「第51回 信頼性・保全性・安全性シンポジウム」各賞受賞者決定!
ものづくり日本を支える研究者・技術者による研究報文・事例の各賞受賞者が決定!
一般財団法人日本科学技術連盟(本部:東京都新宿区、理事長:佐々木 眞一、以下 日科技連)は、2022年7月14日(木)~15日(金)に「第51回 信頼性・保全性・安全性シンポジウム」をオンライン・ライブ配信で開催し、ものづくり日本を支える研究者・技術者により研究・経験・実践事例が発表報告されました。
参加者からの投票結果をもとに、本シンポジウム報文小委員会による厳正なる審査と組織委員会による最終審議を経て、2022年9月30日(金)に各賞受賞者を決定いたしました。
参加者からの投票結果をもとに、本シンポジウム報文小委員会による厳正なる審査と組織委員会による最終審議を経て、2022年9月30日(金)に各賞受賞者を決定いたしました。
※発表番号、所属は発表時のものです、Session番号順、敬称略、◯は発表者
【優秀報文賞】(Excellent Paper Award)Session2-2
報文名:薄膜ゲート酸化膜寿命予測の最適化
著 者:◯伊藤 一樹、清水 立雄
所 属:ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
[受賞理由]
半導体デバイスの微細化に伴うゲート酸化膜の薄膜化により、経時絶縁膜破壊(TDDB)の寿命予測モデルは、従来の印加される電界の指数関数に依存するEモデルから電圧のべき乗に依存するPower-Lawモデルへ切り替わることが知られています。モデルが切り替わる境界には曖昧領域があり適切なモデルを選択することが正しい寿命予測において重要となっています。
本報文では、その曖昧領域において寿命予測モデルの選択とそのフィッテイングの妥当性について研究された成果を報告されました。検証に至る考え方やプロセスは他へも応用活用できる有益な内容でした。また、発表原稿・報文のまとめ方が分かりやすく工夫されており、ふだん半導体デバイスに馴染みのない方にとっても理解されやすい発表内容でした。得られた研究成果の有効性が高く、委員等専門家からの評価も極めて高い内容であったことから、優秀報文賞に値するものと判断いたしました。
【優秀事例賞】(Best Application Award)
Session7-3
発表事例:ダンボールに含まれる硫黄のアウトガス放出特性の検証と対策
著 者:◯吉田 賢介、菅沼 諭史、大込 絢治、中村 雅俊
所 属:ユーロフィンFQL株式会社
[受賞理由]
電子機器の長寿命化に伴い、段ボール中に長期保管した保守部品の硫化腐食が問題となっています。本発表では、金属クーポンを用いた密閉過熱試験でダンボールからの硫黄アウトガス放出特性を定量的に調査するとともに、腐食対策の効果について検証したものであり、電子機器に限らず、多くの産業での保管等腐食対策に関心を持たせる内容でした。
また、長期的なアウトガスの放出特性を定量的に調査するとともに腐食対策についても吸着剤の使用する量や配置によって効果に差があることや袋で包むことの効果などが述べられ、長期保管でのダンボールからのアウトガスの発生の定量データを含め多いに参考になる報告でした。腐食に対し、そのメカニズムや多くのデータを取得し解析することで対策の効果等も確認し検証するなど、優秀事例賞に値するものと判断いたしました。
【奨励報文賞】(Incentive Paper Award)
Session6-1
報文名:深層学習を利用した非破壊でのはんだクラック三次元可視化と進展解析
著 者:◯長谷川将司、植木 竜佑、村上 寛、渕上 圭介、小西 勝久、鬼塚 梨里、
高橋 政典、新子比呂志
所 属:株式会社クオルテック
[受賞理由]
電子部品の端子半田付け部に対する疲労破壊試験は、部品接続信頼性を担保するうえで重要な試験であり、その耐久性は現在でも断面研磨観察が主流です。
しかしながら、機械研磨ではクラックをある1面でしか捉えることができず、クラック発生率予想のバラツキが大きくなることから、本報文では、X線CTを用い非破壊で3次元的にクラックを捉えることによりバラツキを抑えると同時に、深層学習による画像診断でクラック進展率を予想する新たな取り組みを提案されました。今後の発展が期待される本発表内容は、奨励報文賞に値するものと判断しました。
【奨励発表賞】(Incentive Application Award)
Session5-2
発表事例:QFN部品の熱衝撃事前評価レス検討 ~予測・判別式を用いた接合寿命予測~
著 者:林 航平
所 属:株式会社アイシン
[受賞理由]
本発表では、耐熱衝撃性に弱い部品QFNの試作前の事前評価の代替として、機械学習手法による分析・予測を用いた新しい評価手段を紹介されました。この機械学習を用いた実試験の省略・簡素化の発表では、これまでの既成概念に捕らわれない新しい考え方に果敢に取り組む若手技術者の前向きな姿勢が感じられ、他業種を含む多くの技術者の挑戦意欲を刺激する内容でした。
また、実データをもとにした複数の分析モデルの具体的な検証結果は、聴講者の理解を深め共感を得るものであり、さらに他部品への拡張を目指すとの今後の展望からも奨励発表賞に値するものと判断いたしました。
【技術貢献賞】(Technological Contribution Award)
Session4-3
発表事例:再発防止の質向上のための視点と進め方
著 者:小杉 敬彦
所 属:トヨタ自動車株式会社
[受賞理由]
これまでの再発防止の課題は、確実で継続性のある有効な方法論が明確になっていないことでした。本発表では、これまでの活動の集大成として、再発防止の考え方・進め方の問題点を整理され、具体的な手順や陥りやすい誤りなど勘所を含めた方法論として詳細に紹介いただきました。「望ましくない例」を含めたわかりやすいプレゼンで聴講者の納得度が高く、多数の投票数を得て好評だったことなどにより、「技術貢献賞」が最もふさわしいと判断いたしました。
1.賞の種類と紹介
(1)優秀報文(事例)賞
優秀報文(事例)賞は、理論・方法などに従来試みられなかった新しい知見を有する内容、あるいは信頼性業務の遂行上裨益をもたらす内容を有する、優れた発表に与えられるものです。
(2)奨励報文(発表)賞
奨励報文(発表)賞は、一般投票では選出されにくい専門分野や理論的な研究について、今後の信頼性・保全性・安全性の研究や発展を期待できる内容を有する発表に与えられるものです。
(3)学術/技術貢献賞
学術/技術貢献賞は、発表の内容が学術的また労力的見地から見て表彰に値すると判断されるもの。あるいは、啓蒙的であって参加者にとって大いに有益と判断された発表に与えられるものです。
2.本表彰制度の目的と選考方法
本表彰制度は、研究発表者のインセンティブを喚起するとともに、一般参加者には優秀報文・事例の推薦を通して本シンポジウムへ積極的に参画していただくことをねらいとしています。
本シンポジウムは、企業の第一線で活躍されている研究者や技術者の方々が現実的に重要な信頼性、保全性さらにヒューマンエラー防止など安全性にかかわる問題を解決していくための知見を共有する場であり、発表者と参加者との討論により問題点を整理し、得られた知見をより体系化して知識の共有化を図ることを目的としています。
このようなねらいと背景から、参加者全ての方々に幅広く優秀報文・事例の推薦をお願いし、これに基づいて選考を行っています。本年も、参加者の皆様の多様な視点から投票をいただきました。
一般発表(研究報文/事例報告)27件について、参加者からの投票結果をもとに、本シンポジウム報文小委員会(委員長:田中健次氏(電気通信大学大学院 教授))による厳選なる審査と組織委員会(委員長:鈴木和幸氏(電気通信大学名誉教授・特任教授))の最終審議の結果、上記に示す「優秀報文賞(1件)」「優秀事例賞(1件)」「奨励報文賞(1件)」「奨励発表賞(1件)」「技術貢献賞(1件)」各賞受賞者を決定しました。
3.第51回 信頼性・保全性・安全性シンポジウム「優秀報文(事例)賞、奨励報文(発表)賞、学術/技術貢献賞 受賞報文・事例の紹介」
https://www.juse.jp/rms/?pr10
4.信頼性・保全性・安全性シンポジウムとは
1971年に開始。当シンポジウムは、50年の歴史と伝統を誇る、いろいろな分野の信頼性・保全性・安全性分野のビッグイベントです。エンジニア、マネージャー、研究者が集い、ものづくり日本を支える「産・学」から最新かつ実践的な技術・経験・研究成果・実践事例が発信され、これらを共有し、意見交換・討議などを行うとともに、基調講演、特別講演、招待講演、特別企画セッションなどを通じて多彩な人的交流と情報交換の場を提供することを主眼としたシンポジウムとして毎年7月に開催しています。
<第51回 信頼性・保全性・安全性シンポジウム開催レポート>
https://www.juse.jp/rms/?pr10
5.問合わせ先:
一般財団法人日本科学技術連盟 信頼性・保全性・安全性シンポジウム担当
TEL. 03-5378-9850 E-mail: rms-sympo@juse.or.jp
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