【放課後NPOアフタースクール、休眠預金資金分配団体に決定】特性・事情・環境に関わらずすべての子どもが成長できるインクルーシブな放課後を目指して放課後児童クラブ等を支援
5月15日〜6月4日まで実行団体を募集
【事業概要】
事業名:「排除」から「包摂」へ インクルーシブな放課後創造事業
資金分配団体:放課後NPOアフタースクール [コンソーシアム構成団体]READYFOR株式会社
対象地域:全国
事業期間:2024年9月1日〜2027年2月28日まで(最長2年5ヶ月程度)
公募期間:2024年5月15日(水)10時~6月4日(火)17時(予定)
採択予定実行団体数:5~6団体(計15拠点)程度
1団体あたりの助成額:最長2年5ヶ月の合計で2,000万円~4,000万円程度(拠点数により変動)
休眠預金活用法とは
「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」(休眠預金等活用法)に基づき、2009年1月1日以降の取引から10年以上、その後の取引のない預金等(休眠預金等)を社会課題の解決や民間公益活動の促進のために活用する制度。2019年度より開始。
【本事業の趣旨と実施背景】
放課後児童クラブなどに希望しても入れない「待機児童」は全国で1万6,825人(2023年時点)。なかでも排除されているのが、発達特性などの事情を抱える子どもたちです。現在、小学校に通う児童のおよそ10人に1人が発達障がいまたはその疑いがあるとされ、特別な配慮を要する児童(6-12歳)の数は全国で90万人近くに及びます。それにも関わらず、放課後児童クラブ等の4割以上は障がいや特性を持つ児童を受け入れておらず、また受け入れている施設も、その7割が3人以下しか受け入れていません(厚労省調査)。「障がいがある場合は断る可能性」「集団生活ができないと利用困難」といった排除規約を定めている自治体もあります。その結果、子どもたちは多様な経験を積む機会を奪われ、保護者は自宅での見守りや遠方施設への送迎を強いられるなど、就労困難や生活の質の低下に直面しています。
一方で、運営側の視点に立つと、多くの子どもを同時に見守る放課後の現場で、特定の子どもへの適切な支援や配慮を実現するには、職員の専門性や環境・体制の整備、関係各所との連携など多岐にわたる対応が求められ、運営の負担が非常に大きくなります。私たちも運営事業者の立場においては、そのような課題感を抱えながら日々試行錯誤しています。
こうした両者の課題解決に向けて、本事業では、様々な特性や事情に関わらず、すべての子どもたちが安心して居ることのできる「インクルーシブな放課後の居場所」をつくる活動に資金・非資金的支援を行います。
【支援先実行団体および伴走支援について】
本事業は以下の団体を主な実行団体として想定しています。
①放課後児童クラブ(学童保育)・放課後子ども教室など制度事業による居場所を運営する団体
②子ども第三の居場所など、助成金や寄付など自主財源で居場所を運営する団体
本事業は、実行団体に対して資金支援(助成金提供)を行うと共に、以下の観点を踏まえた非資金的支援(伴走支援)を予定しています。資金分配団体と実行団体の双方で目標達成を目指します。
オンライン公募説明会開催
テーマや助成対象事業に関するご説明、申請をご検討いただいている皆様からご質問をお受けする機会として、オンライン公募説明会を実施いたします。
日時:2024年4月25日(木)10:30〜12:00
参加申込:以下のフォームより要事前申込み
https://forms.gle/HsGwDY6haK7Th8Sk7
公募要項を含む公募に関する詳細情報および伴走支援内容の詳細は、以下のページにて随時更新を予定しています。
「排除」から「包摂」へ インクルーシブな放課後創造事業|公募内容詳細ページ
<参考資料>
小学生の放課後の居場所における要配慮児童の受け入れに関する調査結果
本事業の設計にあたり、全国の放課後の居場所を対象にした個別支援や配慮を要する子どもの受け入れに関する実態調査を実施しました。調査結果から見えてきた現場の課題についてご報告いたします。
調査結果サマリー(概要資料URL:https://x.gd/80qoi)
要配慮児童を含めすべての子どもを受け入れる必要性は認識されている一方、「十分に受け入れられている」と答える割合は50%に満たなかった。
要配慮児童を受け入れている現場の課題として、「スタッフの専門性の不足」に関する回答が多く、ついで「人手不足」や「場所・環境面の不足」があがった。十分に受け入れができていない理由についても、同様の傾向が伺えた。
要配慮児童の受け入れに向けて必要なサポートとしては、「職員への研修や専門性の向上」「学校や専門機関との連携・情報共有」にニーズが集まった。
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調査概要
調査期間:2023年9月22日〜10月18日
調査対象:全国の放課後の居場所運営に携わる行政職員または事業者
調査方法:アンケートフォームによるWEB調査
有効回答数:331件(回答者の地域の偏りを補正するため、ウェイトバック集計をしています)
調査項目:
・放課後の居場所の種別・運営形態、規模(利用人数)
・要配慮児童の受け入れ状況とその理由、受け入れの必要性についての意識
・要配慮児童の受け入れにあたっての課題
・要配慮児童の受け入れ体制
・要配慮児童の受け入れに向けて求められているサポート
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「要配慮児童を含めて全ての子どもの受け入れが必要だ(とても+まあ)」と回答したのは70%に対して、「受け入れが十分にできている」と回答したのは45%
◆受け入れが十分にできていない理由(一部抜粋)
施設の環境が整っていない(それぞれの特性が違う為すべての児童に適した環境にすることが難しい)対応するスタッフが限られている。専任のスタッフがついて対応することが難しい。
すべての子を分け隔てなく受け入れることは、子どもの情操教育や人間関係の構築において重要だと思うが、人員不足や人数に対するスペースの狭さから、配慮を要する子どもに対しての、サポート提供に課題がある。
受け入れは行っているが、ワンフロアーに大人数の児童が過ごしている状況で、配慮が必要な児童にとって居心地の良い場所になっていない。職員数が不足している。また、専門性に欠ける面がある。
受け入れにあたっての課題を聞くと、「他児とのトラブルへの対応(73%)」や「コミュニケーションが難しい児童への対応(45%) 」など、スタッフの専門性の不足についての回答が多くあがりました。また、人手不足や場所・環境面の不足も問題になっていることも伺えました。
◆受け入れている施設が抱えている課題(一部抜粋)
申し込みさえ出せばすべて受け入れることになっている。定員というものもなく、どんなに人数が増えても詰め込むだけ詰め込んでいて、個別に配慮が必要な子もすべて受け入れている。現場にはもう限界が来ているという話をしても何も変わることはなく、職員は疲弊している。
特別な配慮が必要な子には、その特別な配慮を出来るだけの人員とスペースを兼ね備えた施設が必要だと思う。当市の児童クラブでそれをそろえることは不可能で、しっかり配慮をし対人関係等を学ぶことで落ち着いて過ごすことが出来るであろう子たちが、その機会さえ持てずにただただ大人数の中でトラブルを起こし続けている現状がある。6年間そんな環境で過ごしてしまった子たちはもう取り返しがつかないと感じている。すべてのお子様を行け入れているが、十分な知識もなく、対応に困ることもあるし、クールダウンする場所・部屋もない。子どもの困っていることに充分な対応ができていない。
要配慮児童の受け入れにあたってどのようなサポートがあるとよいかを聞くと、「職員への研修や専門性の向上(51%)」が最多、次いで「学校や専門機関との連携・情報共有(46%)」という回答が多くあがりました。
調査を行った放課後NPOアフタースクール代表理事:平岩国泰より(調査レポートより抜粋)
2023年4月に「こども基本法」が施行され、「こどもの権利」保障に向けた動きが加速するなか、こども家庭庁は「こどもの居場所づくりに関する指針」において、子どもの視点に立った居場所づくりの重要性を示した上で、放課後児童クラブや放課後等デイサービスをはじめ、すべての子どもが放課後を安心・安全に過ごせるための多様な居場所づくりの推進に力を入れる方針を掲げています。そのような流れがある一方、子どもの特性や言動を理由に放課後児童クラブを「やめさせられた」という保護者の嘆きがSNS等に投稿されることが未だなくならず、放課後の居場所において適切な支援や配慮ができていない現状が垣間見えます。今回の調査をきっかけに、配慮が必要な子どもの受け入れにあたっての課題が明らかとなり、解消に向けた取り組みが進むことを期待しています。
すべての子どもを受け入れている居場所へのサポート強化を
今回の調査で明らかになった現場の課題は、運営事業者だけでは解決できないことも多くあることから、行政と連携して対策を進めていくことが必要だと感じています。放課後NPOアフタースクールでは、今後もこうした実態調査を行いながら多様なステークホルダーと手を取り合い、必要な支援に取り組んでまいります。放課後の過ごし方や居場所に悩む子どもたち・家族に寄り添い、社会に発信することですべての子どもたちにとって、放課後が自由で豊かなものとなるよう、邁進してまいります。
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