衛星通信と光回線による高信頼・低遅延ネットワークを用いて建設機械の遠隔操縦を実証

~通信インフラが未整備な山間部においても、遅延なく安定した遠隔施工の実現へ~

ハイテクインター株式会社

株式会社IIJエンジニアリング(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:山井 美和、以下IIJエンジニアリング)とハイテクインター株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:旦尾 紀人、以下ハイテクインター)は、国立研究開発法人 土木研究所の建設DX実験フィールド(茨城県つくば市)とIIJエンジニアリングの本社オフィス間において、衛星通信Starlink 2回線と、2種類のフレッツ光回線を用いた高信頼・低遅延ネットワークを構築し、ネットワーク状況が動的に変動する環境下における建設機械(以下建機)の遠隔操縦に関する実証実験を、11月21日に実施しました。今回の実証では、山間部など通信インフラが未整備な地域でも、衛星通信と光回線による信頼性の高いネットワークならびに映像伝送環境を構築することで、建機を遅延なく安定して遠隔操縦できることを確認しました。

1.背景・目的

建設業界では、労働人口減少に伴う作業員不足への対応として、国土交通省の「i-Construction2.0」*1で推進される、建設現場の省人化に向けた取り組みが進められており、その一つとして通信ネットワークを活用した遠隔施工に注目が集まっています。しかしながら、山間部や都市部から離れた地域の建設現場では、必ずしも通信インフラの整備が行き届いておらず、また、実際に遠隔操縦に必要な映像伝送にはネットワーク遅延影響を最小化することや、限られたネットワーク帯域で多数の映像を効率的に伝送することが求められるなど、遠隔施工の本格的な普及には依然として多くの技術課題があります。

これらの課題をうけ、本実証では、場所を選ばず低価格で利用可能なネットワークと、低遅延で効率的に現場映像を送受信できる映像伝送システムを用いて信頼性の高い映像伝送環境を構築し、実際の建機を用いた遠隔操縦の検証を行いました。

*1 国土交通省: “i‐Construction 2.0 ~建設現場のオートメーション化~” 

2.実証実験の概要

実証実験は建設DX実験フィールドにおいて、建機に搭載した4台のハイビジョンカメラの映像を高圧縮で符号化可能なハイビジョンビデオエンコーダー「LVRC-4000」*2により圧縮、さらに現場を俯瞰するためのハイビジョンカメラ1台、計5台のカメラ映像をメッシュWi-Fi、2台の「Starlink Mini」、2種類のフレッツ光回線を介してIIJエンジニアリング本社オフィスとの間で伝送を行いました。同時にオフィス側からは、建機操作とカメラコントロール用のデータも送信しました。片側回線断や再接続など回線状況を変化させても安定して映像を低遅延で伝送し、良好な操作性で建機を操縦できることが確認できました。

*2 ジツタ中国:“2Kx4ch(4Kx1ch)低遅延映像伝送装置 LVRC-4000”

図1 実証実験構成

≪各社の役割≫

IIJエンジニアリング:建機遠隔操縦に用いる無線通通信インフラの設計・運用

ハイテクインター:超低遅延映像伝送装置、建機遠隔操縦に用いる無線通信・機器の実証

土木研究所:自動施工技術基盤(OPERA)の提供

ジツタ中国:CT建機の遠隔操縦利用、技術の実証

図2 実証実験の様子

3.実証実験の主な技術要素

(1)信頼性の高いネットワークの構築

  遠隔操縦にあたっては、建設現場側、遠隔操縦側の双方に安定した映像伝送が可能な信頼性の高いネットワーク構築が必要になります。本実証ではIIJエンジニアリングが構築した、低価格な衛星通信「Starlink Mini」2回線と2種類の光回線(フレッツ/フレッツクロス)を使った冗長化ネットワークにより、常に安定した映像伝送を可能にしました。

(2)多数のカメラ映像の高品質伝送

  1台の建機に搭載するカメラは4台程度、さらに現場確認のために最低1台の俯瞰カメラが必要になるため、これらの映像を、利用可能なネットワーク帯域の中で効率的に伝送する必要があります。ハイテクインターではこの課題を解決するための技術として「BAERTⓇ(Bandwidth Adaptive and Error Resilient video Transmission)」を開発しました。BAERTⓇは、帯域最適化映像伝送(図3)と伝送エラー耐性技術(図4)から構成され、どのような回線、映像変化に対しても高品質な映像を安定的に伝送することが可能になります。

図3 帯域最適化映像伝送(左:BAERTオフ,右:BAERTオン)

図4 伝送エラー耐性(左:元画像、中央:BAERTオフ、右:BAERTオン) 

(3)超低遅延映像伝送

遠隔地から建機を正確に操縦するためには、建機に搭載したカメラから操縦席にあるモニタまでの遅延をできる限り短くする必要があります。ハイテクインターで開発したハイビジョンビデオエンコーダー「LVRC-4000」による超低遅延映像伝送技術により、コーデック(データ符号化)での遅延を50msecに抑え(図5)、遠隔地からも良好な操作性で正確な建機操縦が可能です。

図5 超低遅延映像伝送

4.今後の展開

今回の実証は、山間部など通信困難な地域でも、衛星通信装置を活用して信頼性の高いネットワークならびに映像伝送環境を構築することにより、建機を遅延なく安定して遠隔操縦できることを確認しました。今後はさまざまな現場ならびに遠隔操縦環境での実証実験を通じて、映像伝送環境の改良と知見の蓄積を進め、幅広いお客様のニーズに対応した建設DXの推進に貢献してまいります。

なお、本実証実験は、国土交通省SBIR(Small Business Innovation Research)建設技術研究開発助成制度*3の委託を受けて実施したものです。また、本実験の一部は、国立研究開発法人土木研究所、ハイテクインター株式会社、株式会社ジツタ中国、および株式会社中電工との共同研究(「自律施工技術基盤OPERAを利用した機械土工の生産性向上に関する共同研究」)として実施しました。

*3 国土交通省報道発表資料 「SBIR建設技術研究開発助成制度の採択課題の決定」

  ~建設分野のイノベーションに資する19件の技術開発を支援!~

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会社概要

ハイテクインター株式会社

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業種
情報通信
本社所在地
東京都渋谷区代々木2-5-4 榊原記念ビルディング
電話番号
03-5334-5260
代表者名
旦尾 紀人
上場
未上場
資本金
5000万円
設立
1998年11月