AstroX と JAXA、成層圏気球用懸垂型姿勢制御装置の事業共同実証活動に着手
AstroX株式会社(本社:福島県南相馬市、代表取締役CEO:小田翔武、以下「AstroX」)と、宇宙航空研究開発機構(理事長:山川宏、以下「JAXA」)は新たな発想の宇宙関連事業の創出を目指す「JAXA 宇宙イノベーションパートナーシップ(以下「J-SPARC」)※1において2024年にコンセプト共創活動を開始し、「気球用プラットフォームとしての懸垂型姿勢制御装置※2」の研究開発について地上試験を進めてきました。これまでの活動で良好な結果が得られたことから、今回、事業共同実証活動に着手し、JAXAの気球システムを活用した成層圏でのフライト実証試験を行います。フライト実証された技術は、JAXAの気球システムの高度化に貢献するとともに、AstroXにおいて、Rockoon 方式※3による打上げのほか、成層圏プラットフォームや建設用クレーンなど、さまざまなミッションに汎用的に使えるようにする“パッケージ化”の設計へ反映され、事業化検討の加速に貢献します。

▪️本活動の背景
JAXAでは、天文観測をはじめとする先端学術研究の重要な手段として成層圏気球システムをさまざまな実験で活用しています。一方で気球に搭載する実験装置などの搭載物の姿勢を高精度に制御する装置は、個々の実験で個別に設計・製作することが多く、精度の良い姿勢制御をどの実験でも利用できるようにする汎用化や再利用性が課題でした。AstroXは、Rockoon方式の宇宙輸送事業や成層圏事業において、空中で懸吊されるシステムの安定化が重要な技術要素である一方、成層圏環境や気球ダイナミクスに関する知見が限られる中で、実フライトでのシステムレベル検証が課題でした。そこで両者は、JAXAが蓄積してきた気球実験の技術基盤と、AstroXの事業化視点を掛け合わせ、姿勢制御装置の高度化による課題解決に加え、パッケージ化による事業化まで見据えてJ-SPARCの事業コンセプト共創活動を2024年8月から開始しました。(https://www.jaxa.jp/press/2024/12/20241203-2_j.html)
▪️コンセプト共創活動の成果
AstroXではこれまで、パッケージ化に向けた姿勢制御装置の開発検討として、減圧恒温槽を用いた成層圏模擬環境性能評価、風による外乱がある環境下での性能評価※a、並びにRockoon方式を想定した初期的統合試験としての小型ロケットの吊下げ発射実験※bを実施し、良好な結果を得ました。JAXAは、成層圏でのフライト実証を目指し、姿勢制御装置(図 2)の地上での環境模擬試験や動作試験を実施し、良好な結果を得ました。コンセプト共創活動は今後も継続し、JAXAは実フライト試験の結果を反映した地上での技術実証を行うとともに、AstroXはパッケージ化に向けた試作・評価を行います。

※a https://astrox.jp/20251114_cmgfudo/
※b https://astrox.jp/20260214_kogitsunekuchu/
▪️目指すべきアウトカム
姿勢制御装置のパッケージ化により次の領域への貢献を目指します。
<JAXA>
先端学術研究領域:次世代の天文観測研究等に適用可能な姿勢制御装置
<AstroX>
宇宙輸送事業領域:気球で空中からロケットを発射し人工衛星を軌道投入するRockoon方式による打上げ
成層圏事業領域:HAPS※4 関連の事業可能性検証
非航空宇宙領域:建設クレーン等、懸吊物の安定化・制御を必要とする領域へのスピンオフ
▪️コメント

AstroX株式会社 代表取締役CEO 小田翔武
今回、JAXAとの共創が事業共同実証活動に着手することで、成層圏という実環境での検証と、汎用パッケージ化を一気に前へ進められることを大変心強く感じています。学術研究の効率化に寄与する共通プラットフォームとしての価値に加え、宇宙輸送事業におけるRockoon方式による打上げや HAPS など成層圏領域の産業利用、さらには地上分野への展開まで、実証で得られる学びを社会実装へつなげていきます。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所大気球実験グループ グループ長 福家英之
姿勢制御装置の汎用化や高機能化を目指して2024年に開始したAstroXとの共創活動が順調に進捗していることに加え、開発した技術をシステムレベルで順次テストする段階に至ったことから、事業共同実証フェーズを開始する運びとなりました。非宇宙分野を含む産学官の広範なニーズに貢献できるよう、引き続き取り組んでまいります。
▪️用語解説
※1 JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC):
J-SPARCは、宇宙ビジネスを目指す民間事業者等とJAXAとの対話から始まり、事業化に向けた双方のコミットメントを得て、共同で事業コンセプト検討や出口志向の技術開発・実証等を行い、新しい事業を創出するプログラムです。2018年5月から始動し、これまでに約50のプロジェクト・活動を進めています。https://aerospacebiz.jaxa.jp/solution/j-sparc/
※2 懸垂型姿勢制御装置:
気球等で吊り下げた搭載物の向き(姿勢)を安定化・制御する装置
※3 Rockoon方式:
気球で空気の薄い層まで上昇してからロケットを打ち上げることで、省エネルギーで低コスト、天候や射場に縛られない高頻度・短リードタイムの宇宙輸送方式
※4 HAPS:
High Altitude Platform Station(成層圏を活用した通信・観測等のプラットフォーム)
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