宇宙開発とライフサイエンスの融合、「宇宙x生体模倣システム(MPS)ミッション」を開始!

「宇宙用MPS」で新たな産業応用の可能性を開拓します。

有人宇宙システム株式会社

有人宇宙システム株式会社(本社:東京都千代田区 代表取締役社長:有賀 輝 JAMSS)は、東海大学(所在地:神奈川県平塚市 学長:松前 義昭)および東京応化工業株式会社(本社:神奈川県川崎市 代表取締役社長:種市 順昭 TOK)と共同で、宇宙用生体模倣システム(Micro Physiological Systems:MPS)装置の地上試作品を開発し、細胞を使用した実証実験に成功しました。この成果を踏まえ、「宇宙×MPSミッション」を開始し、地上での医薬品、食品、化粧品等の開発への応用を図るとともに、宇宙用MPSを活用したサービスの創出を目指します。 

取り組みの狙いと今回の成果

「宇宙x MPSミッション」は、宇宙利用の成果を地球上の人々の生活に役立てることをコンセプトに、宇宙環境に適応したMPSの実用化を目指しています。当面は地球上の生活に役立つ成果を追求し、将来的には宇宙における長期滞在に役立つ成果を目指すことで、持続可能な取り組みにしていきたいと考えています。

この度、本ミッションにおいて、東海大学およびTOKと共同で、宇宙用MPS装置の地上品を開発・製作し、細胞を使用した実証実験に成功しました。開発過程では、宇宙仕様化 *1 の重要課題である、流体の流路閉鎖系化 *2 にも成功し、マイクロデバイスにおける流体制御技術を確立しました。装置のサイズについては宇宙へ輸送するためのコストや宇宙飛行士の操作性なども考慮し、小型化(2Uサイズ *3 )も図っています。さらに、この装置を用いて、宇宙への輸送や宇宙ステーション内での実験スケジュールを想定した細胞培養実験に成功し、宇宙ミッションへの適応性検証完了に目途を立てました。

宇宙用MPS装置の地上品(外観)

MPSの技術的な特徴

MPSは、ヒトの細胞や組織を実験装置上で精密に培養することにより、従来の細胞培養技術よりも生体に近い環境を再現できるシステムです。さらには、複数の臓器特異的細胞を連結することにより、臓器間相互作用を評価できます。この技術は、医薬品や食品、化粧品等の開発過程において、従来の動物実験やヒトによる臨床試験に代わる新たな手法として活用が期待されています。また、2022年から米国で「アメリカ食品医薬品局(FDA)近代化法2.0」と呼ばれる法律が施行され、新薬の開発過程における動物試験の義務が撤廃されています。これも動物実験代替手法としてMPSへの期待が高まる大きな流れになると考えられます。

近年、欧米や日本国内でも、MPSを用いた技術開発や社会実装に向けた取り組みが積極的に進められています。宇宙分野では、アメリカ航空宇宙局(NASA)をはじめ、米国企業や大学が、国際宇宙ステーション(ISS)の微小重力環境下でMPSを構築する「Tissue Chips in Space」プロジェクトに取り組んでおり、宇宙におけるMPS利用にも注目が集まっています。

MPSイメージ

共同研究の背景

JAMSSは自社開発した宇宙創薬研究支援としてタンパク質結晶生成サービス「Kirara」を展開してきましたが、次の展開として宇宙環境におけるMPSの実用化に着目し、新たな宇宙創薬研究支援の可能性を見出しました *4 。そのなかで、かねてより国立研究法人日本医療研究開発機構(AMED)のMPS第1期事業の成果に基づきMPSデバイスの開発と製品化を進めている東海大学 マイクロ・ナノ研究開発センター/工学部生物工学科の木村啓志教授およびTOKに協力をいただき、2023年より共同研究を開始しました。

今後について

宇宙ステーション(民間宇宙ステーションやモジュール、ISS等)への搭載を目指し、宇宙用MPS装置の開発をさらに進めていきます。MPS技術の利用範囲は今後ますます広がることが予測されます。2030年以降の民間宇宙ステーション時代を見据え、宇宙用MPSを活用したサービスの創出に加え、宇宙飛行士の長期滞在への活用の可能性についても検討していきます。

  

*1宇宙仕様化:装置を打ち上げて、ISSや宇宙ステーションに搭載し運用するためには、装置の設計に対して安全性等の厳しい要件を満たす必要があり、これらの要件を満たすための設計変更や調整のこと。

 

*2流体の流路閉鎖系化:軌道上では、流体の挙動が地上とは異なり、水球となって浮かび上がります。これを防ぎ、流体を意図したように流すために、閉鎖的な管等で流れを制御すること。

 

*3 装置サイズの単位で1Uは10cm立方(10cmx10cmx10cm)。2Uは1Uの1辺が20 cmとなります。

 

*4 JAMSSの宇宙創薬に関わる検討は合同会社メドテックコンサルティング(代表:金森敏幸氏)からも支援いただきながら取り組んでいます。

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東京応化工業株式会社

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有人宇宙システム株式会社(JAMSS)

有人宇宙システム株式会社は国際宇宙ステーション(ISS)/日本実験棟「きぼう」を運用・利用・訓練・安全の観点で地上から見守ってきました。宇宙空間は今や新たな経済圏として民間企業が利用する場に変化しつつあります。JAMSSもまた「民間宇宙ステーション」時代の到来を見据え、「きぼう」の利用、衛星の開発・運用支援や衛星データの活用をはじめとした宇宙利用に力を入れています。さらには有人宇宙開発の最前線で培った技術力を活かし、地球と宇宙をつなぐ架け橋として宇宙探査領域の取り組みにも広く貢献していきます。

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会社概要

有人宇宙システム株式会社

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URL
https://www.jamss.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル8F
電話番号
03-3211-2002
代表者名
有賀 輝
上場
未上場
資本金
4億4500万円
設立
1990年05月