丁目ビル1階)
【内容】:シュガーロード沿いの砂糖文化を受け継ぐ県内のお菓子の展示・販売
「砂糖文化を広めた長崎街道 -シュガーロード-」構成文化財を一部ご紹介
■出島和蘭商館跡(長崎市)
江戸時代、日本とオランダの唯一の交流場となりました。オランダから輸入された砂糖は荷揚げ・計量され、出島内の砂糖専用の蔵に収められました。西洋の物産や文化を日本に伝える、起点となった地です。
■カステラ(長崎市)
16世紀の南蛮貿易により、ポルトガルから日本へもたらされました。寛永元年(1624)創業とされるカステラの老舗・福砂屋の初代・寿助は、ポルトガル人から製法を学んだとされています。
■有平糖(長崎市)
ポルトガルから伝わった、砂糖と水のみで作られる砂糖菓子。有平糖はポルトガル語で砂糖菓子という意味です。
■へこはずしおこし(大村市)
黒糖と自家製の水飴を用いたおこし。延宝7年(1679)に中国の欣済上人に伝えられて以来、その製法を守り続けています。
■大村寿司(大村市)
戦国時代、領主大村純伊が戦いに敗れた後、領地を取り戻し、それを喜んだ領民たちが、ご飯と具をもろぶたに詰めた押し寿司を出したのが始まりです。
■諫早おこし(諫早市)
佐賀藩の大規模な干拓と米の増産による余剰米と、街道沿いの地域で手に入れやすい砂糖を用いて作られたのが始まりです。
■小城羊羹(小城市)
小豆やインゲン豆が作られ、小城の名水があったこと、鍋島藩の城下町で茶道文化が発達したことから、この地で羊羹づくりが盛んになりました。
■丸ぼうろ(佐賀市)
「ボーロ」はポルトガル語で「ケーキ」を意味します。17世紀後半、ポルトガルの菓子をオランダ人や中国人から学んだのがはじまりと言われています。
■千鳥饅頭(飯塚市)
カステラ生地に白あんを入れることを思いついたことから生まれました。「水鏡せると伝ふる天神のみあしのあとに千鳥群れ飛ぶ」という菅原道真の故事から名づけられました。
「砂糖文化を広めた長崎街道 -シュガーロード-」主な構成文化財
■全域:長崎街道
■長崎市:出島和蘭商館跡、長崎くんちの奉納踊、カステラ、有平糖(あるへいとう)など
■諫早市:諫早おこし、諫早おこし道具
■大村市:へこはずしおこし、おこし製造道具、大村寿司
■嬉野市:嬉野市塩田津(国選定重要伝統的建物群保存地区)逸口香(いっこっこう)、金華糖など
■小城市:村岡総本舗羊羹資料館、普茶料理、小城羊羹など
■佐賀市:丸ぼうろ、寿賀台(すがだい)、菓子仕方控覚(鶴屋文書)など
■飯塚市:名菓ひよ子、千鳥饅頭、なんばん往来など
■北九州市:福聚寺(ふくじゅじ)、常盤橋(ときわばし)、小菊饅頭、金平糖、くろがね羊羹など
砂糖の普及で生まれた長崎街道沿いの個性豊かな菓子と食文化
砂糖の普及以来、長崎街道沿いでは西洋・中国に起源を持つ多彩なお菓子が作られ続けています。砂糖・卵・小麦粉を使ったお菓子、西洋の製菓技術をヒントに引釜で焼き上げたカステラなどのお菓子、中国人から製法を習った米と砂糖を合わせたお菓子などが作られました。長崎街道沿いでこれら外国由来のお菓子が作られたのは、各地の菓子職人が長崎へ直接製法を学びに訪れることができたからです。江戸時代に長崎街道沿いの地域を治めた黒田氏・鍋島氏藩領には、砂糖や海外由来の菓子文化が残されており、両氏が長崎警備を務めたことから、長崎で優先的に砂糖を買い付けることができたと考えられています。
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