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公益財団法人日本野鳥の会
会社概要

(公財)日本野鳥の会「再生可能エネルギーの適正な導入に向けた環境影響評価のあり方に関する検討会報告書」に対する見解を公表

日本野鳥の会

■令和3年3月31日に環境省・経済産業省が「再生可能エネルギーの適正な導入に向けた環境影響評価のあり方に関する検討会報告書」を公表

 この検討会は、2020年12月に内閣府に設置された「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」から、環境影響評価法における風力発電事業に係る規模要件を現行の1万kW以上から5万kW以上に引き上げ、緩和することを2020年度末までに決定するよう要請されたことが発端となり、1月21日から3月25日までに4回開催されました。

 当会はこの検討会に専門家ヒアリング対象者およびオブザーバーとして4回とも出席し、毎回、意見陳述や質疑応答を行ってきましたが、検討会の結果として出された報告書には大きな課題や懸念があるため、報告書に対する見解としてそれらを表明することにしました。
●検討会および報告書における課題と懸念
・短期間の検討で規模要件の引き上げが決定されたが、結論ありきの拙速な議論、検討であった。
・規模要件が1万kW以上であることが、どのように日本で風力発電の導入を妨げているのか、または、規模要件を引き上げることでどの程度風力発電の導入が進むのかなど、規模要件を引き上げる必要性について合理的な理由の説明が事業者団体および経済産業省などからなされなかった。
・規模要件を5万kW以上とする根拠の妥当性については、検討会で十分に議論がなされていなかった。
・環境省は風力発電を線的事業と捉え、風力発電施設の中心から片側50mずつを影響の及ぶ範囲としたが、本来は風車ローターが空中に作る球体を地面に下ろし、その外縁の片側50mずつを影響の及ぶ範囲とすべきであり、その場合、50haに相当する出力規模は2~3万kW程度になる。
・検討会が報告書をまとめるにあたっては、通常、案をパブリックコメントにかけて広く意見を聴取するが、今回はその手続きがない。

●当会から環境省・経済産業省への提案
・出力規模7500kwまたは10,000kW以上の風力発電事業が全都道府県で条例アセスの対象事業になるまで、経過措置として7,500kW以上5万kW未満を第2種事業としてスクリーニング対象とすること。
・法改正を含めた制度的枠組みの検討は、風力発電事業に特化した「地域の環境特性を踏まえたアセスメント制度」といった特別措置法などの新たな法制度の制定が必要であり、その法整備の検討を政令改正と平行して、直ちに開始すること。
・「環境影響評価図書の継続的公開」や「事後調査の強化とその成果の活用」をアセス法等で法的に義務付けること。
・事後調査にかかる報告書に対しては環境大臣や住民が意見を述べられるようにすること。
・現行法で手続き中の風力発電事業については、規模要件が引き上げられた後でも、条例アセスに移行することなく、引き続き現行法でアセスを完了させること。
・法アセスの対象事業となる発電所の出力規模について、抑制した出力を規模要件としてどのように扱うかを検討すること。
・「環境情報の提供とゾーニングの促進」について、温暖化対策推進法改正案に基づく市町村における再エネ導入に係る適地抽出の促進をもってゾーニングとすることが記載されているが、保全区域などの指定を伴ったゾーニングを進めるべきであるため、保全区域の指定の促進について政令改正に盛り込むこと。

 
※見解の詳細は下記をご覧ください
※本件については、(公財)日本自然保護協会からも声明が発表されています。
https://www.nacsj.or.jp/archive/2021/03/11791/

 ……………………………………………………………………………………………………………………………………



令和2年度「再生可能エネルギーの適正な導入に向けた環境影響評価のあり方に関する検討会報告書」に対する
日本野鳥の会の見解   
                              
                                           2021年4月1日
                             公益財団法人 日本野鳥の会 理事長 遠藤孝一
 令和3年3月31日に環境省・経済産業省は「再生可能エネルギーの適正な導入に向けた環境影響評価のあり方に関する検討会報告書」を公表した。この検討会は、2020年12月に内閣府に設置された「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」から、環境影響評価法における風力発電事業に係る規模要件を現行の1万kW以上から5万kW以上に引き上げることを2020年度末までに決定するよう要請されたことが発端となり、1月21日から3月25日までの2ヶ月間に4回が開催された。当会はこの検討会に専門家ヒアリング対象者およびオブザーバーとして4回とも出席し、毎回、意見陳述や質疑応答を行ってきた者として、この報告書に対する見解を以下に述べるものである。

 〇検討会で出された結論
・風力発電事業の規模要件の5万kWへの引き上げること。

・スクリーニング対象事業の拡大、簡易アセスの導入について、法改正を含めた制度的枠組みを検討する必要があること

・アセス図書の継続的公開、スコーピング機能の強化、事後調査の強化とその成果の活用、環境情報の提供とゾーニングの促進について、法や条例による環境影響評価制度の中で適正な運用に向けて取り組む必要があること

〇課題および懸念
・短期間の検討で規模要件の引き上げが決定されたが、結論ありきの拙速な議論、検討であった。

・規模要件が1万kW以上であることが、どのように日本で風力発電の導入を妨げているのか、または、規模要件を引き上げることでどの程度風力発電の導入が進むのかなど、規模要件を引き上げる必要性について合理的な理由の説明が事業者団体および経済産業省などからなされなかった。

・検討会では、以下のような議論に基づいて、現行法下における適正な規模要件としては、第一種事業の規模要件は5万 kW以上、第二種事業の規模要件は 3.75万kW以上かつ5万kW未満となる、と整理されたが、これらの根拠の妥当性については検討会で十分に議論がされていない。また、面的事業の100haより厳しい要件を設定するのであれば、今後さらに大型化する風力発電施設の高さやローターのサイズおよびブレードの回転による鳥類や景観への影響を考慮する必要があることから、産業廃棄物処分場の30haを選択すべきであった。

●1.太陽電池発電所等の面的事業は、面積100haがメルクマールとして設定されている。

●2.面的事業のうち、埋立て・干拓事業は海岸線の変更に伴う流況の変化等、周辺の海域への影響を伴うため50ha、さらに廃棄物最終処分場はより配慮が必要な廃棄物を取扱うという事業特性を踏まえて30ha と、通常の面的事業より厳しい要件が設定されている。

●3.道路・鉄道のいわゆる線的事業は、一般的に見込まれる影響範囲として両側それぞれ 50mを想定している。風力発電所は設備を列状に配置することが多いことから、道路や鉄道と同様に線的な事業とみなし、事業の規模を示す指標として、列状に配置された各発電設備の中心を結んだ線から両側へそれぞれ 50mの範囲の面積を想定する。

●4.風力発電所は、数十メートルのタワー上でローターが回転するという構造であり、高さ方向の空間利用が大きいことから、面的事業の100haより厳しい要件を設定している埋立て・干拓と同様に50haに相当する出力規模とする。

●5.上記の考え方に基づき、2012 年以降に評価書手続きが終了した 46 事例について線的な事業とみなした面積を分析すると、50haに相当する出力はおよそ5万kWとなる。

・現在計画中の風力発電事業における風車のローター直径はすでに120mを超えており、将来的にはローター直径250mの風車が設置可能と言われている。風車ローターの向きは風向きによって変わるため、実際には球体が空間を占めることになり、それが影響の及ぶ範囲となる。環境省は風力発電を線的事業と捉え、風力発電施設の中心から片側50mずつを影響範囲としたが、風車ローターが空間に作る球体をそのまま地面に下ろして考えると、すでに片側50mを超えている。本来は風車ローターが空中に作る球体を地面に下ろし、その外縁の片側50mずつを影響の及ぶ範囲とすべきであり、それだと、50haに相当する出力規模は2~3万kW程度になると考える。このような観点からも規模要件の設定について検討すべきであった。

・検討会が報告書をまとめるにあたっては通常、案をパブリックコメントにかけて広く意見を聴取するが、今回はその手続きがないことも大きな問題である。

〇評価できる点
・「より柔軟なスクリーニング」および「簡易なアセスメント手続き」の導入の必要性が、継続して検討し迅速に措置すべき事項に掲載されたこと。

・「環境影響評価図書の継続的公開」、「事後調査の強化とその成果の活用」、「環境情報の提供とゾーニングの促進」の必要性が喫緊の課題としてただちに措置すべき事項に掲載されたこと。

・3月29日の第7回タスクフォースにおいて、「通常の政令改正では施行は公布から1~2年後が一般的であるが、これを短縮して半年後とし、また、自治体の条例が大よそ整うまでは経過措置として、7,500kW以上5万kW未満を第2種事業としてスクリーニング(法にもとづく環境影響評価を実施するか否かを判定する手続き)の対象とする」ことが示されたこと。

 〇提案
・すべての都道府県で出力規模7500kwまたは10,000kW以上の風力発電事業が条例アセスの対象事業になるまで、第7回タスクフォースで提案された経過措置(7,500kW以上5万kW未満を第2種事業としてスクリーニング対象とする)を継続すること。

・現行法では第2種事業とするか否かの判定に環境省の関与はなく、また、第2種事業は配慮書手続きの実施の有無は事業者の任意であるため、問題がある。その判定に環境省も関与し、また、配慮書手続きの実施も義務化すること。

・法改正を含めた制度的枠組みの検討は、風力発電事業に特化した「地域の環境特性を踏まえたアセスメント制度」といった特別措置法などの新たな法制度の制定が必要であり、その法整備の検討を政令改正と平行して、年度明けから丁寧に行なうこと。

・「環境影響評価図書の継続的公開等」は事業者団体と連携して行うとしているが、それを徹底させるために、アセス法で義務付ける等の法的根拠をもたせること。

・「事後調査の強化とその成果の活用」については、風力発電事業の影響を科学的に検証するうえで非常に重要であるため、電気事業法上の特例を廃し、報告書に対し環境大臣や住民が意見を述べられるようにすること。

・事後調査に関連して、鳥類等生物への影響については順応的管理が重要であることが報告書に記載されているが、順応的管理については、風力発電施設の建設が国内希少野生動植物種等の希少鳥類の生息に影響を及ぼした場合は、風車の運用を停止したうえで原因追究を行い、その結果によって季節や時間帯による稼働制限や運転の一時停止、または移設や撤去を義務化することを政令改正の際に検討すること。

・種の保存法における罰則規定の強化など、自然環境保全関連法の強化、整備を急ぐこと。

・「環境情報の提供とゾーニングの促進」の必要があることが報告書に記載されている。その中で、風況のよい地域に複数の事業が集中し、累積的な影響に関する懸念が高まっていることから、ゾーニングの導入により改善すべきとの意見があったと記載されている。しかし、ゾーニングだけでは累積的影響評価の問題は解決できないので、その評価手法等についてガイドライン等を整備すること。また、温暖化対策推進法改正案に基づく市町村における再エネ導入に係る適地抽出の促進をもってゾーニングとすることが記載されている。検討会において委員からの意見もあったように、保全区域などの指定を伴ったゾーニングを進めるべきである。そのため、保全区域の指定の促進について、政令改正に盛り込むこと。

・現行法で手続き中の風力発電事業については、法と条例の制度の歪みだけでなく自治体の負担を増やすことを避けるため、規模要件が引き上げられた後でも、条例アセスに移行することなく、引き続き現行法でアセスを完了させること。

・法アセスの対象事業となる発電所の出力規模は、発電施設が持つ総発電能力ではなく、実際の発電出力となっている。現在、出力を抑制するという事業計画が出てくるようになっているが(例;4,000kW級風車×20基=8万kWを出力30%に抑制し、2.4万kWの事業計画とする等)、この抑制された出力が規模要件となる。しかし、実際の環境影響、特に鳥類への影響は立地による要因が大きいものの施設規模も関係があることを考えると、単なる出力ではなく、施設の規模や風車の基数などで規模要件を考えるべきである。今後の政令改正において、抑制した出力を規模要件としてどのように判断するかも検討すること。

 

                                                以上

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