前立腺がんセカンドオピニオンチームにフォーカルセラピー (前立腺部分治療)専門医師が加入
前立腺がんの「部分治療」 転移のない前立腺がんの約 30%に適応、可能な限り正常組織を残し、治療と身体機能維持を両立する新たな選択肢
前立腺がん罹患数は、約 30 年間で 8.4 倍に増加!
イメージ①:前立腺がんの罹患者数(*1)
がん患者が 100 万人時代(*2)に突入し、2 人に 1 人ががんに罹患(*3)する日本で は、多くのがん患者が治療法や経済面などで負担を強いられています。中でも男性だけに 発症する前立腺がんの罹患数は約 30 年間で 8.4 倍に増加しています。現在、前立腺がん には数多くの治療法があり、中でも注目を集めているのが、高密度焦点超音波療法 (HIFU)、凍結療法、小線源療法などを用いて部分切除を行い、前立腺がんの正常な組織 を温存できるフォーカルセラピー(前立腺部分治療)です。一方、様々な手法におけるフォーカルセラピーに対応できる医療機関が限定されていることから、医師の得意分野の影響や、病院の対応設備などから治療提案が偏り、部分切除が可能な場合も全摘となってしまうケースも少なくありません。さらに、前立腺がんの治療の柱である手術や放射線治療 には、尿失禁や性機能障害など QOL を低下させる合併症のリスクがあります。これを防 ぐには、失禁や性機能障害などの合併症のリスクが低い治療を選択する必要があります。
このように前立腺がんにおける様々な治療法がある中で、検査結果に応じた適切な治療がきちんと提案されるようにとの想いから、前立腺がんの専門家で構成される「前立腺がんセカンドオピニオンチーム」に、フォーカルセラピー(焦点治療)の知見と豊富な経験を持つ専門医師が加入しました。これにより、前立腺がんの治療法に悩む方に対し、フォーカルセラピーの専門医師ならではの豊富なアドバイス、治療方法の選択肢を提供することが、納得のいく治療方法の検討、精神的な負担の軽減など、安心して治療に臨むお手伝いが可能になったと考えます。
※1. 山形・福井・長崎各県の地域がん登録のデータを元に制作 Katanoda K, Sobue T, Tanaka H, Miyashiro I (eds.). 2016. JACR Monograph Supplement No. 2. Tokyo: Japanese Association of Cancer Registries.
※2.厚生労働省「全国がん罹患数 2016 年速報」参照
※3.国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」の「最新がん統計」
東海大学医学部外科学系泌尿器科学 小路 直先生からのコメント
現在、前立腺がんは、早期に発見・治療することで、寿命に影響を及ぼすことが世界的な研究により明らかとされています。一方、現在の治療は、前立腺全体を外科的に摘出したり、あるいは放射線治療されてしまいます。これにより、治療後に尿漏れや、性機能の 著しい低下、あるいは消失が認められます。 そこで、私たちが取り組んでいるのが、フォーカルセラピー(前立腺部分治療)です。こ れは、前立腺内部のがんの場所を特定する検査を行った後、集束超音波という前立腺内部の狙った組織のみを治療することができる技術をもちいて、前立腺がんを破壊します。正常組織を可能な限り温存することができるため、治療後の尿漏れはほとんど認められず、性機能も半数以上の方が温存することができています。フォーカルセラピーは、転移のな い前立腺がんと診断された患者さんのうち、約 30%の患者さんに適応があると考えられて います。2018 年に日本で診断された前立腺がんの患者さんは約 78,400 人です。そのう ち、転移のない患者さんは約 90%(約 70500 人)ですから、さらにこの 30%となる約 21,100 人の方が、この治療になると考えられます。 治療の有効性は、世界的にも報告されつつあり、私たちも現時点(2020 年 2 月現在)で 200 名の患者さんに対する治療実績を持っています。前立腺がんと診断され、その治療方 針を決めるのに悩んでおられる方に、このような治療法があることを認識していただきた いと思います。
*参考動画: 先進医療推進機構ホームページ http://www.ampo.jp/movies/vol76/
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