第35回「地球環境問題と人類の存続に関するアンケート」調査結果
公益財団法人旭硝子財団(理事長:島村琢哉)は、1992年より、毎年、世界の環境有識者を対象に環境アンケート調査を実施しております。今年は日本を含む210カ国の約45,000名に調査票を送付し、123カ国 1,464名から回答を頂きました。
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環境危機時計®の時刻は2年連続で6分進み、2026年は9時39分。地域別では異なる動きがみられた。
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時刻を決める際に念頭に置いた項目は、「気候変動」が33%で最多。
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脱炭素社会への転換に対する評価は低下。野生生物の生息地の保全・再生は、さらに遅れていると認識されている。
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地球環境問題解決のために重要な要素は、「政府の環境政策・リーダーシップ」が最多で、「国際協力・グローバルガバナンス」が続いた。
※調査結果の詳細は、9月8日午後3時30分以降、財団ウェブサイトでご覧いただけます。
※本リリースは環境記者クラブ、環境記者会、重工記者クラブに同時配布しています。
※日本国内の一般人を対象とした「第7回 生活者の環境危機意識調査」の結果も同時に発表予定です。
1 環境危機時計~人類存続の危機に対する認識
1.1 環境危機時計の時刻

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環境危機時計の時刻は、2021年から2024年まで4年連続で針が戻っていたが、2025年に前年から6分進み、2026年もさらに6分進み9時39分になった。(図1)

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地域別に見ると、アジア、メキシコ・中米・カリブ諸国、南米、アフリカ、中東、東欧・旧ソ連と多くの地域で針が進んだ。特にメキシコ・中米・カリブ諸国では20分、アフリカでは52分、東欧・旧ソ連では27分と大きく針が進み、東欧・旧ソ連では10時台となった。
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オセアニア、北米、西欧では、17~25分と大きく針が戻ったものの、いずれも引き続き10時台であった。
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自由記述では、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢をはじめとする軍事的緊張について多くの言及があった。また、戦争や紛争の長期化が環境保全に向けた国際協力や政策対応を停滞させ、各国が環境対策よりも軍事・安全保障を優先せざるを得ない状況を招いているとの意見がみられた。
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このほか、気候変動、生物多様性の喪失、資源問題など、複数の環境問題が相互に関連しており、個別に取り組むことは難しいとの意見もみられた。
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本年は調査実施体制を見直す中で、中国および台湾について従来と同様の調査を実施していない。

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調査開始以降の世界全体の環境危機時計の時刻の推移では、1996年以降、2000年を除いて、常に9時台の「極めて不安」の領域を示している。(表1・図3)


・日本は昨年から針が9分戻って9時30分となった。(図3)
1.2 回答者の年代層による環境危機時計の時刻の推移 (2017年~2026年)
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年代が上がるほど、より進んだ時刻(危機感が高い)を示す傾向がみられる。一方、経年変化をみると、20~50代では2024年以降、環境危機時計の針が進んでおり、危機感が高まっていることを示している。(図4)

2 環境危機時計の時刻記入にあたって念頭においた「地球環境の変化を示す項目」(世界)
本調査は、時刻を決める上で、次の「地球環境の変化を示す9項目」から、回答者が住む国または地域において最も重要と思われる環境問題を1位~3位で選んでいただいた。(調査結果の詳細は調査報告書をご参照ください。)
地球環境の変化を示す9項目:
1. 気候変動、2. 生物圏保全性(生物多様性)、3. 陸域系の変化(土地利用)
4. 生物化学フロー(環境汚染)、5. 水資源、6. 人口、7. 食糧、8. ライフスタイル(消費性向)、
9. 社会、経済と環境、政策、施策
2.1 地球環境の変化を示す9項目の選択率
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環境危機時計の時刻の記入にあたり念頭においた項目の選択率について、世界全体では「気候変動」が33%で最多、次いで16%の「生物圏保全性(生物多様性)」が続き、この順は9年連続で同じとなった。(図5)
2.2 環境危機時計の時刻の順位
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世界全体の「地球環境の変化を示す項目」を環境危機時計の時刻順に並べると、「生物圏保全性(生物多様性)」(9時52分)、「気候変動」(9時45分)、「社会、経済と環境、政策、施策」(9時42分)が世界平均(9時39分)よりも進んでいる。(図5)

3 「気候変動」と「生物多様性の喪失」の問題に関する認識
「気候変動」と「生物多様性の喪失」の問題に関して、①「一般の人々の意識」、②「政策・法制度」、③「社会基盤(資金・人材・技術・設備)」の3つの観点から、地球温暖化抑制のための「脱炭素社会への転換」と「野生生物の生息地の保全・再生」の自国内での進捗の認識について質問した。
(「全く進んでいない」を「-2」、「どちらかといえば進んでいない」を「-1」、「どちらかといえば進んでいる」を「+1」、「確実に進んでいる」を「+2」として数値化し平均値を出した)。
3.1 脱炭素社会への転換の進み具合に関する認識
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脱炭素社会への転換について、いずれの観点でも2026年は低下した。また、「政策・法制度」や「社会基盤(資金・人材・技術・設備)」の面は、「一般の人々の意識」の面ほど進んでいないという認識に変化はない。(図6:報告書 表8から作成)

3.2 野生生物の生息地の保全・再生の進み具合に関する認識
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野生生物の生息地の保全・再生については、進んでいると考える人は少なく、脱炭素社会への転換に比べてもさらに遅れていると認識されている。また、どの観点でも2025年よりもポイントが低下した。
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20代、30代の回答者は、他の世代よりも野生生物の生息地の保全・再生が進んでいると考えている。(表2:報告書 表9から作成)

4 持続可能な開発目標(SDGs)に関する認識
17ある持続可能な開発目標(SDGs)の中で、自国または地域で2030年に達成度が高い・低いと思う目標をそれぞれ3つ選んでもらった。上位の回答の3つの目標を表3-1、3-2に示した。それぞれの地域、国ごとのデータは、「2026年調査報告書」に記載している。

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2030年に達成度が高いと思う目標として、最も多く選ばれたのは、「達成度が高いと思うものはない」(25%)、それに「9. 産業と技術革新の基盤をつくろう」(24%)、「4. 質の高い教育をみんなに」(23%)が続いた。
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2030年に達成度が低いと思う目標として、「1. 貧困をなくそう」(35%)、「10. 人や国の不平等をなくそう」(31%)、「13. 気候変動に具体的な対策を」(31%)の3つを選んだ回答者が多かった。
2030 年までの目標達成に向けて、自国・地域または世界を念頭において、17あるSDGs が、全体として2026 年時点でどの程度達成できていると思うか、全目標達成を100% として、5~ 100 の5%刻みの数値で回答してもらった。

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SDGsの達成度を0%と回答した割合は、世界、自国・地域のいずれについても10%以上である一方、75%以上と回答した割合は非常に少ない。
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2026年報告書の図8に示すように、20~40代の回答者は、50代以上の回答者に比べて、自国または地域、世界のいずれについてもSDGsの達成度を高く認識しており、年代による達成度の感じ方に大きな違いがあった。
5 地球環境問題を解決するために重要な要素
地球環境問題を解決するために、とくに重要だと考える要素として選んだ項目の割合を、地域別にまとめた結果を図8に示す。

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どの地域でも、「政府の環境政策・リーダーシップ」と回答した人の割合が最も多く、60~79%に達する。これは、2025年の問5「環境問題を解決するために最も重要なのは誰の行動」で、どの地域でも「中央政府」と回答した人の割合が最も多かったことと類似している。
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「国際協力・グローバルガバナンス」も、多くの地域で40~50%の回答者が選んだ。
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特徴ある地域の回答として、オセアニア、北米、中東は「再生可能エネルギー・インフラ転換」、メキシコ・中米・カリブ諸国、西欧、東欧・旧ソ連は「経済制度改革・市場メカニズム」が多かった。
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「技術革新」は多くの地域で回答が少ない傾向がみられた。
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アフリカでは、「教育・啓発」と回答した割合が56%と高く、中東(48%)やメキシコ・中米・カリブ諸国(46%)でも高い割合を示した。
本調査は回答者から世界各国における環境問題の実情やご意見、改善策を記入して頂く自由記述欄を設けております。今年もアンケート回答とともに有意義なご意見やコメントを多数いただきました。それらの中から抜粋したものを、9月8日午後3時30分以降に財団ウェブサイトに掲載致します。環境問題に関する有識者の生の声を是非ご覧ください。
https://www.af-info.or.jp/questionnaire/result.html
●本年度の調査概要
調査時期: 2026年4月から6月
調査対象: 世界各国の政府・自治体、非政府組織(NGO/NPO)、大学・研究機関、企業、マス・メディア等で環境問題に携わる有識者(旭硝子財団保有データベースに基づく)
送付数: 約45,000 (海外約42,500、国内約2,500)
回収数: 1,464
回収率: 約3.3%
●環境危機時計について
地球環境の悪化に伴って回答者が人類存続に対して抱く危機感を、時計の針で表示する「環境危機時計」を独自に設定し、毎年、危機感の認識調査を行っています。0~3時を「ほとんど不安はない」、3~6時を「少し不安」、6~9時を「かなり不安」、9~12時を「極めて不安」としています。
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