【医師アンケート調査】「腹腔鏡手術をはじめとする難易度の高い先進医療」について医師はどう考えているか?
【Q1】群馬大病院や千葉県がんセンターの問題と、同じような事例の経験はありますか?
―医師全体の約4割、外科医の半数以上が、「問題が起きたことがある、または危機感を感じたことがある」と回答
質問:難易度の高い腹腔鏡手術や医療を行う上で、先生ご自身または先生の周りで、同じような事例が起きたり、起きるかもしれないと感じたことはありますか
【Q2】こうした問題を防ぐことができない要因となっているものは?
―半数以上の医師が、「専門が細かく分かれているため、他科の診療方法が分かりにくい」と回答
質問:今回の問題では、周囲の医師が危機感をいだいていたのに、執刀医や上層部が事態を拡大させてしまったり、そもそも病院の審査体制が機能していなかったなどの指摘が出ています。この事例は氷山の一角だという医師や専門家もいますが、先生の周りではどのような現実があると感じますか。(複数選択可)
【Q3】「患者の安全」と「医療の進歩」どちらが重要か?
―6割以上の医師が、「患者の安全」が重要と回答
質問:難度の高い治療が行われることにより、その安全性が確認され、医療技術が広がっていく側面もあると言われています。患者の安全と医療の進歩を考えたとき、どちらがより重要だと思いますか?
■理由(回答の一部を抜粋)
「患者の安全」が重要
・医療の進歩も患者の安全のためだから。(50代、循環器外科)
・腹腔鏡は低侵襲ということで行われているので、それで危険性が高まるのなら本末転倒です。(30代、呼吸器外科)
・患者の安全を確保した医療でなければ進歩は必要ない。(50代、一般外科)
・医学の基本は,あくまでも患者第一。(60代、循環器内科)
・患者はモルモットではない。(50代、消化器外科)
・絶対に安全な医療行為などありませんが、それでも安全を考慮した医療行為、選択は重要です。(40代、小児科)
「医療の進歩」が重要
・安全のみを優先していては進歩がない。(40代、整形外科)
・将来多くの人を救える。(30代、整形外科)
・安全は無視できませんが、リスクを込みで挑戦を続けない限り、進歩が期待できないと考えます。(40代、膠原病科)
・安全に過剰な配慮をすると進歩は望めない。(50代、小児科)
「どちらともいえない」
・安全、進歩ともに必要! 報道の仕方により、医療技術の進歩が止まることが心配。(60代、一般外科)
・この2つの微妙なバランスは、是非について言及すること自体がその均衡を崩すものだから。(30代、形成外科)
・患者の安全は重要だが、歴史的にも術式の発展には犠牲者がいたのは事実。(40代、循環器外科)
・十分な情報提供の上での合意があれば対立する概念ではないから。(40代、精神科)
・両者のバランスを考える必要がある。(40代、総合診療)
【Q4】今後の「インフォームドコンセント」のあり方についての医師の意見
質問:今回の問題では、患者に事前に、手術のリスクや他の治療法をしっかりと説明していなかったとも言われています。インフォームドコンセントの重要性が改めて注目されていますが、一方で、今後さらに高齢化が進む中、治療法などを十分に患者に理解してもらうことは難しくなるという指摘もあります。先生ご自身のお考えをお教えください。
- しっかり説明していても、全て証拠として残すのは無理がある。文章で残しても理解されていなければ、意味がなく、最後は信頼関係を築けるかどうかである。(60代、乳腺・内分泌外科)
- インフォームドコンセントに対する教育を医学生のときに実地で体験するべきだと思います。(40代、整形外科)
- 繰り返し説明しても、「お任せします」的な回答も多く、患者サイドがよく理解されていない場合も多い。重ねて説明には努めるが、日本は欧米とは違い自己判断での決断に慣れていない事も実際の臨床現場の悩みであり、今後さらに時間がかかるものと考えます。(50代、一般外科)
- 家族、医療スタッフの同席はもちろんであるが、書面にて残すことが重要になってくると思う。(40代、脳神経外科)
- 患者によって理解も変わってくる。術前の説明用紙を統一して、それに従って分かりやすく説明するしかない。高齢者には親族を中心とした複数名に当初から関与してもらうように心がける。(30代、一般外科)
- インフォームドコンセントは重要ではあるが、今の医療の現状では十分に時間をかけて説明するための時間的余裕はない。(50代、精神科)
- こちらがしっかり説明しても、意外と理解されていないことも多く、医師からの説明以外で、理解を深めるための何らかの手立ても必要かと思います。(30代、小児科)
- 患者側も医療側の話を鵜呑みにせず、勉強する必要がある。医師側も説明後の再確認の必要性と院内の監査体制が必要に感じる。(40代、一般内科)
【Q5】「難度の高い治療」のあり方についての医師の意見
質問:難度の高い治療のあり方についてご意見がありましたら、お教えください。
- 標準治療でなければ倫理委員会を通したり、スペシャリストのもとでの十分な研鑚が必要と思います。(50代、一般内科)
- 多くの手技が「見学に行った」「手技に習熟した医師を招聘して行う」など、別に教育になるようなものではないレベルで承認されています。鏡視下手術においては技術認定制度が設定されており、その元での手術を行うような制度設計が望まれます。(40代、産婦人科)
- 医学の進歩には、多少限界へ挑むこともやむを得ず、それを行う施設の厳選も必要と思う。(50代、一般外科)
- 難易度が高い手術を行う場合には、常に他の安全な術式に移行することを躊躇しないことが大事である。(50代、一般外科)
- 今回の事例で許されない事の一つは、繰り返し行われたことです。術死症例は大学病院であればなおさら原因追及のカンファレンスを開いて行くような体制作りが大切だと考えます。(60代、消化器外科)
- 難易度の高い医療に取り組む医療機関はそれなりに補助金を得たり、或いは制度上の優遇を受けており、それに応じた社会的役割、厳しい手続きが要求される。一方で医療一般に手続きが過剰となり形骸化している委員会等が多数あることも実情である。(40代、精神科)
- 本来は大学など症例が集まる施設で多数経験するのが一番だとおもう。ただし今回のような事例は医局がしっかりするべきだったと思う。(40代、眼科)
<調査概要>
調査対象:医師専用コミュニティサイト「MedPeer」に会員登録をする医師
調査期間:2015年4月6日(月)~2015年4月8日(水)
有効回答:374名(外科:163名、外科以外:211名)
【記事掲載に際してのお願い】
・「医師専用コミュニティサイトMedPeer調べ」、であることの明記をお願い致します。
・web上での引用に際しましては、https://medpeer.jpへのリンクをお願い致します。 【医師への調査依頼について】・MedPeer会員医師への調査をご希望の方は、下記問い合わせ先までご連絡ください。
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>>>過去の医師アンケート調査の結果はこちらから
https://medpeer.co.jp/press/?cat=2
■メドピア株式会社について
・社名 :メドピア株式会社(https://medpeer.co.jp)
・代表者 :代表取締役社長 石見 陽 (医師・医学博士)
・設立 :2004年12月
・運営サービス :医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」(https://medpeer.jp)
メドピア株式会社は、「Supporting Doctors, Helping Patients.」を理念として、現在約7.7万人の医師(日本の医師の約3.5人に1人)が参加する医師専用のコミュニティサイト「MedPeer」を運営しています。医師同士が臨床現場で得た知見を「集合知」として共有する場を提供することで、医師の診療を支援するとともに、MedPeerの医師会員および集合知を源泉として、製薬企業をはじめとした企業に対して医師向けのマーケティング支援サービスを提供しています。
■お問い合わせ先
メドピア株式会社 広報担当 藤野
電話:03-6447-7961 メール:pr@medpeer.co.jp
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