津南醸造は野村事務所が構築したAIによる日本酒の官能評価システムを活用して自社銘柄の評価を実施しました。
津南醸造株式会社(本社:新潟県津南町、代表取締役:鈴木健吾、以下津南醸造)は、株式会社野村事務所(以下、野村事務所)が構築したAIによる日本酒の官能評価システムを活用して、既存の自社銘柄の評価を実施しました。野村事務所は、シンガポールのProfile Print社の提供する新しい官能評価システムProfilePrintの日本国内での利用をサポートしています。この度は野村事務所が学習を加えた既存の評価モデルを用いて、津南醸造のもつ8銘柄の分析を行い客観的なプロファイルを確認しました。
官能評価機器「ProfilePrint」は、特許技術のスキャニング機能とAI学習機能により、これまでヒトにしかできないと言われていた食品官能評価を実現しています。今まで、日本酒は評価が困難とされているなかで、野村事務所はSAKE SERVICE INSTITUTEの協力を経て、抽象的な香りの項目も数値化し、唎酒師の評価結果に非常に近い官能評価モデルの構築を実現していました。
この度は、津南醸造は自社が2024年に自社銘柄の供給候補先に対してどの銘柄を供給するのがよいか判断するために、野村事務所の協力を経て自社銘柄の一括評価を実施しました。これにより、自社銘柄の客観的な評価を備えることで、海外を含む商流に対して効率的な提案が可能となりました。また、2024年に開催される各種アワードへ出品する銘柄もこの評価結果を参考にします。
津南醸造は今後、野村事務所が扱う「ProfilePrint」モデルの精度を上げるための開発に協力し、自社内の製造におけるAIを活用した酒造りのプロセス内で「ProfilePrint」の出力内容の活用をする可能性について検討を進めていく予定です。
「ProfilePrint」が提供する美味しさの見える化の技術
「ProfilePrint」は食品の官能プロファイルを数値化して分析する革新的なシステムです。このシステムは、食品の味、風味、香りなどを詳細に評価し、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)や「豊かさ・コク」、「爽やかな香り」などの人間の感覚に基づく項目も数値化します。また、水分量や密度などの物理的特性も評価します。このデータはクラウドで管理され、国内外問わずアクセス可能です。さらに、このシステムは品質検査や等級分け、製品タイプの分類、品種識別など、食品の分類と識別にも利用されます。
33種類の日本酒を学習したProfile Printの官能プロファイリング
各官能評価項目でプロファイリングに成功して、抽象的な香りの項目も数値化し、唎酒師の評価結果に非常に近い結果が得られています。
津南醸造が持つ銘柄の分析結果の一例
津南醸造が生産する8銘柄において、野村事務所が扱う「ProfilePrint」の日本酒評価モデルを活用して、香りの4項目(華やか、爽やか、穏やか、ふくよか)と味の4項目(甘味、酸味、苦味、旨味)の計8項目についてスコアを出力しました。
図には例として、華やかさとふくよかさを軸にして各銘柄をプロットした内容を示しています。プロットの大きさは甘味のスコアの大きさと比例させてビジュアライズした例で、お客さんのニーズやペアリング対象に応じて提供する銘柄を選択することなどに活用できる可能性が示唆されました。
また、酒造りに求められる再現性などにおいて、従来の官能試験による評価にプラスして、より精度の高いモニタリングや、生成AIのモデルへ入力するためのデータとしての可能性を確認しました。
<野村事務所について>
株式会社野村事務所は、特殊化学製品の販売などを手がける商社です。昭和8年創業、昭和39年設立の企業で、事業内容に、石油精製用触媒の輸入販売、特殊化学品製品の輸出入販売があります。プラスチック事業、ライフサイエンス事業などといったユニークな技術をベースとした製品を取り扱っている他、新規事業開発にも力を入れています。創業以来、「人と人のつながり」を大切にしています。
<津南醸造について>
津南醸造株式会社は、新潟県中魚沼郡津南町秋成に本社を置く日本酒蔵です。この地域は豪雪地帯で知られ、標高2,000mの山々からの天然の湧水を仕込み水に使用しています。地元特産の酒米「五百万石」を用いて、自然と共生する酒造りを行っており、「Brew for Future〜共生する未来を醸造する〜」をブランドコンセプトにしています。2023年からの新体制で、酒蔵とサイエンスの融合をベースに新たな価値創造ならびに海外展開推進を目指しています。
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