ソフトウェアライフサイクル全体のCO2排出量算定ルールを策定
~調達・開発・運用・廃棄を対象とし、グリーン調達やScope3算定を実現~
NTTドコモソリューションズ(本社:東京都港区、代表取締役社長 三ケ尻 哲也、以下、NTTドコモソリューションズ)は、ソフトウェア分野の脱炭素化に向けた取り組みの一環として、日本環境倶楽部※1 ソフトウェア分野の脱炭素研究会に参加し、研究会参加企業とともにソフトウェア製品のライフサイクル全体を対象としたCO2排出量算定ルールを検討、策定しました。※2
本算定ルールにより、経済産業省の「カーボンフットプリント ガイドライン」※3 にもとづいたソフトウェア製品の調達・開発・運用・廃棄にかかるCO2排出量の算定が可能になりました。これにより、グリーン調達の推進やScope3算定・報告※4 への活用による企業価値向上などを促進します。
今後はNTTグループで本算定ルールの活用・推進に取り組み、サプライチェーン全体におけるCO2排出量の削減を進めていきます。
1.背景
AIの開発や活用が進む中、ICT業界による環境負荷増大のリスクが増しており※5,6 ソフトウェアで構成されるAI技術やデータセンターなどのサステナビリティが注目されています。ソフトウェアは、単体では物理的な資源を消費しない一方で、クラウドやデータセンター、ネットワーク、ユーザ端末の利用を通じてエネルギー消費を間接的に増大させる要因となっており、ICT分野全体の環境負荷に影響を与えています。併せて近年、企業のScope3排出量開示への社会的な要請が強まっており、調達評価や取引の判断材料としてソフトウェア製品に起因するCO2排出量の開示の重要性が高まっています。
2024年3月には経済産業省が公募した「令和5年度 GX促進に向けたカーボンフットプリントの製品別算定ルール策定支援事業」のなかでCradle-to-Gate※7版の算定ルール(v1.0)を策定し、調達・開発時のCO2排出量評価を可能としました。しかし、ソフトウェア製品は開発後も長期間にわたり利用されることが一般的であるため、ソフトウェア製品の運用・廃棄を含むライフサイクル全体でのCO2排出量評価が課題でした。

2.成果
日本環境倶楽部 ソフトウェア分野の脱炭素研究会にて、調達・開発段階に限定されていた従来の算定ルールの対象範囲をライフサイクル全体に拡大したCradle-to-Grave※7 版の算定ルールを策定しました。本ルールは、経済産業省の「カーボンフットプリント ガイドライン」にもとづいているため、調達・開発・運用・廃棄までのCO2排出量の算定を可能とし、ソフトウェアに起因するCO2排出量削減の戦略策定やサプライチェーン全体のグリーン化を検討・推進するための基礎となるものです。

3.算定ルールのポイント
(1)ソフトウェア製品を対象としたライフサイクル全体のCO2排出量評価範囲を定義・体系化
従来、ソフトウェアに関するCO₂排出量評価は、開発段階に限定した評価、もしくはICTサービス・システム全体に対する包括的な評価が一般的でした。より緻密なCO₂排出量評価の実現に向け、本算定ルールでは、ICTサービス・システムを構成するソフトウェア製品そのものに着目し、調達・開発段階に加えて、運用および廃棄段階において考慮すべき排出源や算定プロセスを定義・体系化しました。これにより、ライフサイクル全体に対する算定範囲を明確化しています。例えば、調達・開発・運用・廃棄における排出量をそれぞれ算定できるため、ある段階での排出量が相対的に大きい/小さいといった状況を把握し、ソフトウェア製品のライフサイクルにおけるCO2排出量を適切に評価できます。
(2)見積時のCO2排出量算定を実現
従来、見積時にソフトウェア運用時のCO2排出量を算定する場合には、開発金額を基準とした算定方法を採用せざるを得ず、その算定結果は実際のCO2排出量と乖離していました。本算定ルールでは、ソフトウェア運用時に発生する事象・発生源を定義・体系化し、見積時のCO2排出量算定値の精度を向上させたことで、グリーンな製品の調達・設計段階への活用を実現しています。
(3)国内外での活用を見据えた、実務を重視した算定ルール
本算定ルールは、日本に限らずグローバルなソフトウェア業界で活用されることをめざして策定しました。ルールの検討・議論には環境分野の専門家だけでなく、ソフトウェア開発に携わる技術者も参画しており、実務に即した算定ルールとなっています。
4.NTTドコモソリューションズの役割
NTTドコモソリューションズは、業界に先駆けて Cradle-to-Gate版の算定ルールを実際のソフトウェア開発プロジェクトへ適用しました。算定ルールに基づいて開発で用いられるICT機器、通信ネットワーク等の排出源を漏れなく洗い出し、排出源毎に定められた電力使用量、通信量に代表される活動量を実測することを基本として排出量を算定しました。算定ルールの実践から得た知見と、NTTグループの基幹システムをはじめとする多くの大規模システムの開発・運用の実績、経験を活かし、現場視点からCradle-to-Grave版の算定ルール策定に寄与しています。
5.今後の展開
本算定ルールの活用促進にむけて、NTTドコモソリューションズは、Cradle-to-Grave版ルールに基づいたCO₂排出量算定を実践します。ソフトウェアライフサイクル全体を対象に実行性評価や適用上の課題抽出、解決を行います。さらに、認定機関等の第三者による検証により、算定方法や結果の妥当性・信頼性を客観的に担保することで、サプライチェーン全体で安心して活用できる算定ルール確立にむけて取り組みます。これらの取り組みにより得られた知見や課題は、ソフトウェア分野の脱炭素研究会の場で共有し、算定ルールへ継続的にフィードバックしていきます。
NTTドコモソリューションズは、実践的な検証、およびソフトウェア業界の連携を通じて、ソフトウェアライフサイクルにおけるCO₂排出量削減とグリーンソフトウェア開発の実現にむけて貢献します。
※1. 特定非営利活動法人 日本環境倶楽部
地球環境問題を中心とした経済・社会課題解決を交流するための交流、研究、政策支援事業を行っている団体。環境・経済・社会に関する具体的なテーマについて研究会を設け議論を実施している。
https://www.kankyouclub.or.jp/
※2.策定したルールはLCA日本フォーラム(事務局:一般社団法人産業環境管理協会)にて掲示
https://lca-forum.org/member/guidelines.html#kubun1-1
※3.経済産業省、環境省 カーボンフットプリント ガイドライン
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/carbon_footprint/pdf/20230526_3.pdf
※4. Scope3算定・報告
原材料調達から製品の使用・廃棄まで、事業活動に関連する間接的な温室効果ガス排出量(Scope3)を算定し、社内外へ報告する
※5.Andrae, A.S.G and Elder, T. (2015) On Global Electricity Usage of Communication Technology: Trends to 2030.
Challenges 2015, 6, pp. 117-157
https://www.mdpi.com/2078-1547/6/1/117
※6.International Energy Agency.(2025) Energy and AI World Energy Outlook Special Report. pp. 14
https://www.iea.org/reports/energy-and-ai
※7.Cradle-to-Gate
原材料調達、生産、流通、販売、使用・維持管理、廃棄・リサイクルで構成されるライフサイクルステージのうち、原材料調達から生産までを意味する。
※8. Cradle-to-Grave
ライフサイクルステージすべてを意味する。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
