『救世主は孫、高齢者のスマホ問題』
4割の孫が祖父母にスマートフォンの使い方を教えている。
今や生活に欠かせないスマホ、様々なアプリを活用することで私たちの生活をとても便利にしてくれています。ただし高齢者の方にとってスマホの活用方法は難解で独力では使いこなせず、身近にいる家族の支援は欠かすことができません。
今回、高齢者にとって家族の中でも一番年齢の離れている“孫”に注目し、スマホを通じて祖父母と孫にどんな関係があるのかを調べました。
◆祖父母にスマホを教えた経験(年代別)
孫が祖父母にスマホの使い方を教えた経験は全体では38.3%でした。10代では49.5%、40代では27.5%と年代が高くなるにつれ教えた経験は少なくなっています。
◆教えたことがあるアプリ
祖父母に教えたことがあるアプリは、全年代で「LINE」が一番でした。「LINE」の利用率は83.7%となっており(※2)、いまや連絡ツールのインフラ的存在になっていることから、これは当然の結果といえそうです。「LINE」「ビデオ通話」が上位にあがっている世代が多いことから、家族とのコミュニケーションにおいてデジタルを活用したい気持ちが強いと言えそうです。2番手以降は実用的なアプリ、「天気予報」「ニュース」「バーコード決済」「地図」が続き、その次に「X(twitter)」「Instagram」といったSNSが続きます。年代によって順位に差はありますが、全体的には同様のアプリを教えている傾向が見て取れます。(※2:出典「モバイル社会研究所 2023年4月レポート」)
◆教えたきっかけは?
最も高かったのが、「生活を便利にしてあげたいから」、二番目が「常に連絡を取れるようにしておきたい」と、この二つの理由が突出して高くなっています。それに続き「一緒に楽しみたいから」、「いつまでも元気でいてほしいから」、「家族の様子を見せたいから」などがあげられます。全体にポジティブな理由と感じられますが、反面「いちいち聞かれるのが面倒だから」といったネガティブな理由も上位に入っています。
◆教えるのを諦めたアプリは
「教えるのを諦めたアプリ」を聞いたところ、こちらも「LINE」が一番でした。前述の通り「LINE」は全体の数が多いのでこの結果も理解できますが、比較的操作がシンプルな「LINE」ですら諦めてしまうことに高齢者にとってスマホ利用が難解であることを感じます。
それに次いで諦める機会が多かったのが「X(twitter)」や「Instagram」といったSNSでした。SNSはスマホの使い方を覚えるだけではなく、自分自身からの情報発信や、趣味・関心などが共通するグループとのコミュニケーションが必要であり、よりハードルの高いアプリと言えそうです。それに次いで多いアプリが「ビデオ通話」「バーコード決済」「ポイントアプリ」など、生活を便利にするアプリでした。
◆今後教えたいアプリ
今後教えてみたいアプリを聞いたところ、こちらも首位はLINEでした。それに次いで、生活を便利にするアプリや、「お薬手帳アプリ」「ヘルスケアアプリ」などの健康関連のアプリが上位に挙がってきており、祖父母の健康を気にしている様子がうかがえます。
※アプリ詳細
「ビデオ通話」:zoom、teamsなどのビデオ会議アプリ
「動画視聴」:Netflixやprime videoなどの動画視聴アプリ
「ポイント収集」:nanacoやdポイントなどのポイント収集管理アプリ
「公共サービス」:コロナ関連、マイナカード関連など
調査の結果、自分の祖父母にスマホの使い方を教える孫は一定数いることが分かりました。調査前は、孫の年齢によって祖父母に教えるアプリには違いがあるのでは?と予想しておりましたが、そこに大きな差はなく、おおむね祖父母の年齢や生活に合わせたアプリを薦めていることが分かりました。祖父母に教えるきっかけも、「もっと便利になってほしい」「常に連絡が取れるようにしたい」「一緒に楽しみたい」といった、祖父母の生活を良くしてあげたいという理由が多く挙げられていました。 ただし、このような理由と同時に、アプリの紹介特典を狙って数多くのアプリを教えている様子もうかがえます。
■インターネット調査概要
<調査概要>
調査名 :孫は祖父母にスマホの使い方を教えているのか?
調査期間 :2023年7月
調査方法 :インターネット調査
調査対象 :全国の男女15歳-49歳
サンプル数 :n=1000
■「デジタルわかる化研究所」について
「デジタルわかる化研究所(略称、デジわか)」は、コロナ禍を経てさらにDXが進む現代において、デジタルデバイド(情報格差)という問題に着目し、その格差のない未来のDXの姿“Beyond DX”を目指し、「実態の研究・情報発信・事業創造」を行っていく研究所です。当研究所は高齢者だけを対象とするのではなく、様々な要因からデジタルが社会との障壁になってしまっている人、デジタル化に心理的抵抗をもつ人など、すべてのデジタル若葉さん(注)とデジタル社会との関係を良くしていくことを目指していきます。
※注)当研究所では「情報弱者」とされてしまっている人を、これからの可能性を秘めた人として「デジタル若葉さん」と呼んでいます。また、ロゴマークにはデジタル若葉さんの「わからないことがわかった!」という歓びの気持ちを込めています。
詳しい内容に関しては、下記公式サイト等にて公開します。
デジタルわかる化研究所公式サイトURL:https://www.digiwaka.jp/
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