ベネッセ シニア・介護研究所 「人生100年時代」におけるご高齢者のウェルビーイングの年代による変化について日本老年行動科学会第25回青森大会にて発表
90代のウェルビーイング低下、年代ごとに関連する要因の影響に違いがあることを示唆
株式会社ベネッセスタイルケア(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:滝山 真也)の社内シンクタンクであるベネッセ シニア・介護研究所は、「人生100年時代」におけるご高齢者のウェルビーイングの実態を知るために、60代から90代の方を対象にしたアンケート調査を行いました。
調査方法:郵送によるアンケート調査
調査実施時期:2023年2月17日~2023年3月6日
調査対象者:日本能率協会総合研究所にモニター登録している日本全国の60代から90代の方(本人の意思でアンケート回答可能な方のみ)
有効回答者数:419名
主な調査項目:ウェルビーイング指標(精神的健康・生活満足度・協調的幸福)、過去回想傾向、未来展望傾向、地域への愛着度、性格特性、デモグラフィックデータなど
ウェルビーイング(well-being)とはwell(よい)とbeing(状態)からなる言葉で、世界保健機関(WHO)では、ウェルビーイングのことを「個人や社会のよい状態。健康と同じように日常生活の一要素であり、社会的、経済的、環境的な状況によって決定される(翻訳)」と紹介しています 1)。
ご高齢者のウェルビーイングの実態や加齢による変化を知ることは、「人生100年時代」を豊かに生きるためのヒントが得られるだけではなく、社会全体としてご高齢者のより良い生活をサポートするうえでも重要になります。調査の結果、以下のことが明らかになりました。
①ウェルビーイング関連の指標である精神的健康(図1-A)や生活満足度(図1-B)、協調的幸福(図1-C)は90代において低下する
②過去の楽しい思い出を回想するポジティブな回想は年代が上がるごとに向上する(図2-A)
③未来に対する前向きな気持ちや希望を持つ前向きな未来展望は90代で低下する(図2-B)
④地域への愛着は80代まで向上するが、90代になると低下する(図2-C)
⑤過去や未来への向き合い方、地域への愛着がウェルビーイング関連指標に及ぼす影響は年代ごとに異なる
これらの結果から、特に90代における精神的健康・生活満足度・協調的幸福の指標で見たウェルビーイングの著しい低下をどのように防ぐのか、「人生100年時代」の最終章に向けてウェルビーイングをどのように考えるのかという課題が見出されました。また、ご高齢者の生活環境の設計や関わり方を考える際に、ウェルビーイングに影響を与える各種要因が年代ごとに異なることを考慮する必要性が示唆されました。
上記成果は、2023年9月23日~24日に弘前大学大学院保健学研究科にて開催された日本老年行動科学会第25回青森大会において、「高齢者のウェルビーイングとそれに関与する要因の加齢による推移」(筆頭発表者:岡部祥太)と題して発表しました。
ベネッセスタイルケアは、これからも「その方らしさに、深く寄りそう。」を実現するための調査・研究を推進し、広く発信してまいります。
1)引用:World Health Organization. “Well-being”. Health Promotion Glossary of Terms 2021, 2021, 10p.
ベネッセ シニア・介護研究所
https://www.benesse-style-care.co.jp/lab/
本内容に関するお問い合わせ
株式会社ベネッセスタイルケア 社長室広報 TEL 03-6836-1111
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