Spiber、自社素材の量産で培った発酵生産技術を受託事業として社外に開放
構造タンパク質を100 kL超の商業スケールで量産してきた菌株開発・発酵生産の技術と設備を、社外のものづくりに開放。BioJapan 2026(10月7〜9日・パシフィコ横浜)で初披露。
Spiber株式会社(本社:山形県鶴岡市、代表取締役CEO:川名麻耶、以下「当社」)は、自社素材Brewed Protein™の量産で培ってきた微生物発酵によるタンパク質生産の技術・設備を、他社のものづくりに開放する新事業「SPIBER BIOFOUNDRY(スパイバー バイオファウンドリ)」を開始します。当社は、量産が困難とされてきた構造タンパク質を、約20年かけて商業スケールでの生産に到達させました。本事業は、その道のりで最も難しい工程であるスケールアップそのものを、サービスとして提供するものです。
本事業は、2026年10月7日〜9日にパシフィコ横浜で開催される「BioJapan 2026」で初めて披露します。


■ 事業開始の背景
ラボでは高い生産量が出ても、商業スケールでは再現できない。研究開発の現場で繰り返されてきたこの「スケールアップの谷」に加え、パイロットから商業規模までの受託発酵キャパシティは世界的に逼迫しています。
さらに、自社の組換えタンパク質をラボから商業生産設備での安定生産まで実際に到達させた事業者は、世界でもごく限られています。当社はこれをBrewed Protein™で実現し、生産菌株と培養条件の最適化により、商業生産設備での自社タンパク質生産において50 g/Lの生産濃度に到達しています。これは試験管のチャンピオンデータではなく、実機での到達値です。(到達可能な生産濃度は対象タンパク質・培養条件等により異なります。)
当社の最大の資産は、ひとつの素材ではなく、それを生み出した生産基盤です。菌株開発・発酵・精製の技術と、鶴岡のラボから100 kL超のタイ商業プラントに至る設備を、Brewed Protein™のために長年かけて築いてきました。
この基盤が生み出せる価値はひとつの素材にとどまりません。SPIBER BIOFOUNDRYは、この生産基盤をサービスとして展開し、素材と並ぶ新たな事業の柱として、微生物によるものづくりの可能性をあらゆる分野へ広げるものです。
■ SPIBER BIOFOUNDRYの2つのサービス
1. タンパク質高生産菌株開発
目的タンパク質の発現量・特性を最適化し、ベンチマーク比で生産性を大きく引き上げる菌株を開発します。遺伝子配列の最適化、当社宿主菌株への遺伝子組換え、培養評価までを行い、開発した菌株は基本的に使用ライセンスとしてご提供します。
これまでに菌株開発に取り組んだ目的タンパク質の90%超で、当社の設計配列は最適化前の元の配列を上回る生産量を示しました。向上幅は平均4倍・最大40倍でした(※1 )。構想の段階からご相談いただけます。
2. プロセス開発・受託製造
生産菌をすでにお持ちのお客様を対象に、1 Lの培養槽から100 kL超の商業生産設備まで、培養条件の検討、パイロット試作、商業スケールでの製造までを一貫して提供します。
研究用試薬、産業用酵素、診断原料、食品素材など、タンパク質・発酵生産物、培養菌体を対象とします。
いずれのサービスも、初回相談から同じチームが案件を担当し、鶴岡のラボからタイの商業プラントまで、実スケールで検証を進めます。
脚注
※1 自社実績。対象タンパク質・条件により異なります。菌株開発事例:ヒトFGF-2およびヒトIFN-γでは、目的タンパク質ごとに当社が設計した5種類の遺伝子配列すべてが、市販の遺伝子合成サービスが最適化した同じ遺伝子(対照)を生産量で上回りました(対照比:FGF-2 5.9〜9.4倍、IFN-γ 1.1〜2.6倍)。
代表取締役 CEO 川名麻耶のコメント
優れた技術が、量産の壁を越えられずに消えていく。私たちは、その現実を幾度も目にしてきました。Spiber自身もまた、その壁を前に、歩みを止めかけた当事者です。
ラボで成功した発酵を大規模な生産設備で再現し、市場に受け入れられる価格で安定的に生産する。この最後の数歩にこそ、最も多くの時間と資金を要します。費用だけが積み上がる期間が長引くほど、事業の生存確率は低下していく。技術の優劣より先に、時間が勝敗を決めてしまうのです。
量産の壁は、越えられる。Spiberはそれを自ら証明してきました。商業価格での量産を実現したBrewed Protein™は、40以上のブランドに採用され、上市された製品は200を超えます。その数は、いまも年々拡大しています。
一方で、技術を事業として成り立たせ続けることの難しさも、私たちは身をもって知っています。だからこそ、製品化までの時間がどれほど重いかを、誰よりも理解しています。
多様な構造タンパク質の開発を通じて培ってきた、ラボの成果を工場へ、そして市場へとつなぐ技術とノウハウ、設備。これを、自社だけにとどめておく理由はありません。自らの事業のために築いてきた基盤を他社の挑戦へと開き、製品化までの時間を一日でも短縮する。それが、SPIBER BIOFOUNDRYを始める理由です。
戦略パートナー各社との開発は、すでにアパレル繊維から他の産業分野へと広がっています。本事業を通じた新たな出会いが、これまで想像し得なかった共創を生むものと信じています。
一社でも多くの挑戦を商業化へとつなぎ、発酵技術によるものづくりをあらゆる産業へ広げることで、資源を奪い合わない世界を、いち早く実現してまいります。


■ BioJapan 2026 出展概要
会場のブースでは、菌株開発と培養プロセスの担当研究者が常駐し、「生産量が上がらない」「スケールアップで止まっている」「少量から製造できる場所を探している」といったお客様の具体的な課題について直接ご相談を承ります。また、当社が自社の生産菌で商業生産設備において到達したタンパク質生産濃度など、本事業の技術的な実績もご紹介いたします。
・展示会名:BioJapan 2026
・会期:2026年10月7日(水)〜9日(金)
・会場:パシフィコ横浜(神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1)
・ブース:鶴岡サイエンスパーク 共同ブース内 A-05
・展示内容:バイオファウンドリ事業「SPIBER BIOFOUNDRY」(タンパク質高生産菌株開発/プロセス開発・受託製造)
・公式サイト:https://jcd-expo.jp/ja/biojapan/
■ サービスページ・お問い合わせ
サービス概要、料金、よくあるご質問は以下のページでご覧いただけます。
SPIBER BIOFOUNDRY:https://spiber.inc/ja/biofoundry
本事業に関するご相談は、上記ページ内のお問い合わせフォーム、または biopartnerships@spiber.inc までご連絡ください。
■ Spiberについて
Spiber株式会社は、2007年に山形県鶴岡市で創業したバイオベンチャーです。植物由来の糖を主原料に微生物発酵からつくられる構造タンパク質素材「Brewed Protein™」を開発し、アパレルをはじめとする分野で、生物の力を生かした循環型のものづくりの実現に取り組んでいます。山形県鶴岡市の研究拠点とタイの商業生産設備を有し、配列設計から菌株構築、発酵、精製、量産までを自社で一貫して行っています。
会社概要
・社名:Spiber株式会社
・所在地:山形県鶴岡市覚岸寺字水上234-1
・代表者:代表取締役 CEO 川名麻耶
・設立:2007年9月
・URL:https://spiber.inc/
■ 本リリースに関するお問い合わせ
Spiber株式会社 広報
E-mail:sp-ccpr@spiber.inc
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