店舗運営の柔軟性を高める
―「システム什器」と「ディスプレイ什器」を切り分けて考える売場づくり ―
アパレル・小売・商業施設の売場づくりにおいて、什器の役割を一括りにせず、目的や業態に応じて整理して考える動きが広がっています。売場の効率性と来店体験、販促効果を両立させるためには、「固定」と「変化」という視点から什器の役割を捉え直すことが重要になっています。
■ 新しい視点:「固定」と「変化」という役割で什器を整理する
売場で使われる什器にはさまざまな種類がありますが、近年は什器の役割そのものを整理して考える動きが進んでいます。
システム什器は、商品を整然と並べ、売場の均質性や陳列の再現性、運営効率を重視する什器です。
レイアウトを安定させ、日々の運営を効率よく行うために有効であり、売場の「固定部分」を担う役割を果たします。
一方で構造上、レイアウトの自由度は高くなく、変化や演出を加えにくいという側面もあります。
売場を整然と保ちやすい反面、インパクトや遊び心、演出要素を出しづらい点が特徴といえます。
商品点数の多さそのものよりも、「整然と並べること」「均一性を保つこと」を重視する売場に適した什器といえます。
■ ディスプレイ什器が担う「変化」と「訴求」の役割
売場は、季節、商品構成、販促企画、来店動機の変化などに応じて、一定の更新が求められます。
こうした変化への対応を担うのが、ディスプレイ什器です。
ディスプレイ什器は、
* 強化商品や旬の商品を目立たせる
* 売場の印象や導線を切り替える
* ワンポイントの演出で来店者の関心を引く
* 販促施策や短期企画に対応する
といった役割を担い、売場にリズムや鮮度を与えます。
整然さよりも、演出性・柔軟性・訴求力を活かしながら、売場の変化を支える点が特長です。
■ すべての店舗で同じ構成になるわけではない
重要なのは、すべての店舗でシステム什器とディスプレイ什器を必ず併用するわけではないという点です。
例えば、
* システム什器を使わず、ディスプレイ什器を中心に売場を構成する店舗
* システム什器とディスプレイ什器を組み合わせ、固定部分と変化部分を分ける店舗
* ディスプレイ什器によって、売場の骨格(固定)と表情(変化)の両方を担う店舗
など、売場の構成は業態や店舗ごとに異なります。
什器の使い方は一律ではなく、ケースバイケースで最適な構成を選ぶという考え方が、実務の現場では一般的になりつつあります。
■ なぜ今、役割を切り分けて考えるのか
近年、全面改装よりも、部分改装や販促施策、短期的な売場更新を重ねながら運営するスタイルが増えています。
こうした中で、
* 売場の安定運用を前提としながら
* 来店率の維持・向上や販促施策への対応を図る
という視点が、これまで以上に重視されるようになっています。
什器の役割を整理することで、売場全体を大きく作り替えなくても、訴求ポイントや印象を機動的に切り替えることが可能になります。
■ 現場で評価されているポイント
什器の役割を切り分けて考えることで、
* 投資判断を部分ごとに行いやすい
* 売場の鮮度を保ちやすい
* 販促施策を機動的に展開しやすい
* 来店体験の単調化を防ぎやすい
といった点が評価されています。
特に、強化商品や企画商品に合わせてディスプレイを行うことで、売場全体を作り替えなくても、販売機会を高める取り組みが可能になります。
■ システム什器とディスプレイ什器は「優劣」ではなく「使い分け」
この考え方は、システム什器とディスプレイ什器のどちらが優れているか、という議論ではありません。
* システム什器が売場の安定運用を支えるケース
* ディスプレイ什器が売場の変化や訴求を担うケース
* ディスプレイ什器が固定部分と変化部分の両方を担うケース
など、店舗や業態によって最適な形は異なります。
それぞれの特性を理解し、目的に応じて使い分けることが、売場運営の柔軟性を高める一つの方法といえます。
■ ディスプレイを主軸に売場運用を支えるという考え方
こうした流れの中で、ディスプレイ什器やマネキン、演出要素を組み合わせながら、売場の「変化」や「訴求」を支援してきた企業の一例が、平和マネキンです。
ディスプレイを起点とした什器や演出は、売場の安定運用を前提としながらも、来店率の維持・向上や販促施策への対応が求められるあらゆる店舗の現場において、運用フェーズから売場を支える役割を果たしています。
■ 今後に向けて
売場づくりにおいて重要なのは、「どの什器を使うか」ではなく、「どの役割を、どこに持たせるか」という視点です。
システム什器とディスプレイ什器を目的に応じて整理し、柔軟に使い分けることは、店舗運営の自由度と販促効果を両立させるための一つの選択肢として、業態や業種を問わず、今後さらに注目されていくと考えられます。
