世界最大級のストックフォトサイト「iStock」3月8日は「国際女性デー」広告ビジュアルにおける「消費者の共感を生む」女性描写とは?世代別の人気ビジュアル結果を公表
トレンドは「アシスタント」から「リーダー」の描写へ...
*ゲッティイメージズは、2020 年 2 月より、世界的な市場調査会社である MarketCast 社と提携し、26 カ国 13 言語で 1 万人以上の消費者と専門家を対象に調査を行い、「今、求められているビジュアルコンテンツ」を具体的な数字とともに明らかにした「VisualGPS」と呼ばれるガイドラインを作成しています。VisualGPS の詳細情報はこちらをご覧ください。
3月8日は国際女性デーです。女性の地位向上や社会進出を目的として、1975年に国連により提唱された日です。ビジネスやスポーツ、家庭など様々なシーンで活躍する女性。最近では、日本航空(JAL)の新社長に女性が就任することも大きなニュースになっていました。一方で、世界経済フォーラム(WEF)が発表した2023年の「ジェンダーギャップ指数」を見ると、日本は146か国中125位という結果も出ています。
女性を取り巻く環境も日々変化している中で、普段目にする企業やブランドのメディアや広告で女性はどのよう描かれているのでしょうか。
今回は、iStockでダウンロードされている人気のビジュアルについて、2024年と2019年を比較し、世代別に女性を描いた人気のビジュアルにどういう変化があるのか、社会的な背景を踏まえながら分析するとともに、消費者の共感を生む女性のビジュアル表現のポイントを、iStockのビジュアル専門家が解説します。
■「アシスタント」から「リーダー」の描写へ...社会的背景を反映した人気の女性ビジュアルの変化
まず、世代別に見た人気の女性ビジュアルにはどのような傾向と変化があるのか見ていきましょう。
Z世代(13歳〜27歳頃)
女性を描いた人気ビジュアルのうち、2019年では52%、2024年には54%と世代別に見ると最も人気があるのがこの世代です。これは、広告において若い世代を描くことの重要性が認識されつつあることを示唆している可能性があり、社会の様々な分野において若い世代の影響力が拡大していることが反映されているのでしょう。
主に企業のビジネスシーンにおいてこの世代が人気で、2019年は、チームメンバーやアシスタントとして表現されていたビジュアルが人気でしたが、2024年には、個人として自立し、会議をリードするような姿に人気が集まっています。ブランドは、Z世代女性のキャリアパスや役割をより幅広く紹介し、ビジネスシーンだけでなく、さまざまな分野においてリーダーシップを発揮する姿を捉えていきましょう。
▼2019年に人気のビジュアル
▼2024年に人気のビジュアル
ミレニアル世代(28〜42歳頃)
女性を描いた人気ビジュアルのうち、2019年では13%、2024年には35%と大幅に人気が高まっているのがこの世代です。この傾向は、様々な分野や役割における、この世代の女性の存在感の高まりを反映しているようです。
Z世代と同様、企業のビジネスシーンで描かれビジュアル人気が高く、時間の経過とともに、チームでの役割から、より独立したリーダーシップのポジションへと移行しています。ブランドは様々な部門でリーダーシップを発揮するミレニアル世代の女性にスポットライトを当て、イノベーションや社会変革に貢献している姿を強調することができるでしょう。また、ワークライフバランスやキャリアアップなど、ミレニアル世代の女性が直面する特有の課題に取り組むナラティブを含めることで、より信憑性の高いビジュアル描写をすることができます。
▼2019年に人気のビジュアル
▼2024年に人気のビジュアル
X世代(43〜58歳頃)
この5年間で、X世代の女性を用いたビジュアルが著しく増加していることがわかりました。この変化は、メディアや映像コンテンツにおいてX世代を表現することの重要性が認識されつつあることを示唆しています。
2019年、X世代の女性は、女性がメインの環境の中で、リーダーとして描かれることが多かった一方で、2024年までには、男性やシニア世代も含む多様な仲間を率いる姿が描かれるようになっています。ブランドはX世代の女性の多面的なライフスタイルを紹介し、年齢を重ねたこの世代の女性ならではの経験や知性、プロフェッショナルな部分を強調することが大切です。
▼2019年に人気のビジュアル
▼2024年に人気のビジュアル
ブーマー世代(59歳以上)
2019年、女性の人気ビジュアルのうち、ブーマー世代の女性を描写したものは全体の7%にとどまり、この数字は2024年まで変わりませんでした。2019年では、家族や医療の場面で描かれたビジュアルの人気が高く、単独で行動する様子や仕事のシーンで描かれているビジュアルはほとんど選ばれていませんでした。一方2024年には、仕事やライフスタイルの場面で、充実した人生を送る個人として描かれものがより好まれる傾向にあります。社会への貢献、キャリアの達成、アクティブなライフスタイルを強調することで、ステレオタイプに挑戦し、この世代の女性ならではの豊富な経験と多様性を表現しましょう。
▼2019年に人気のビジュアル
▼2024年に人気のビジュアル
このように、5年前と比較すると、あらゆる世代にわたって、女性の自立性やリーダーシップ、人生のさまざまなシーンにおける多才さを強調し、さまざまな社会の動きを反映しながら、より多様で力強い女性のビジュアル表現の方向へ向かっていると言えます。
では実際、このように変化してきた女性のビジュアルは、企業やブランドの消費者にとって共感を得られるものになっているのでしょうか。ここからは、ゲッティイメージズのビジュアル調査「VisualGPS」の調査結果をもとに、「求められるビジュアル」を分析していきます。
■日本の消費者は「リアルで親しみやすい」ビジュアルを求めている
日本の消費者は、「現実味のあるライフスタイルや文化を正確にとらえたビジュアル」を強く望んでいます。ストーリーを無視して、例えば単に表面上の「ダイバーシティ」を反映させた人々を登場させるのではなく、登場する人物一人ひとりのユニークなストーリーを、見るの心に届くようなニュアンスで描くことが重要です。
また、消費者自身の実生活に即し、企業やブランドの商品やサービスが自分の生活にどのように溶け込んでいるかを感じられる、自分と同じような人々がリアルに描かれているビジュアルが好まれています。親しみやすくインクルーシブ、誠実なイメージであることが、購買決定に影響を与えることもわかっています。
さらに、日本の消費者は、ビジュアルを見た際、単に憧れを抱くのではなく、純粋に「感情を揺さぶられる」ビジュアルに共感することも明らかになっています。これはどの世代にも言えることで、「人間関係の深さ」を反映したものや、年齢を重ねることの美しさ、日常生活にシームレスに溶け込んでいるといったビジュアルが好まれています。脈絡のないビジュアルや、複雑な感情を適切な背景なしに描いたビジュアルはあまり好まれません。
■「多様性が表現されている」と感じる日本の消費者はわずか3%
このような調査結果にも関わらず、実際に世の中に出回る広告などのビジュアルについて、日本の消費者はどう感じているのでしょうか。
近年、「多様性を反映させたビジュアル」が好まれる傾向にありますが、メディアや広告において多様性が正確に表現されていると感じている人は、世界全体で10%、日本ではわずか3%に過ぎないこともわかりました。
さらに、日本の消費者の約70%は、メディアや広告は「自分と同じような人々を反映していない」と感じており、世の中のビジュアルとそれを見る人との間に大きな隔たりがあることもわかりました。
また最近では、生成AIを使った女性を広告に起用するなど新たな動きも見られるようになってきました。企業がマーケティングやブランドコミュニケーションにAIが生成したビジュアルをますます活用し始める中で、消費者が女性のビジュアルで何を見たいのか、どんなビジュアルに共感するのかということを常に覚えておくことが重要だと思います。
■消費者の共感を生む、女性のビジュアル表現のポイント
最後に、企業やブランドの広告などで女性を描く際のチェックポイントを解説します。すべての世代の女性が正確に、またインクルーシブに表現されることが重要です。
1 多様性を表現する
クリエイターやコンテンツ制作者は、あらゆる年齢層における表現の多様化に積極的に取り組み、年齢を重ねた世代の経験や視点、社会へ貢献する姿がビジュアルコンテンツに忠実に描かれるようにしましょう。
2 エイジズムと闘う
シニア世代に対するステレオタイプや偏見に挑戦し、エイジズムとその社会への影響についての認識を高めましょう。年齢を重ねることを肯定的に捉え、X世代やブーマー世代の活力や知恵、功績を表現しましょう。
3 世代を超えたストーリーテリング
異なる年齢層のつながりや共通の体験を強調する世代間のストーリーテリングを押し出しましょう。世代を超えた共感と理解を育むことで、メディアコンテンツはより結束力のあるインクルーシブな社会に貢献することができるでしょう。
4 「エイジフレンドリー」の活動を支援する
高齢者の特性を考慮し、すべての年齢層をよりインクルーシブに表現することを提唱する活動やキャンペーンに投資しましょう。ビジュアル描写とストーリーテリングの実践に前向きな変化をもたらすため、団体、擁護団体、業界関係者と協力していきましょう。
▼iStock クリエイティブ専門チーム Creative Insights マネージャー 遠藤由理 プロフィール
10 代後半からアメリカ、スペイン、チェコ、韓国で過ごす。映画制作とデジタルメディアデザインに重点を置いたビジュアルメディアの学歴を持ち、国際映画や日本映画のプロモーション、セールス、買収、配給などの仕事に従事。 2016 年からは iStock のクリエイティブチームのメンバーとして、世界中のクリエイティブプロフェッショナルによる利用データ分析と外部データや事例を調査し、来るニーズの見識を基に Creative Insight(広告ビジュアルにおける動向調査レポート)を発信。意欲的な写真家、ビデオグラファー、イラストレーターをサポートし、インスピレーションに満ちたイメージ作りを目指している。
▼iStock とは
豊富な経験と専門知識を持つゲッティイメージズが運営しているストックフォトサービス。中小企業や小規模事業者に対し、消費者の心に響くビジュアルコンテンツを提供しています。1 億 8000 万点以上のコンテンツを持つ iStock は、世界中の 40 万 3 千人以上のコントリビューター(専属、非専属含む)と呼ばれる契約フォトグラファーやビジュアルクリエイターのネットワークを持ち、専属コントリビューターには、「VisualGPS」に裏付けられた市場のニーズやトレンドにもとに、ゲッティイメージズクリエイティブチームの豊富な経験と知識を活用し撮影指導を行うことで、プレミアムでロイヤリティフリーの写真、映像、イラストを常に提供できるようにしています。
iStock by Getty Images 日本語公式サイト:https://www.istockphoto.com/jp
iStock Signature Collection(プラス)-iStock とゲッティイメージズでしか手に入らない、クリエイティブで厳選された写真、映像、イラストをベースにしたプレミアムコレクションです。iStock だけで 2,800 万点以上の素材があり、独占的なストックコンテンツを提供している世界最大のコレクションです。
プラスの素材例:https://www.istockphoto.com/jp/collaboration/boards/gNTpLpUfDky8JANcNcasDA
▼ゲッティイメージズとは
ゲッティイメージズは、世界有数のビジュアルコンテンツクリエイターおよびマーケットプレイスとして、世界中のあらゆるニーズに応じた幅広いコンテンツソリューションを提供しています。ゲッティイメージズ、iStock、Unsplash のブランド、ウェブサイト、API は、世界最高のフォトグラファーとビデオグラファーによる力強いビジュアルコンテンツを検索、購入、共有するための第一拠点として、世界各国のお客様に利用されています。55 万 1 千人以上のコントリビューターと 315 以上のコンテンツパートナーと共にパワフルでインクルーシブなコンテンツを配信。毎年 16 万件以上のニュース、スポーツ、エンターテイメントイベントをカバーし、類を見ないほどの豊富な報道を提供しています。また、ゲッティイメージズは世界最大かつ最高レベルの⺠間所有アーカイブ写真を保持しており、写真創世記にさかのぼる画像の数は数百万枚にわたります。
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