【調査レポート】なぜ自治体の保育士確保策は上手くいかないのか？

「潜在保育士110万人」と「“共倒れ”を招く加算競争」。保育業界の持続可能な人材確保の戦略は？

キャリアフィールド株式会社

2025年11月11日 15時30分

全国の自治体が直面する「保育士確保」をテーマに、キャリアフィールド株式会社（本社：東京都渋谷区、代表取締役：都築裕一）は、最新の調査レポート『保育士養成システム崩壊。〜なぜ自治体の保育士確保策は上手くいかないのか〜』を公開しました。

■ 崩壊する3つの採用ルート：もはや「宝の山」も「青田買い」も通用しない

保育士確保の三本柱としてきた「中途採用」「新卒採用」「潜在保育士」。

今、これらのルートはそれぞれ深刻な課題に直面しています。

【潜在保育士の幻想】：「110万人の余力は、わずか3%」という衝撃の試算

保育業界は「資格を持つが働いていない潜在保育士110万人」に望みを抱いてきました。

しかし、本レポートではその内訳を詳細に分析し、年齢・健康状態・他業種での就労状況などを考慮すると、1年以内に保育現場へ復帰できる可能性のある「復帰余力」は、全体のわずか1.3〜3.8％（約1.4万〜4.2万人）に過ぎないと試算。

潜在保育士は「宝の山」ではなく、「限界リソース」であることが明らかに。

【新卒採用の枯渇】：「8年間で6割減」養成校システムの崩壊

若手人材の供給源である保育士養成校、特に短期大学の入学者数は、平成29年の約2万人から令和7年には約9千人へと、わずか8年間で6割近くも減少しています。これは単なる少子化ではなく、深刻な「保育離れ」であり、新卒採用ルートが急速に細っている現状から原因を分析。

【中途採用の限界】：人材紹介会社への流出とコスト高騰

即戦力を求める中途採用市場は、民間人材紹介会社の影響下で獲得競争が激化。

高額な紹介手数料が保育園経営を圧迫し、さらに自治体がイベント等で掘り起こした潜在保育士は、より条件の良い職場を求めて人材紹介会社に流れてしまうという構造的な問題も浮き彫りに。

■ 「地域の独自加算」という“共倒れ”のシナリオ

自治体が陥りがちなのが、給与上乗せや家賃補助といった「独自加算」による近隣自治体との人材獲得競争です。これを「引くに引けないチキンレース」と化しています。

地域全体の人材総量が減少する中、限られたパイを奪い合う消耗戦は、自治体の財政負担を増大させるだけでなく、財源の乏しい自治体から人材流出を加速させ、最終的には“共倒れ”を招く危険な対症療法であると指摘。

■ 解決策：新たな選択肢「育てる仕組み」への転換

「今、求められているのは、過去の成功体験の延長線上にはない、全く新しいアプローチです。

それは、限られた人材を『奪い合う』のではなく、地域内で新たな人材を『育てる』仕組みを構築することです。」

本レポートでは、その具体的な解決策として、保育の仕事に関心のある無資格者を、働きながら保育士資格取得までを支援する「自治体連携型資格取得支援制度」と「体系的な職業体験の構築」を提示。

これらの仕組みを導入することで、自治体は実質的な財政負担ゼロで持続可能な人材育成の仕組みを構築することが可能となります。

■ 詳細レポート（ホワイトペーパー）ダウンロードのご案内

これらのデータと具体的な解決策の全体像を網羅した調査レポート『“保育士養成システム”崩壊。』（全19ページ）を、以下よりダウンロードいただけます。

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