「北海道ふっこう割」、効果と課題が調査から明らかに
~道外認知は3割に満たず。利用ハードルは情報不足、枠不足~
株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩、以下インテージ)の札幌事業所にて、「北海道ふっこう割」の効果および、北海道の観光資源のひとつ、「札幌大通公園で行われる大型イベント」について自主調査を実施しました。「平成30年北海道胆振東部地震」からの復興を祈念いたしますとともに、ここに調査結果を公開いたします。
[ポイント]
2018年9月6日の未明に起きた「平成30年北海道胆振東部地震」。北海道で初めて震度7が観測されたこの地震では、土砂崩れによる被害や、「ブラックアウト現象」による停電の影響は甚大なものでした。観光業への打撃も大きく、9月15日の段階で影響額は292億円という推計が北海道庁から発表されました。この震災後ほどなく、「北海道ふっこう割」制度がスタートしました。観光需要を早期に回復するために、国や北海道、民間事業者が連携して北海道内の旅行商品や宿泊料金を割引する制度で、今年の3月末で終了しています。
「北海道ふっこう割」はどれだけ知られていたのでしょう。道内外の20~69歳の男女に聞いた結果が図表1です。
図表1
「北海道ふっこう割」 道外の利用意向者は6割超、実際利用者は6%。利用のハードルは情報不足、利用枠不足
では、この制度を知る道外の人にとって、「北海道ふっこう割」はどれくらい魅力があったのでしょうか。利用意向と実際の利用有無を聞いた結果が図表2です。
図表2
では、「制度は知っていたのに利用しなかった」人には、どんな点が利用のハードルになっていたのでしょうか。その理由を自由回答で聞いたところ、「詳細がわからない」「利用方法がわからない」といった情報発信に関する課題や、「募集が終わっていた」「枠がいっぱいで利用できなかった」といった予約枠の設定に対する課題があがってきました。復興支援という意識で利用する制度のため、これらの課題に不満を持って旅行の計画を取りやめる、ということは必ずしもないと考えられますが、前述の道外での認知の問題と合わせ、情報発信に関する課題が解消されることは、一部の民間サービスでは継続しているふっこう割の活用につながりそうです。
札幌 大通り公園イベント、道民認知9割超、満足度8割の「夏まつり」「オータムフェスト」は道外では低認知
ここからは、今後、北海道への旅行を考えている方への参考ともなる調査結果をご紹介します。札幌の観光名所のひとつ、大通り公園で年間を通して行われる大型イベントの道内外の評価です。今回は、図表3にある5つのイベントを調査対象としました。
図表3
図表4
では道外の人ではどうでしょうか(図表5)。
図表5
参加経験では、「さっぽろ雪まつり」の14%に対し、認知率の低い他のイベントは2~3%どまり。もっと道外参加者を呼び込むにはやはり、それぞれのイベントを知ってもらうことが必須なことがわかります。
では、イベントを知ってもらうためにどのような魅力が伝わればいいのでしょうか。道内・道外のイベント参加者に、満足度(図表6)とそのポイントを聞いてみました(図表7)。
図表6
この2つのイベントの満足したポイント(図表7)をみると、道内外共に「地域の料理が食べられること」、「食べ歩きしやすい」といった食を満喫できる点が評価されています。また、「天候・気候のよさ」もポイントのようです。全国的にフードイベントが定着してきたいま、気候のいい季節に、道民も認める「北海道のおいしいもの」を味わえるイベントは改めて魅力的に映るのではないでしょうか。より広く、これらのイベントが知られることでさらに多くの集客が期待されます。
図表7
異なる魅力が評価されている札幌の5つのイベント。それぞれの魅力が伝わることで、道内外からのリピート訪問につながるのではないでしょうか。
インテージのオウンド・メディア「Intage 知る gallery」でもこのレポートを公開しています。あわせてご参照ください。 https://www.intage.co.jp/gallery/
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使用したデータ
【インテージのネットリサーチによる自主調査データ】 https://www.intage.co.jp/service/research/net/
調査地域:北海道内/北海道外
対象者条件:(1) 道内20~69 歳の男女一般 (2) 道外20~69 歳の男女一般
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:(1)道内対象者については、性年代構成比を、2015年度実施国勢調査データをベースに、人口動態など加味した2018年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:(1)北海道民 n=529 (2)北海道外の人 n=546
調査実施時期: 2018 年12 月13日(木)~2018 年12月14 日(金)
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【株式会社インテージ】 https://www.intage.co.jp/
株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩)は、「Create Consumer-centric Values ~お客様企業のマーケティングに寄り添い、共に生活者の幸せを実現する」を事業ビジョンとして掲げ、さまざまな業界のお客様企業のマーケティングに寄り添うパートナーとして、共に生活者の幸せに貢献することを目指します。生活者の暮らしや想いを理解するための情報基盤をもって、お客様企業が保有するデータをアクティベーション(活用価値を拡張)することで、生活者視点に立ったマーケティングの実現を支援してまいります。
【お問い合わせ先】
■株式会社インテージ 広報担当:西澤
TEL: 03-5294-6000
サイト「お問い合わせフォーム」 https://www.intage.co.jp/contact/
[ポイント]
- 「北海道ふっこう割」 道外で認知は3割に満たず。認知者では6割超に利用意向、実際利用者は6%。利用ハードルは情報不足、利用枠不足
- 札幌 大通り公園イベント、道民認知9割超、満足度8割の「夏まつり」「オータムフェスト」は道外では低認知
「北海道ふっこう割」 道外での認知は3割に満たず
2018年9月6日の未明に起きた「平成30年北海道胆振東部地震」。北海道で初めて震度7が観測されたこの地震では、土砂崩れによる被害や、「ブラックアウト現象」による停電の影響は甚大なものでした。観光業への打撃も大きく、9月15日の段階で影響額は292億円という推計が北海道庁から発表されました。この震災後ほどなく、「北海道ふっこう割」制度がスタートしました。観光需要を早期に回復するために、国や北海道、民間事業者が連携して北海道内の旅行商品や宿泊料金を割引する制度で、今年の3月末で終了しています。
「北海道ふっこう割」はどれだけ知られていたのでしょう。道内外の20~69歳の男女に聞いた結果が図表1です。
図表1
道民は72%が認知している一方、道外の人の認知は28%にとどまりました。
「北海道ふっこう割」 道外の利用意向者は6割超、実際利用者は6%。利用のハードルは情報不足、利用枠不足
では、この制度を知る道外の人にとって、「北海道ふっこう割」はどれくらい魅力があったのでしょうか。利用意向と実際の利用有無を聞いた結果が図表2です。
図表2
道外の「北海道ふっこう割」認知者のうち、「利用したい」と答えた人は64%にのぼり、実際に「利用した」という人は6%でした。多くの人にとって距離的に気軽に行ける場所ではないということを考えると、少なくない人が利用したと言えそうです。
では、「制度は知っていたのに利用しなかった」人には、どんな点が利用のハードルになっていたのでしょうか。その理由を自由回答で聞いたところ、「詳細がわからない」「利用方法がわからない」といった情報発信に関する課題や、「募集が終わっていた」「枠がいっぱいで利用できなかった」といった予約枠の設定に対する課題があがってきました。復興支援という意識で利用する制度のため、これらの課題に不満を持って旅行の計画を取りやめる、ということは必ずしもないと考えられますが、前述の道外での認知の問題と合わせ、情報発信に関する課題が解消されることは、一部の民間サービスでは継続しているふっこう割の活用につながりそうです。
札幌 大通り公園イベント、道民認知9割超、満足度8割の「夏まつり」「オータムフェスト」は道外では低認知
ここからは、今後、北海道への旅行を考えている方への参考ともなる調査結果をご紹介します。札幌の観光名所のひとつ、大通り公園で年間を通して行われる大型イベントの道内外の評価です。今回は、図表3にある5つのイベントを調査対象としました。
図表3
「雪まつり」だけでなく、「夏まつり」「ライラックまつり」も60年以上歴史のあるイベントです。それぞれのイベントがどれくらい知られ、参加されているのか、まずは道民の実態からみてみましょう(図表4)。
図表4
道民においては、ほとんどのイベントが認知率90%以上と、広く浸透していることがわかります。参加経験についても、道民の66%と3人に2人が参加している「さっぽろ雪まつり」を筆頭に、「夏まつり」や「オータムフェスト」は約40%、最も少ない「ライラックまつり」でも約20%と、それぞれ多くの人に参加経験があるようです。
では道外の人ではどうでしょうか(図表5)。
図表5
「さっぽろ雪まつり」は93%と他のイベントと比べて圧倒的に高い認知率となっていました。「さっぽろ夏まつり」「さっぽろライラックまつり」といった昔からのイベントは比較的名前が知られているようですが、それでも認知率は30%台と、雪まつりに大きく差をつけられています。比較的新しい「さっぽろオータムフェスト」「ミュンヘン・クリスマス市」に至っては認知率が13%という結果でした。
参加経験では、「さっぽろ雪まつり」の14%に対し、認知率の低い他のイベントは2~3%どまり。もっと道外参加者を呼び込むにはやはり、それぞれのイベントを知ってもらうことが必須なことがわかります。
では、イベントを知ってもらうためにどのような魅力が伝わればいいのでしょうか。道内・道外のイベント参加者に、満足度(図表6)とそのポイントを聞いてみました(図表7)。
図表6
道民にとって、道内のイベントは日常の延長線にあるためでしょうか。おしなべて道外からの参加者の満足度の方が、道民よりも高いという結果が見られています。そんな中、道外からの旅行者だけでなく、道民からも高い満足度が見られたのが「さっぽろ夏まつり」と「さっぽろオータムフェスト」です。
この2つのイベントの満足したポイント(図表7)をみると、道内外共に「地域の料理が食べられること」、「食べ歩きしやすい」といった食を満喫できる点が評価されています。また、「天候・気候のよさ」もポイントのようです。全国的にフードイベントが定着してきたいま、気候のいい季節に、道民も認める「北海道のおいしいもの」を味わえるイベントは改めて魅力的に映るのではないでしょうか。より広く、これらのイベントが知られることでさらに多くの集客が期待されます。
図表7
「さっぽろライラックまつり」の満足度が高いポイントは「自然・緑の多さ」「天候・気候のよさ」、「ミュンヘン・クリスマス市」の満足度が高いポイントは「海外の料理が食べられること」「目新しさ」となっており、それぞれのイベントの特徴が評価されている様子が見てとれます。
異なる魅力が評価されている札幌の5つのイベント。それぞれの魅力が伝わることで、道内外からのリピート訪問につながるのではないでしょうか。
インテージのオウンド・メディア「Intage 知る gallery」でもこのレポートを公開しています。あわせてご参照ください。 https://www.intage.co.jp/gallery/
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使用したデータ
【インテージのネットリサーチによる自主調査データ】 https://www.intage.co.jp/service/research/net/
調査地域:北海道内/北海道外
対象者条件:(1) 道内20~69 歳の男女一般 (2) 道外20~69 歳の男女一般
標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック:(1)道内対象者については、性年代構成比を、2015年度実施国勢調査データをベースに、人口動態など加味した2018年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ:(1)北海道民 n=529 (2)北海道外の人 n=546
調査実施時期: 2018 年12 月13日(木)~2018 年12月14 日(金)
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【株式会社インテージ】 https://www.intage.co.jp/
株式会社インテージ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:檜垣 歩)は、「Create Consumer-centric Values ~お客様企業のマーケティングに寄り添い、共に生活者の幸せを実現する」を事業ビジョンとして掲げ、さまざまな業界のお客様企業のマーケティングに寄り添うパートナーとして、共に生活者の幸せに貢献することを目指します。生活者の暮らしや想いを理解するための情報基盤をもって、お客様企業が保有するデータをアクティベーション(活用価値を拡張)することで、生活者視点に立ったマーケティングの実現を支援してまいります。
【お問い合わせ先】
■株式会社インテージ 広報担当:西澤
TEL: 03-5294-6000
サイト「お問い合わせフォーム」 https://www.intage.co.jp/contact/
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