2025年法務動向総括・2026年コンプライアンス市場予測 メディアラウンドテーブル 事後レポート

2026年のガバナンスとは- ESG・人的資本・AI統制まで、企業法務の新たな責務と展望を議論-

レクシスネクシス・ジャパン

「法務・コンプライアンス業務を変革する」を掲げ、世界150カ国以上のビジネスで培った法令情報データベースとテクノロジーを掛け合わせ、「ASONE®(アズワン)」「Lexis+ AI®」などのリーガルSaaSプロダクトを提供するレクシスネクシス・ジャパン株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:パスカル ロズィエ、以下当社)は、11月26日(水)、「2025年法務動向総括と2026年のコンプライアンス市場予測」をテーマとしたメディアラウンドテーブルを開催いたしました。

本ラウンドテーブルには、プロアクト法律事務所 代表パートナー弁護士・公認不正検査士 竹内 朗 氏、当社代表取締役社長 パスカル ロズィエ、コンテンツソリューション責任者 漆崎 貴之、営業責任者 渡辺 貴が登壇。2025年に露呈した企業不祥事の背景にあるさまざまな問題を再検討しつつ、ESG・人的資本・AI統制など、2026年に企業法務が担うべき新たな役割について議論しました。 

 

■ パスカル ロズィエ 「AI時代の実務に“透明性と説明責任”を備えた基盤づくりを」

 冒頭あいさつで、代表取締役社長のパスカル ロズィエは「レクシスネクシスは法令・判例・規制などの一次情報を基盤に、専門家の確かな意思決定を支える情報プラットフォームを提供しています。私たちの使命は“ルール・オブ・ロー”の推進です」などと述べたうえで、今月ローンチした製品のセキュリティとプライバシー情報を公開する「トラストセンター」を紹介し、「AI時代に必要な透明性と説明責任を備えた基盤づくりを進めています」と述べました。

■ 「2025年法務総括、2026年のコンプライアンス市場予測」をテーマにトークセッション

 続いて、プロアクト法律事務所 代表パートナー弁護士・公認不正検査士の竹内 朗 氏、当社 コンテンツソリューション責任者の漆崎 貴之 によるトークセッションでは、2025年の企業不祥事に共通する構造的課題を振り返るとともに、ESG・人的資本・AI統制など、2026年に法務部門が担う新たな役割や、“真に機能するガバナンス”のあり方について議論が交わされました。

 

竹内 朗 氏2025年の不祥事に共通する “構造的リスク”を語る

 竹内氏は今年話題となった不祥事を複数取り上げながら、「それぞれのケースに個別の事情はあるものの、企業の現場でリスクの兆しをつかめないまま時間が経ってしまう構図が共通している」と述べました。具体例として、上場前後の不適切な会計処理が後になって明らかになった事例、金融機関での不正が長期間気づかれず調査にも協力が得られなかった事例、ランサムウェア被害と、攻撃者との交渉・支払いをめぐる実務的な論点、人権・ハラスメント問題に対する経営判断の差などを挙げました。竹内 氏は、これらに共通するのは「気づくまでに時間がかかる」「問題があっても情報が上層部まで上がらない」という点だと指摘。また、同じように不正が起きても、社内の判断プロセスが機能した組織と、そうでなかった組織で結果が大きく分かれたことに触れました。最後に竹内氏は、「今年起きた出来事を“個々の事件”として見るだけでなく、会社の中で何が起きていたのか、なぜ気づけなかったのかを正面から見る必要がある」とまとめました。

トークセッション「2025年の不祥事から見える構造」と「2026年に向けた実務課題」

 続いて、竹内氏と漆崎によるトークセッションで、まず漆崎は、企業のコンプライアンス実務が複雑化するなかで「法令の基礎理解や法改正へのキャッチアップすら難しい」という現場の声が増えていると説明しました。古い社内マニュアルが放置されていたり、自治体ごとの届け出対応が追いつかず、後になって経営陣が問題に気づくケースも多いと指摘。レクシスネクシスとして、業界ごとの法令一覧や自治体情報の整理・更新を支援し、「法務部だけで対応しきれない部分を、リスクオーナーである第1線の事業部門、そしてそれを支える第2線のリスク管理部門をサポートしている」と述べました。

 一方、竹内氏は2025年の不祥事に共通する構造として「現場のリスク情報が本部に伝わらない」点を挙げました。中間管理職を通じたメインラインと、直接報告できる内部通報窓口を通じた ヘルプラインの“二本立て”が不可欠であると強調し、「経営者が現場に関心を寄せ、解決にリソースを割く姿勢を示せば、現場は情報を上げます。信頼がなければ抱え込むことになる」と説明しました。

 また、グローバル企業では本社と拠点が定期的にミーティングを行い、現地訪問で相互理解を深める取り組みが進んでいる例を紹介。「内部通報の外部委託やAI化が進む一方で、上がってくる情報の質・重大性を見極めるには、現状では一定のスキルを持つ担当者の判断が不可欠だ」とも指摘しました。

 最後に竹内氏は、「AI活用やDXが戦略の中心に入るいま、戦略とリスクは表裏一体。変化が激しい時代だからこそ、経営がリスクマネジメントの有効性 モニタリングし続ける姿勢がより重要になる」と総括しました。

■ ASONE®紹介:法令改正を“現場で使える情報”に変えるためのプラットフォームへ

最後に、渡辺より、当社が提供する法務コンプライアンス ソリューション「ASONE®」の取り組みと、コンプライアンス実務の高度化を支援する最新の活用例が紹介されました。まず、企業のガバナンスにおいて「現場任せでは法令対応の抜け・漏れが起きる」と指摘し、ASONEでは、①必要な法令・許認可・自治体の届け出情報を整理し、変化に気づける仕組みをつくること、②“5W1H”で現場が今すべきこと・1年後にすべきことまで明確化すること、③第1線・第2線・経営が同じフレームでリスクを把握できる状態をつくることを重視していると説明しました。

 また、第1線(現場、事業部)と第2線(リスク管理)が連携しやすい仕組みを“信号”のように分かりやすく提示することがシステムの使命だと述べ、「経営の視点から、心理的安全性を可視化できるサーベイや、現場の視点として、法令対応チェックリストの整備など“今すぐできる仕組み”から文化浸透を後押ししていきたい」と総括しました。

■会社概要

社 名    : レクシスネクシス・ジャパン株式会社

所在地  : 東京都中央区八重洲 2-2-1 東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー11 階

代表者  : パスカル ロズィエ

設 立    : 1999年 2月 16日

事業内容:

  • 企業、法律事務所、大学、官公庁等に対するコンプライアンス

  • 法令、行政基準、判例、知財、企業情報等の専門的データベースや支援ツール

  • コンサルティングサービスの提供

サイト     : www.lexisnexis.com/ja-jp

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会社概要

URL
https://www.lexisnexis.com/ja-jp
業種
サービス業
本社所在地
東京都中央区八重洲2-2-1 東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー11階
電話番号
03-6739-4700
代表者名
パスカル・ロズィエ
上場
未上場
資本金
-
設立
1999年02月