株式会社ストラテジックキャピタルが株式会社有沢製作所への株主提案を公表
Shareholder Proposal to ARISAWA MFG. CO., LTD.
この度、株式会社ストラテジックキャピタル(本社:東京都渋谷区、代表取締役:丸木 強)は、本年4月25日に、株式会社有沢製作所(東証プライム:コード5208)に対し、株主提案権を行使する書面を提出したことをお知らせします。
弊社は、INTERTRUST TRUSTEES (CAYMAN) LIMITED SOLELY IN ITS CAPACITY AS TRUSTEE OF JAPAN-UP(以下「ファンド」といいます。)と投資一任契約を締結しており、ファンド及び株式会社ストラテジックキャピタル(以下「提案株主」と総称します。)は株式会社有沢製作所(以下「当社」といいます。)の議決権を300個以上6か月前から引き続き保有しております。
提案株主は、本年4月25日に、当社に対し、来る6月開催予定の当社の定時株主総会について株主提案権を行使する書面を発送し、同月27日に当社への株主提案に係る書面の到達を確認しましたので、本件を公表いたします。株主提案の内容及び提案の理由のそれぞれの概要は下記の通りです。
記
[1] 当社の課題と解決策
(課題)過大な水準に積み上がった自己資本
(解決策)配当性向を100%とする
当社は自己資本比率が約70%と極めて高い一方で、2021年3月期のROEは4.7%、同期末のPBRは0.68倍と低水準に留まります。現状の株主還元水準が継続すれば、さらに自己資本が積み上がり、低水準のROEやPBRが一段と低下していきます。
そこで、これ以上のさらなるROE及びPBRの低下に伴う株主価値の毀損を防ぐため、配当性向100%を提案します
(課題)不明瞭な目的で積み上げられた別途積立金
(解決策)別途積立金を取り崩す
当社は毎年(2021年3月期を除く)、具体的な理由の説明もないまま、株主還元の原資となる繰越利益剰余金を減少させ、別途積立金を積み増しています。株主として、有沢製作所が目的の明らかでない別途積立金を積み増し続けることによって株主資本コストが高まることは看過できません。
そこで、別途積立金を、株主への配当や自社株買い等、株主価値向上策の原資として活用すべく、取崩すことを提案します。
(課題)投資家の期待リターンに満たない有価証券の運用
(解決策)現行の中期経営計画中に有価証券を売却する
当社株式のバリュエーションが割安に放置されている理由の1つは、当社がリターンの低い多額の有価証券を保有していることによって資本効率性が低下していることです。有沢製作所は自ら「有価証券のリターンが資本コスト未満であること」を認め、「中期経営計画期間中に非事業資産である有価証券を売却し、得られた資金は株主価値向上のために利用すること」を発表しています。
そこで、有沢製作所の経営方針に従い、中期経営計画の終了と同時に「有価証券の保有及び運用」を当社の事業目的から削除することを提案します。
(課題)遅々として売却が進まない「縮減方針」の政策保有株式
(解決策)2022年9月末までに政策保有株式を全て売却する
当社は、上場政策保有株式について、1銘柄を除いては2021年3月期の有価証券報告書の中で、残る1銘柄については弊社との面談の中で、それぞれ縮減方針であると明らかにしています。しかし、各銘柄の流動性を鑑みると1カ月以内で全て売却できるはずですが、実際には政策保有株式の売却は遅々として進んでいません。
そこで、当社の縮減方針に従い、本年9月末までに政策保有株式を売却することを提案します。
(課題)経営者に対する報酬が過大である可能性
(解決策)代表取締役社長の報酬を開示する
上記のような非効率な経営及び株価の低迷が放置されるのには、当社の報酬制度にも原因があると考えられます。当社において、取締役の個別報酬は代表取締役が最終決定しており、代表取締役に対する報酬のガバナンスが機能していない恐れがあります。
そこで、当社における報酬ガバナンス向上を図るため、代表取締役の報酬の個別開示を提案します。
[2] 提案する議題の内容
1. 剰余金処分の件
(1)配当財産の種類
金銭
(2)配当財産の割り当てに関する事項及びその総額
102円から、第74回定時株主総会において可決された当社取締役会が提案した剰余金処分に係る議案(以下「会社側利益処分案」という。)に基づく普通株式1株当たり配当金額(以下「会社提案配当金額」という。)を控除した普通株式1株当たりの配当金額を、会社提案配当金額に加えて配当する。
2022年3月期の1株当たり当期純利益金額から小数点以下を切り捨てた金額(以下「実績EPS」という。)が102円と異なる場合は冒頭の102円を実績EPSに読み替える。
なお、配当総額は、当社の第74回定時株主総会の議決権の基準日現在の配当の対象となる株式数を乗じた額となる。
(3)剰余金の配当が効力を生じる日
当社の第74回定時株主総会の開催日の翌日
なお、本議案は、第74回定時株主総会に会社側利益処分案が提案された場合、同提案とは独立かつ同提案と両立するものとして、追加で提案するものである。
2. 別途積立金取崩しの件
(1)減少する剰余金の項目及びその額
項目:別途積立金
金額:210億20百万円
(2)増加する剰余金の項目及びその額
項目:繰越利益剰余金
金額:210億20百万円
但し、会社側の剰余金処分案に基づき別途積立金が減少する場合、(1)及び(2)に記載の金額210億20百万円は、210億20百万円から、会社側の剰余金処分案に基づく別途積立金の減少金額を控除した金額に読み替える。
本議案は、第74回定時株主総会に会社側の剰余金処分案が提案された場合、同提案とは独立かつ同提案と両立するものとして、追加で提案するものである。
3. 当会社の定款における目的のうち有価証券の保有及び運用の削除に係る定款変更の件
現行の定款第2条(6)を削除し、(7)以下の番号を1つずつ繰り上げる。そして、本変更の実施期日に関する付則を新設する。
附則
(実施期日)
第1条 現行の定款第2条(6)の削除は、2025年3月末日から効力を生ずるものとする。
4. 政策保有株式に係る定款変更の件
現行の定款に以下の章及び条文を新設する。第7章 政策保有株式
(政策保有株式の売却)
第41条
当会社が、本条を追加する定款変更の効力発生日現在、政策保有目的で保有している株式は、2022年9月末までに売却するものとする。
5. 代表権を有する取締役の個別報酬開示に係る定款変更の件
第8章 役員報酬の開示
(代表権を有する取締役の個別報酬開示)
第42条
当会社は、代表権を有する取締役に対して前事業年度に報酬として支給した金額(非金銭報酬を含む。)を、当会社が東京証券取引所に提出するコーポレートガバナンスに関する報告書において個別に開示する。
[3] 提案する議題の内容
1. 剰余金処分の件
本件は、会社提案の1株当たり配当金がいくらであっても、当期純利益全てを配当すること、つまり、配当性向100%を企図した提案である。
当社の自己資本比率は約70%と高水準であり、弊社は、当社が有利子負債を増やすこと、すなわちレバレッジを高めることにより、ROEを高め、株主価値を向上させる施策の実行を、当社に対して再三にわたり要望している。それにもかかわらず、仮に、当社の株主還元方針である総還元性向60%超が継続し、配当性向100%が実現しない場合、自己資本はさらに積み上がり、レバレッジは低下するため、これ以上自己資本を増加させてもROEが低下するだけである。余剰資金を株主に還元することが、株主価値を高め、ひいては株価の向上につながることから、剰余金の配当を増額すべきである。
さらに、2023年3月期以降も当社の資本政策として配当性向100%を採用することで、中長期的にも当社が自己資本を積み上げないことを明らかにしていただきたい。
なお、今回提案する剰余金の処分案を実行しても、その配当総額は当期純利益の範囲内であることから、当社の自己資本の水準を大きく変えるものではなく、当社の財務状態は良好なままである。
2. 別途積立金取崩しの件
当社は、第69回定時株主総会以降(第73回定時株主総会を除く。)、各回の定時株主総会において、株主還元の原資となる繰越利益剰余金を減少させ、別途積立金を毎年積み増しているが、その具体的な理由が明記されたことはない。当社の自己資本比率は約70%と高水準にもかかわらず、このように目的が不明である別途積立金を積み増すことは止めていただきたい。そして、増加する繰越利益剰余金は、株主への配当原資とするか中期経営計画において「適宜検討」とされている自社株買いの原資として、株主価値の向上のために用いていただきたい。
3. 当会社の定款における目的のうち有価証券の保有及び運用の削除に係る定款変更の件
本件は、当社が保有する全ての投資目的の有価証券(以下「投資有価証券」という。)を、2020年10月に公表した現在の中期経営計画(以下「中計」という。)の期間中に売却することを諮るものである。
当社は、純投資目的の株式は保有していないと開示しているが、株式以外では、2021年3月末現在、貸借対照表計上額で71億円強の社債を含め89億円を超える投資有価証券(流動資産として計上されている有価証券を含む。)を保有している。当社は、定款において当社の事業目的として「有価証券の保有及び運用」を掲げており、投資有価証券は、投資対象として保有及び運用がなされている。
しかし、当社は中計において「非事業資産の事業資産化」を表明し、2021年8月の提案株主との面談において、当社が保有する投資有価証券のほぼすべてを占める債券は、非事業資産であるとの認識を示した。さらに、2021年10月に開催された2022年3月期第2四半期決算説明会において、中計で定めた2025年3月期のROIC目標達成のために有価証券の売却を進めると表明している。以上を総合すると、当社が保有する投資有価証券は、中計で表明された方針に沿って「事業資産化」がなされるべきであり、具体的には、投資有価証券の全てを処分し、得られた現金を事業資金に充てるべきこととなる。
以上のように中計の方針に沿って投資有価証券の全てを処分する以上、中計の期間満了をもって定款の目的として「有価証券の保有及び運用」を記載する必要はなくなるため、中計の終了と同時に、定款の事業目的から上記目的を削除することを提案する。
4. 政策保有株式に係る定款変更の件
当社は、貸借対照表計上額(単体)で26億17百万円となる20銘柄の政策保有株式を保有している。
当社の2021年3月期の有価証券報告書において、当社が保有する政策保有株式のうち上場銘柄については、1銘柄を除き、「縮減する方針といたしました」と開示されている。さらに、当社経営陣は、提案株主に対し、残る1銘柄についても縮減する方針である旨開示することを約した。
しかし、実際には政策保有株式の売却は遅々として進んでおらず、提案株主は、政策保有株式の保有に対する批判から逃れるためだけに、表面的に縮減の方針を開示したに過ぎないのではないかと疑っている。当社が保有する上場政策保有株式は、その流動性に鑑みれば、極めて短期間で売却が可能なはずであるが、時間的余裕を確保することとし、本年9月末までの売却を提案するものである。
5. 代表権を有する取締役の個別報酬開示に係る定款変更の件
当社の株価は解散価値を大きく下回っているが、当社の経営陣は株主価値の向上が期待できる抜本的な施策を実施できていない。提案株主は、代表取締役社長が当社の株価水準が低迷する中で過大な報酬を得ていることによって、株主価値の向上に向けたインセンティブが欠如し、その結果株価の低迷が引き起こされているとの懸念を抱いており、その懸念の払しょくを目的として個別報酬の開示を求めるものである。
当社は、任意の指名・報酬諮問委員会が設置されているものの、最終的な取締役の個別報酬の決定は代表取締役社長に委任されており、代表取締役社長に対する個別報酬の監督機能が十分に働いていない可能性が考えられる。
従って、当社は、代表取締役社長の報酬を個別に開示することで、代表取締役社長の報酬が適正なものであることを示すべきである。
以上
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