日本ビジネスシステムズ取締役会に対して懸念と要請事項をまとめた書簡を送付

Global ESG Strategy

Press Release

Global ESG Strategy

2025年1月31日

日本ビジネスシステムズ取締役会に対して懸念と要請事項をまとめた書簡を送付

当社は当社運営ファンドにおいて現在日本ビジネスシステムズ株式会社(以下「JBS」)株を2%強保有しており、引き続きJBSの株主としてJBSの企業価値向上及び株式価値の向上を期待し支援していく所存です。2024年12月20日に開催されたJBSの第34回株主総会(以下「本株主総会」)において選任がされたJBS経営陣に対して期待したいこと及びご要請事項をとりまとめた書簡(以下「本書簡」)をJBS取締役会にお送りさせて頂きました。

本書簡については、去る株主総会において株主提案を当方から出していたこともあり、株主の皆様にとっても当方とJBS経営陣の対話状況を周知することは、株主共同の利益に適うものと考えているため、本書簡の内容を開示することとしました。

JBS宛て要請事項をまとめた書簡PDFダウンロード:

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以下、JBS宛て要請事項をまとめた書簡記載内容本文

日本ビジネスシステムズ株式会社 取締役会 御中

拝啓

時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。

当社は当社運営ファンドにおいて現在貴社株を2%強保有しており、引き続き貴社の株主として貴社の企業価値向上及び株式価値の向上を期待し支援していく所存です。2024年12月20日に開催された貴社第34回株主総会(以下「本株主総会」)において選任がされた貴社経営陣に対して期待したいこと及びご要請事項をお送りさせて頂きます。貴社取締役会の皆様にご一読頂き、是非真摯にご検討頂きたいと思います。

敬具

1. 資本コストや株価を意識した経営についてより具体的な実現方法についての説明を要請

貴社を含む上場企業においては、企業価値ひいては株式価値最大化のため、事業成長及び利益成長だけでなく資本コストや株価を意識した経営が求められています。しかしながら、貴社の開示資料及び本株主総会における貴社経営陣の質疑応答における回答からは、貴社経営陣が十分に資本コストや株価を意識して経営にあたられているとは見受けられず、当社は大きな懸念を抱いており、他の株主の皆様においても同様の懸念があると伺っています。

貴社は2024年12月20日「資本コストや株価を意識した経営の対応状況について」(以下「12月20日資本コスト対応プレス」)を公表されておりますが、株主資本及びその収益性についての言及のみに留まっており、企業価値全体に影響する加重平均資本コスト(WACC)等について説明がなされていません。また、加重平均資本コストを改善するための最適資本構成や自己資本比率の目標が示されておらず、どのように実現していくのかについて具体的な説明がありません。したがって、貴社におかれましては、「資本コストや株価を意識した経営」について、加重平均資本コストの説明、その改善のための具体的な実現方法を含む説明を行うよう要請致します

2. 貴社経営陣が考える「最適な資本構成」とは何かを明らかにすることを要請

これまでの貴社決算説明会等での質疑応答では資本構成に関して自己資本比率のみに言及した説明に留まっていることから、貴社経営陣はその他の経営指標を十分に把握して経営を行っていないか、検討すらしていないのではないかと懸念しております。12月20日資本コスト対応プレスは以下に述べるとおり不十分な内容であり、当社はかかる懸念を強めています。すなわち、事業利益を上回る金額の社宅不動産への投資を行っているにも関わらず、ROE改善に向けた方向性として「財務レバレッジ:最適な資本構成の維持」と記載するのみで、そもそも貴社にとって最適な資本構成とはどのような状態であるか一切説明がありません。また、急拡大している不動産投資によって有利子負債残高が2021年9月期対比257%まで増加しているにも関わらず、かかる有利子負債残高の増加が貴社の資本構成に与える影響について何ら説明がなされていません。さらに、財務レシオの目標値については、唯一自己資本比率40%程度を目指すと説明されていますが、これだけでは収益力に対する負債残高などを考慮せずに経営判断をされており、今後も自己資本の増加額の150%(自己資本比率40%を維持するとの仮定)まで有利子負債を増やして不動産投資を行う方針であるようにも懸念されます。

このように、12月20日資本コスト対応プレスは、貴社が何を最適な資本構成と認識しているのか、またその理由について十分な説明がなく、株主に対して説明責任を何ら果たしていないものです。貴社において、上記の指摘事項を含めて、何を「最適な資本構成」と捉えているのか、株主に対して具体的に説明することを要請致します。

3. 上場前から同じ経営方針であるという説明は株主に対する説明責任を果たしたとはいえないこと

本株主総会における質疑応答において株主から社宅不動産について問われた際、牧田社長より「従業員の住む環境を提供することは(中略)上場前から同じ方針で会社経営をしている」とのご趣旨のご発言がありました。「上場前から同じ方針で経営している」ことは、上場後の現在において、社宅不動産の具体的な投資方針について株主に説明しないことを正当化できるものではありません。貴社取締役会は株式上場する意思決定を行ったにも関わらず、牧田社長は貴社を依然として非上場のオーナー企業のように考えおり、株主に対して経営方針を明確に説明する意向が無いのではないかと憂慮しています。

社宅不動産への投資に限らずあらゆる経営判断は上場前から継続しているからといって最適であるとは限らないこと、貴社の行ってきた人的資本投資が貴社の事業収益や採用競争力強化にどのように貢献しているのか株主に明確に示されていないことから、株主として、当社は牧田社長のかかるご発言に強い違和感と懸念を覚えております。

また、当方が株主提案の中で指摘したとおり、実際には貴社は上場後に不動産投資を加速度的に増やしており、上場前と同じとは言えない状態にあることも付言しておきます。

4. 不動産投資に対する収益性をより明確にする基準を設けることを要請

貴社は資本収益性について「共用の資産が多く事業セグメント別に資本の区分が困難なこと及び、事業セグメント間の事業関連性が高く事業セグメント別に資本収益性を管理する有用性に乏しいことから、資本収益性の指標としてはROICではなく、ROEを重視」すると説明されていますが、ROICは必ずしも事業セグメント別に管理する必要はなく、事業セグメント間の事業関連性が高いのであれば貴社が単一セグメントの事業を運営しているとみなしてROEと同様に全社連結でROICも管理すべきです。貴社のROICはROEと同様に上場来低下の一途を続けており、過去の投資に対する収益が適正であったか精査し、今後の投資判断に生かすべきです。

とりわけ当社が本株主総会に対する株主提案補足資料でも懸念を示した社宅不動産やオフィス移転に偏った投資について、貴社経営陣による説明は、社宅不動産投資は人的資本投資であり採用や人材のリテンションに効果があるとの説明に終始しています。貴社経営陣は、社宅不動産やオフィス移転への投資が貴社の加重平均資本コストを上回る投資であったのか、また全社収益向上にどれだけ貢献しているか定量的な精査を行っているのでしょうか。不動産への投資を長期に亘り減価償却費として費用計上することで、事業収益の成長以上に自己資本が積み上がってきていることも貴社のROE低下の要因であると当社は考えております。貴社においては、不動産投資について、上記のような定量的な精査を行い、明確な収益性の基準を設け、かかる基準を株主に対して説明することを要請致します。

5. 中期経営計画の未達の経営責任を明確にし、新たな中期経営計画の早期公表を要請

貴社が上場後の2022年11月11日に公表された貴社中期経営計画(以下「中期経営計画」)は2024年9月期までにおいて未達であり2025年9月期営業利益予想が89億円であったところ57億円まで減額されております。本株主総会における質疑応答において占部利充社外取締役から「中計の目標未達、中計目標の取り下げ、結果的に株価の下落という状態になっていることにつきましては、執行の取締役以外、社外取締役の我々も含めて非常に重い経営責任を感じております」とのご趣旨のご発言がありました。しかし、ネクストスケープ社買収の失敗に伴う減損の発表時には、経営責任を感じ経営陣の給与の一部減額などの措置を公表されましたが、中計の未達については何らそのような措置を採ったとの公表がありません。 当方と貴社との面談では、中計未達については経営責任を問う声は取締役会でも出ていないなどのご説明もあり、本株主総会でのご説明のとおり本当に経営責任を感じているのか疑問に感じざるを得ません。

中期経営計画は株式会社東京証券取引所が公表している「コーポレートガバナンス・コード」(以下、「コーポレートガバナンス・コード」【原則4-1.取締役会の役割・責務(1)】の4-1②において「取締役会・経営陣幹部は、中期経営計画も株主に対するコミットメントの一つであるとの認識に立ち、その実現に向けて最善の努力を行うべきである。仮に、中期経営計画が目標未達に終わった場合には、その原因や自社が行った対応の内容を十分に分析し、株主に説明を行うとともに、その分析を次期以降の計画に反映させるべきである。」と明記されております。

中期経営計画が未達であったことの経営責任について取締役会で議論はされたとのことですが、現状新たな中期的経営計画は示されておらず、中期経営計画が未達であったことに対する原因分析も公表されていないことから、当社としては、貴社は現状コーポレートガバナンス・コード違反の状態にあるといわざるを得ません。

コーポレートガバナンス・コードを遵守することは上場規定にも基づくものであり、貴社には早急に中期経営計画未達の原因分析と経営陣の経営責任を明確にした上で、新たな中期経営計画を策定し公表されることを要請致します。


6. 株主還元策の拡充を要請

貴社はROEの改善に向けた方向性として総資産増加の抑制や最適な資本構成の維持を掲げられております。その対応策の選択肢として、保有する社宅不動産の売却による資産圧縮及び自己資本比率の改善と最適資本構成を上回る自己資本の抑制策としての配当等の株主還元も含めて検討し公表すべきであることを要請致します。

貴社は現在中期経営計画を取り下げられ、新たな中期経営計画が公表されていないという資本市場参加者にとって売上や収益に対する見通しが不透明な状態にあります。収益見通しが不透明であるならば、せめて過去の収益の累積である自己資本の活用や収益貢献が定量的に測定出来ない保有資産を活用した株価対策を検討することが上場企業の経営陣に求められる姿勢と考えます。

7. 後藤行正取締役への辞任勧告への懸念及び適切な後任取締役候補者の選出を要請

貴社は、2025年1月28日の適示開示により、後藤行正取締役が、コンプライアンス行動指針違反により取締役会において辞任勧告決議を受け、取締役を辞任され、専務執行役を解任となったと公表されています。当社としては、このような事態となったことに対する懸念を持っていることは当然のことながら、適時開示において単にコンプライアンス教育の強化と概括的に書かれた再発防止策の具体的な実施状況の説明を行うことに加え、貴社におかれては後藤氏の後任の取締役候補者を選出するのかについても、検討いただきたいと考えております。後藤氏の後任となる社内の取締役候補者がおられるのか、また外部登用を目指すのかという点についても、適切な時期に意見交換させていただきたいと考えております。

以上、当社からの懸念とご要請事項をご説明致しました。これらについては対応できる項目について2025年3月末までに対外的な公表という形で応答頂ければと思います。

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会社概要

Global ESG Strategy

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業種
金融・保険業
本社所在地
190 エルギンアベニュー、ジョージ・タウン、グランド・ケイマン KY1-9008、ケイマン諸島
電話番号
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代表者名
門田 泰人
上場
未上場
資本金
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設立
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