ヘルスケアDX:医療機関、行政機関や保険者、介護施設の連結がデジタルで完結するシステムの全国展開へ
― データ利活用の「集中型から分散型への転換」と「同意依存からの脱却」―
このようなデータ利活用は国際的に実装されつつあり、我が国もデータ利活用に舵を切り、医療・介護の制度改善に加え、地域密着産業群で高付加価値サービスを提供できるようにすることで、地域社会の持続可能性を確保することが重要です。そして実践例を通じ、国際社会における「信頼のおける自律・分散型のデータガバナンス」「国際標準」の確立を我が国主導で果たすべきです。
このたび、佐藤大介主席研究員と藤田卓仙主席研究員、小野崎耕平研究主幹を中心とする研究班では、我が国のヘルスケアのDX(価値変革)に向け、提言書を公開いたします。
[提言書 全文はこちら]
https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=4453
■ 提言書 骨子
第1章 超高齢化・人口減少社会と健康危機対応を両立させる保健・医療システムの構築に向けて
1. 超高齢者の増加と労働人口の減少に対応するには「地域」を超えたヘルスシステムが必要
2. 国民の命と健康を守るためには「医療」という領域を超えたヘルスシステムが必要
3. 公衆衛生のためにデジタル技術を活用できるヘルスシステムが必要
第2章 ヘルスケアDXの本質: 集中型・事前規制から分散型・出口規制へ
1. ヘルスケアDXにおける分散型システムの可能性
2. データ活用は、同意ベースの事前規制から出口規制へ
3. 分散型システムで世の中はどう変わるのか
第3章 住民視点に立った医療DXの本格運用に向けた政策アジェンダ
付録 シンポジウム「長崎からG7のその先へ-デジタル×地域医療の未来図-」概要
■ 提案 要旨
提案1.住民視点に立ったデジタル化した医療サービスおよびヘルスシステムを実現するため、地域で共通電子カルテを導入・展開する。運用が継続できている地域や、デジタル田園都市、デジタル化への取り組みに積極的な都道府県・自治体に着目し、政府が主導するデジタル基盤を活用した共通電子カルテの実運用に関する論点整理と、それらを踏まえた医療DX基盤を活用したポストコロナ・ヘルスシステムの実証実験を行う。
提案2.医療DX基盤の研究開発の完成を見据えて、医療機関だけでなく行政機関や保険者、介護施設等との連結を含めたデジタルで完結させる運用への変革の試行的導入を推進させる。
提案3.医療DXによるヘルスシステムを実践するため、地域に根ざした分野横断的な人材開発の研究を進め、全国へ展開する。
[研究プログラム]
「ポスト・コロナ時代における持続可能かつレジリエントな医療・看護・介護システムの構築に関する研究」
https://www.tkfd.or.jp/programs/detail.php?u_id=33
「ポストコロナを見据えたヘルスシステム・イノベーションに関する研究」
https://www.tkfd.or.jp/programs/detail.php?u_id=36
[執筆者]
佐藤 大介 東京財団政策研究所 主席研究員/藤田医科大学医学研究科 教授
藤田 卓仙 東京財団政策研究所 主席研究員/慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室 特任准教授
宮田 裕章 東京財団政策研究所 研究主幹/慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室 教授
小野崎 耕平 東京財団政策研究所 研究主幹/聖路加国際大学公衆衛生大学院 医療政策管理学 教授
渋谷 健司 東京財団政策研究所 研究主幹
[研究プログラム関連成果一覧]
https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=4089
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◇◆東京財団政策研究所の方向性◆◇
戦後75年が過ぎ、国内外を問わず、社会の大きな転換が進んでいます。この大転換は、戦後の政治・経済・社会の体制から本格的に脱皮し、市民一人ひとりが独立した人間として自らの人生と社会の充実、国家の再生、平和の維持に携わる新しい時代を日本にもたらしています。また、この新たな時代を創るための政策研究・実践のイノベーター(革新者)として、戦後の体制からの独立した政策シンクタンクが必要とされています。
当財団の研究部門は、この大転換期が求める日本再生のイノベーターを目指します。
◇◆取り組む分野◆◇
国際情勢と歴史認識への冷静な視座のもと、下記5領域で約30の研究プログラムを並行して進めています。
Ⅰ. 経済・財政、環境・資源・エネルギー
Ⅱ. 健康・医療・看護・介護
Ⅲ. 教育・人材育成、雇用・社会保障
Ⅳ. 科学技術、イノベーション
Ⅴ. デジタル革命、デジタル化による社会構造転換
所在地:〒106-6234 東京都港区六本木三丁目二番一号 六本木グランドタワー34階
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