【出版】グローバルヘルス・エデュケーション・プログラム(G-HEP)参加者によるプラネタリーヘルス課題に取り組むための政策提言を公表(2025年2月6日)
プラネタリーヘルスの課題に関し、若手リーダーが協働し学びあい政策提言を策定する国際交流プログラムを実施しました。本ネットワークと提言が未来に向けた具体的なアクションへと繋がることが期待されます。
特定非営利活動法人日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)(事務局:東京都千代田区、代表理事:乗竹亮治)は、エモリー大学ロリンス公衆衛生大学院、マヒドン大学公衆衛生学部とパートナーシップを組み、グローバルヘルス・エデュケーション・プログラム(G-HEP: Global Health Education Program)2024を開催しました。そして、プログラム参加者が作成したプラネタリーヘルスの課題解決に向けた政策提言を、この度公表いたしました。
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本プログラムは「プラネタリーヘルスの課題に取り組む若手リーダーの国際交流プログラム」と題し、5カ国12名の参加者を迎え、約6ヶ月間に渡り、オンライン講義、ケーススタディをテーマとしたグループワーク、タイ・サムットプラカーンおよび日本・広島県でのフィールドワークを実施しています。
参加者は4つのケーススタディに対し、現地調査や机上調査を行い、プログラムの締めくくりとして、政策提言を策定しました。
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■気候変動下における食料安全保障 郊外コミュニティにおけるタイの高齢者と介護者の適 応戦略の模索 ・食料の入手可能性と環境課題へのレジリエンスを高めるための持続可能な農業の推進 ・教育と、地域密着型の支援システムによる地域コミュニティと個人の能力強化 ・非感染性疾患(NCD: Non-communicable disease)の管理と栄養へのアクセス改善を連携づ けた的確な健康政策の実施 |
■タイの自然と動物種を守るための生物多様性と健全な生態系の保全 ・生物多様性と保全に関する啓発キャンペーンの実施 ・生息地の分断化に対処するための生態コドリーの整備 ・技術的・財政的支援のための国際的パートナーシップの活用 |
■サムットプラカーンにおける水質改善のための水資源管理と持続可能な開発 ・リアルタイムの水質データ提供、および利害関係者間の協力促進のための一元化された水 管理組織の設立 ・農家、地方自治体、大学間のパートナーシップを通じたデータ収集・共有の強化、その情 報に基づいた政策立案や、水質モニタリングのための共有データベースの構築 ・耐塩性作物の普及と気候変動の影響に対する強靭性の強化による、クライメート・スマー ト・アグリカルチャー(CSA: Climate-Smart Agriculture)の実践 |
■タイの管理不行き届きな固形・プラスチック廃棄物問題への取り組み ・汚染者負担原則(PPP: Polluter Pays Principle )の原則導入 ・企業の社会的責任(CSR: Corporate Social Responsibility) プログラムを通じたステークホルダーの関与促進 ・環境に優しい実践に向けた割引などのインセンティブ提供による行動変容の促進 |
参加者が策定した政策提言はこちらよりご覧いただけます。
なお、プログラムの終わりに添えて、本プログラムを担当した各機関の代表者は以下のようにコメントをしています。
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■菅原 丈二(非営利活動法人 日本医療政策機構 副事務局長)
本プログラムは、国際的な協働と対話を通じて、若手リーダーがグローバルヘルス課題の解決に向けた政策提言を行う貴重な機会となりました。異なる専門性や文化的背景を持つ参加者が学び合い、新たなネットワークを築いたことは大きな成果です。本プログラムの経験を活かし、今後も国際課題解決のための英知を結集し、持続可能な社会の実現に貢献されることを期待しています。私たちも引き続き、国際的な対話と協働を促進し、グローバルヘルスの発展に寄与していきます。
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■Orawan Kaewboonchoo(マヒドン大学公衆衛生学 准教授 副学部長(国政関係担当))
気候変動や生物多様性の喪失といった地球規模かつ長期的な課題に取り組むためには、国境を越えた連携ができる次世代リーダーの育成が不可欠です。本プログラムを通じて、参加者が実践的な学びを得るとともに、多様な視点を持つ仲間と協働する経験を積めたことは、大きな成果でしょう。参加者が本プログラムの経験を活かし、プラネタリーヘルスの課題解決に向けて国際的に活躍することを期待しています。
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■Parinya Panuwet(エモリー大学ロリンス公衆衛生大学院ガンガローザ環境衛生学科 研究准教授)
本プログラムでは、異なる専門性や文化的背景をもつ5カ国の若手リーダーが議論を重ね、互いに学び合いながら連携し、研究成果を社会に実装するための政策提言を策定しました。プラネタリーヘルスのような地球規模の課題解決には、一国や一分野だけではなく、多国間での協働と分野を超えた連携が重要です。特に、将来を担う若手リーダー同士がつながり、専門知識を共有しながら協力し合うことが、持続可能な変革を生み出す鍵となります。本プログラムを機に、参加者が引き続きネットワークを広げ、国境や分野を超えて連携し、社会を動かす力となることを期待されるでしょう。
■日本医療政策機構とは:
2004年に設立された非営利、独立、超党派の民間の医療政策シンクタンク。市民主体の医療政策を実現すべく、中立的なシンクタンクとして、幅広いステークホルダーを結集し、社会に政策の選択肢を提供しています。特定の政党、団体の立場にとらわれず、独立性を堅持し、フェアで健やかな社会を実現するために、将来を見据えた幅広い観点から、新しいアイデアや価値観を提供しています。日本国内だけでなく、世界に向けても有効な医療政策の選択肢を提示し、地球規模の健康・医療課題を解決すべく、活動しています。
■エモリー大学ロリンス公衆衛生大学院とは:
「世界の公衆衛生の首都」アトランタに位置するエモリー大学ロリンス公衆衛生大学院は、全米の公認公衆衛生大学院の中で第3位である。CDCやカーター・センターなどの地域資源を活用し、教室での学びと現場での経験を提供。全米50州や海外40カ国以上から学生が集まり、健康増進と疾病予防に貢献しています。
■マヒドン大学公衆衛生学部とは:
1948年に設立されたマヒドン大学公衆衛生学部は、タイで最初の公衆衛生の学術機関であり、毎年約1,400名の卒業生を輩出しています。アジア太平洋地域におけるアカデミック・リーダーとして、学術研究や研修を通じ、国内外の公衆衛生領域の発展に貢献。1976年以来、公衆衛生学修士-国際プログラムを運営し、42カ国から1250人以上の卒業生を輩出しています。
■グローバルヘルス・エデュケーション・プログラムとは:
G-HEPは、協働してグローバルヘルスのアジェンダを推進する若手リーダーのグローバルコミュニティを確立し、将来に向けた人材育成を行うことを目的とする若手育成プログラムです。2018年から始まったマヒドン大学公衆衛生学部とのパートナーシップにより、日本だけでなくASEAN地域の若手同士の交流が促進されてきました。プログラムを通じて、参加者たちは実践的な知識を身につけるだけでなく、将来のグローバルヘルスリーダーとして成長し、世界中で公衆衛生の向上に貢献することが期待されます。
本事業は、独立行政法人国際交流基金の助成を受けて実施しております。
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