「業界別フィジカルAI産業構造分析レポート2026」を公開 - 株式会社Lister
フィジカルAI関連企業734社・1,105件の企業×業界関係を分析。製造・物流・建設・医療・農業・モビリティなど15業界で異なるフィジカルAIの供給構造を可視化
製造業領域に特化した市場情報調査・データ提供基盤を開発する株式会社Lister(本社:東京都港区、代表取締役:永良慶太)は、独自に収集・整備したフィジカルAI関連企業データベースをもとに、製造業、物流、建設、医療、農業、モビリティなど15業界の供給構造を比較分析した「業界別フィジカルAI産業構造分析レポート2026」を公開しました。
本レポートでは、フィジカルAI関連企業734社を分析。1社が複数業界に関わるため、企業と業界の関係1,105件を対象に、業界ごとの価値連鎖・技術構成・企業タイプなどを比較しました。
分析の結果、同じ「フィジカルAI」であっても、農業ではロボット本体、建設では認識・センシング、交通・モビリティでは計算・制御基盤など、業界によって供給構造の重心が大きく異なることが分かりました。
また、一般製造業と食品・飲料、物流・施設管理・小売、建設・エネルギーなど、業界分類は異なっていても、現場で解くべき作業や実装構造が近い業界では、供給企業の機能構成も近づくことが確認されました。
分析結果と主要グラフは特設サイト上で公開しています。PDF版レポートも無料で提供しています。
業界別フィジカルAI産業構造分析レポート2026 特設サイト:
https://lister.jp/physical-ai/chaos-map/industry/report/

調査・分析の背景
生成AIの進化に伴い、AIの活用領域はデジタル空間から、ロボットや機械が現実世界を認識・判断し、実際に動作する「フィジカルAI」へと広がりつつあります。
一方、「フィジカルAI市場」を一つの市場として捉えるだけでは、実際の事業機会や参入構造を十分に理解できません。
工場・物流倉庫・建設現場・病院・農場・店舗では、対象物・作業環境・安全要件・既存設備・運用体制が大きく異なります。そのため、同じロボティクスやAI技術であっても、必要とされる技術や企業の組み合わせは業界ごとに異なります。
株式会社Listerではこれまで、フィジカルAI関連企業1,000社超の企業データベースを構築し、
-
フィジカルAI産業構造・バリューチェーンレポート2026
-
フィジカルAI技術スタック分析レポート2026
-
フィジカルAI導入・実証トレンドレポート2026
-
中国フィジカルAI産業分析レポート2026
-
米国フィジカルAI産業分析レポート2026
など、複数の切り口からフィジカルAI産業を分析してきました。
今回はその企業データに「どの業界で使われているか」という軸を重ね、業界ごとにフィジカルAIの供給構造がどのように異なるのかを分析しました。
分析から見えた5つの産業構造
1.業界分類より「作業構造」が供給企業を束ねる
企業構成を比較すると、
① 一般製造業/食品・飲料/農業
② 物流・倉庫/不動産・施設管理/小売・商業
③ 建設・インフラ/エネルギー・プラント
という、異なる業界を横断するまとまりが確認されました。
一般製造業と食品・飲料では、ロボット本体、認識・センシング、システム統合の組み合わせが近くなっています。
物流・施設管理・小売では、単体ロボットよりも、既存設備、店舗・建物、業務システムとの接続が共通項となります。
建設とエネルギーでは、現場を認識し、遠隔から判断・制御し、継続運用する機能が重なります。
つまり、業界名が違っていても、現場で解こうとしている作業が近ければ、必要とされる供給企業の組み合わせも近づくことが分かります。

2.同じフィジカルAIでも、価値が生まれる層は業界ごとに異なる
主要10業界について、全15業界平均との差が大きい供給側の要素を比較すると、それぞれ異なる特徴が現れました。
-
一般製造業:製品・サービス化
-
物流・倉庫:自動化・マテハン
-
食品・飲料:複数業界型企業
-
建設・インフラ:認識・センシング
-
医療・介護:ロボット・機器メーカー
-
不動産・施設管理:クラウド・通信・データ基盤
-
エネルギー・プラント:運用・保守
-
農業・一次産業:ロボット本体
-
交通・モビリティ:計算・制御基盤
-
小売・商業:業界横断型基盤
「フィジカルAI」という共通の技術テーマでも、どのレイヤーに事業機会や実装上の重要性が現れるかは業界によって異なることが分かります。

3.一般製造業では「製品情報」、施設・建設では「導入事例」として可視化されやすい
企業と各業界との関係が、公開情報上どのような形で確認されるかにも違いがありました。
一般製造業では、製品・サービスとして外部提供する情報が63.4%を占めました。
一方、導入・稼働事例の構成比は、
-
不動産・施設管理:46.3%
-
建設・インフラ:44.9%
-
医療・介護:40.9%
-
物流・倉庫:40.7%
となりました。
これは市場の成熟度を直接示すものではありません。
一般製造業ではカタログや製品ページを通じて供給企業が可視化されやすい一方、施設・建設・物流などでは、実際の案件や現場導入事例を通じて供給関係が可視化されやすいという違いを示しています。

4.一般製造業では業界特化型、小売では業界横断型の基盤企業が多い
企業がどの範囲の業界へ展開しているかを見ると、一般製造業では業界特化型企業が56.8%を占めました。
一方、業界横断型の基盤企業は、
-
小売・商業:60.7%
-
エネルギー・プラント:47.4%
-
医療・介護:40.9%
-
交通・モビリティ:40.6%
となりました。
一般製造業では業界固有の工程知識や個別実装が重要になりやすい一方、小売・エネルギーなどでは、半導体、クラウド、通信、制御基盤などの共通技術を、業界固有の業務へ接続する構造が強く現れています。

5.「ロボット本体を作る市場」と「現場へ組み込む市場」は同じではない
ロボット本体とシステム統合の構成比を比較すると、大きな差が見られました。
農業では、
-
ロボット本体:45.9%
-
システム統合:13.5%
医療・介護でも、
-
ロボット本体:38.6%
-
システム統合:9.1%
となっています。
一方、一般製造業では、
-
ロボット本体:15.6%
-
システム統合:34.1%
と逆転しています。
ロボット本体を供給する企業が多いことと、既存設備や業務システムへ組み込み、最終的な現場実装を担う企業が多いことは同義ではありません。
フィジカルAI市場を見る際には、「誰が機体を作るか」だけでなく、「誰が最終的な現場責任を持つか」まで見る必要があります。

主要10業界から見える特徴
本レポートでは、主要10業界について、それぞれ供給構造を整理しています。分析の詳細についてはPDF版レポートに掲載しております。
一般製造業
製品供給とシステム統合が二層で成立。505社のうち製品・サービス化320社(63.4%)、システム統合172社(34.1%)。
物流・倉庫
AMR・AGV単体ではなく、フリート制御、倉庫設備、倉庫管理システムなどを束ねた搬送システムとして供給される構造。
食品・飲料
一般製造業向け技術の横展開が多い一方、不定形物の把持、衛生、洗浄、温度管理など食品固有の条件への対応が必要。
建設・インフラ
認識・センシング57.3%。変化する現場の認識、移動、遠隔技術、安全・測量・認証などの専門支援が特徴。
医療・介護
ロボット・機器供給が前面に出る一方、SIや導入支援企業は相対的に少なく、規制・業務適合・教育などが実装機能に含まれる可能性。
不動産・施設管理
建物設備、エレベーター、入退室管理、運用データなど、既存設備への接続が中核。
エネルギー・プラント
認識・センシング、計算・制御、運用・保守が一つのライフサイクル型供給構造を形成。
農業・一次産業
ロボット本体45.9%。作物・圃場・天候に対応した専用ロボットが先行する一方、工程横断の統合は相対的に少ない。
交通・モビリティ
計算・制御基盤53.1%。車両本体以上に、シミュレーション、エッジ計算、制御ソフト、学習データなどの開発基盤が特徴。
小売・商業
業界横断型基盤企業60.7%。AI・半導体・クラウドなどの共通技術が店舗・在庫・接客業務へ流入する構造。
事業開発・投資・導入に向けた3つの示唆
ベンダー:業界名ではなく実装責任の所在を見る
一般製造業ではSIer、物流では搬送システム全体、建設では認識・専門支援、施設管理では建物設備・運用データとの接続など、業界ごとに実装を担う主体が異なります。
同じ製品を業界別に言い換えるだけではなく、誰が設計し、誰が既存設備へ接続し、誰が運用するのかまで販売設計に組み込む必要があります。
導入企業:ロボット本体だけでなく周辺供給体制を見る
導入時には機体性能だけでなく、制御、データ接続、安全、保守、教育、既存業務への組み込みまで含めた供給体制の評価が重要です。
投資・提携:企業数ではなくボトルネックとなる層を見る
企業数そのものは市場規模を示しません。
一方、機体と統合、認識と保守、計算基盤と業務接続などの間に現れる構成上の非対称は、市場のボトルネックを発見する起点となります。
調査・集計方法
データソース
株式会社Listerが独自に収集・整備したフィジカルAI関連企業データベース
調査対象企業
734社
企業×業界関係
1,105件
対象業界
15業界
主な分析軸
-
企業の主な役割
-
価値連鎖
-
技術分類
-
製品・サービス化/導入・稼働事例/業界向け提供
-
業界特化型/複数業界型/業界横断型基盤
主な情報源
企業公式Webサイト、製品・サービス情報、プレスリリース等
※本レポートに掲載する企業数は、株式会社Listerが独自に収集・整備したデータベース内の観測値であり、市場規模、売上高、導入台数、市場シェア等を示すものではありません。
※1社が複数業界へ関係する場合があるため、業界別企業数の合計は734社と一致しません。
※価値連鎖・技術分類は1社に複数付与されるため、構成比の合計が100%にならない場合があります。
※20社未満の業界については、ランキングや最大・最小比較には用いず、今後の観測点として扱っています。
PDF版レポートについて
分析結果、主要グラフ、主要10業界の詳細分析をまとめたPDF版レポート「業界別フィジカルAI産業構造分析レポート2026」を無料で提供しています。
想定される活用シーン
本レポートは、以下のような用途での活用を想定しています。
-
フィジカルAI市場・産業構造の把握
-
業界別の新規事業・市場参入戦略の検討
-
協業先・技術提供企業・SIer候補の探索
-
競合・周辺プレイヤーの調査
-
ロボット・AI導入における供給体制の調査
-
商社・金融機関・コンサルティング会社における産業調査
-
投資・M&A候補企業の初期調査
-
官公庁・自治体における産業政策・支援施策検討
-
メディア・研究機関における企業・技術情報収集
レポート編集者コメント
フィジカルAIという言葉を聞くと、ヒューマノイドやAIロボットなど、特定の製品・技術を思い浮かべがちです。
しかし今回、企業データを業界別に分けて比較すると、同じフィジカルAIでも、産業構造はかなり異なっていました。
工場では製品メーカーとSIerが厚く、物流ではAMR単体ではなく搬送システム全体が重要になります。建設では変化する現場を認識する技術や専門支援が多く、施設管理では既存の建物設備や運用データとの接続が重要です。農業では専用ロボットの供給が先行する一方、一般製造業ほどシステム統合企業は多くありません。
特に興味深かったのは、業界分類が違っていても、解こうとしている現場作業が近いと、供給企業の組み合わせも近くなることです。
フィジカルAI市場を理解するには、「ロボット市場がどれだけ成長するか」という一つの軸だけでなく、どの現場作業を、どの技術と企業の組み合わせによって実装するのかを見る必要があります。
今回のレポートが、新規事業、市場参入、協業、投資、導入、政策検討などにおいて、各業界のフィジカルAIを具体的に考えるきっかけになれば幸いです。
関連サイト
フィジカルAIカオスマップシリーズ
https://lister.jp/physical-ai/chaos-map/series/
日本成長戦略17分野・62重点技術 関連企業カオスマップ・産業分析レポート
https://lister.jp/growth-strategy/chaos-map/
国家戦略 AIロボティクス戦略 関連企業カオスマップ・産業分析レポート
https://lister.jp/ai-robotics/chaos-map/
株式会社Listerについて
株式会社Listerは、製造業領域に特化した市場情報調査・データ提供基盤を開発している会社です。
製造業・ロボティクスを中心とした企業情報を収集・構造化し、企業データベース、カオスマップ、産業分析レポートとして提供しています。
【会社概要】
会社名:株式会社Lister
代表者:代表取締役 永良 慶太
所在地:〒108-0075 東京都港区港南2-16-4 品川グランドセントラルタワー8F
事業内容:製造業領域に特化した市場情報調査・データ提供基盤の開発
公式サイト:https://lister.jp/
代表プロフィール
代表取締役 永良 慶太
東京大学工学部卒業、東京大学大学院工学系研究科修了。
株式会社キーエンスに新卒入社。三次元測定機やレーザー顕微鏡などの開発に携わる。画像処理アルゴリズム開発や、工場における検査自動化プロジェクトに従事。その後、ロボット開発スタートアップにて経営企画に従事し、独立。
本件に関するお問い合わせ
株式会社Lister 広報担当
maker@lister.jp
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
