ブレインヘルスケアのSplink、経済産業省が運営するスタートアップ支援プログラム「J-Startup」の第5次選定企業に選出
認知症の早期発見・予防を支えるAI技術のグローバル展開へ

ブレインヘルスケア領域の医療AIスタートアップ、株式会社Splink(本社:東京都港区、代表取締役:青山 裕紀、以下「当社」)は、経済産業省が運営するスタートアップ支援プログラム「J-Startup」の第5次選定企業に選出されたことをお知らせします。
J-Startup選定の意義
Splinkの技術と社会的意義の証明、グローバル展開を加速
J-Startupは、革新的な技術やビジネスモデルを持つスタートアップを支援し、日本発のグローバルリーダーの育成を目的としたプログラムです。選定された企業は、国内外の市場展開に向けた各種支援を受けることができ、政府機関や企業とのネットワークを活用しながら事業成長を加速させることが可能となります。
当社がJ-Startupに選定されたことは、ブレインヘルスケア領域における当社の技術力・社会的意義が高く評価された証と捉えています。当社はこれまで、認知症の早期発見・予防を支援するAI技術を開発し、全国の医療機関および自治体、企業へのソリューション提供や連携を通じて、高齢化社会の課題解決に貢献してきました。特に、日本はMRI保有台数が世界第2位を誇る国であり、良質なデータを活用した技術開発が可能な環境にあります。J-Startupへの選出は、当社の技術および社会実装が国内外で高く評価された証であり、これを契機にさらなるグローバル展開を加速させます。
今後、J-Startupの支援を活用し、海外市場への展開を加速するとともに、産官学連携を通じた技術開発を深化させ、社会実装をより一層推進してまいります。
J-Startup選出による今後の展開
当社は、経済産業省の「J-Startup」プログラムに選定されたことを受け、以下の3つの領域でさらなる成長と社会貢献を目指します。
1. グローバル展開の加速:日本の技術で世界の認知症対策をリード
J-Startup支援のもと、アジア・欧米市場への進出を本格化していきます。特に、米国を代表する医療機関の一つであるMayo Clinicとの連携を進め*1、認知症予防・診断支援技術の国際標準化を推進していきます。日本発のスタートアップだからこそ可能な、日本発のコア技術でグローバルを見据えた製品・顧客体験の開発をおこない、世界の高齢化社会に貢献します。
2. 産学連携・研究開発の深化:アカデミアと連携し、技術の発展を加速
当社は、単なる「産学連携」にとどまらず、国内有数の神経領域アカデミアとの共同研究を通じたオールジャパン体制の強化を推進しています。2024年には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)ディープテック・スタートアップ支援事業(DTSU) に採択され*2、「認知症診断の最適化を実現する汎用的AI脳画像診断技術の開発」に取り組んでいます。このプロジェクトを通じ、国内外の専門機関と連携しながら、認知症診断技術の確立と社会実装を加速させています。
具体的には、以下の3つの柱を中心に、研究開発と社会実装を進めています。
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関連学会との連携を強化
日本国内外の主要学会と連携し、認知症診断・予防に関する最先端研究の発展を促進。学術論文の発表や国際会議での発信を通じ、技術の国際的な普及を目指します。 -
関連省庁との協力による政策提言・技術提供
認知症対策やSaMD(Software as a Medical Device:疾病の診断や治療を支援する医療目的のソフトウェア・医療機器プログラム)開発促進の最前線である厚生労働省や経済産業省等の関連省庁との連携を強化し、AIを活用した診断支援技術を国の医療政策に組み込むためのデータ提供や共同研究、政策提言を実施していきます。これにより、医療現場での実用化を加速させるとともに、日本の認知症対策の高度化に貢献します。 -
オールジャパン体制による技術開発の推進
国内の大学・研究機関と連携し、脳科学とAI技術の融合を進めています。MRI画像データを活用した認知症診断の精度向上や、予防・早期発見に向けた新たな技術開発を行い、医療現場での実装を目指します。
*1: 株式会社Splinkのプレスリリース:日本貿易振興機構(ジェトロ)主催「HealthTech Gateway “AI Medical in the US”」Phase 2に選出
*2: 株式会社Splinkのプレスリリース:「認知症診断の最適化を実現する汎用的AI脳画像診断技術の開発」がNEDOディープテック・スタートアップ支援事業(DTSU)として採択
当社の取り組む社会課題について
深刻な社会課題である認知症。2040年には国内で約584万人が認知症を発症すると推計
認知症は、超高齢社会において最も深刻な社会課題の一つです。2040年には国内で約584万人が認知症を発症すると推計されており*3、患者の増加に伴い、医療・介護費用や家族の負担が大きくなることが懸念されています。認知症はインフルエンザのような急性疾患とは異なり、発症の10年以上前から脳の変化が始まるとされ、進行がゆるやかなため、早期の予防や介入が非常に重要です。
しかしながら、多くの人が認知症に対する拒否感や恐怖心から、適切な診断や予防行動に踏み出せていないのが現状です。加えて、日本における認知症専門医の数は約2,000人*4と限られており、1人の医師が3,000人以上の患者を診る計算*5となるなど、診療体制の逼迫も課題となっています。また、認知症に関連する社会的コストは年間約14.5兆円、1家族あたりの負担は年間約380万円にのぼると試算されています。*6
*3:「認知症及び軽度認知障害の有病率調査並びに将来推計に関する研究」(令和5年度老人保健事業推進費等補助金 九州大学 二宮利治教授)より厚生労働省にて作成された資料
*4: 「日本認知症学会」「日本精神科医学会」資格取得者合計 2021.2時点
*5: 「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業)
*6:「わが国における認知症の経済的影響に関する研究」(平成26年度厚生労働科学研究費補助金(認知症対策総合研究事業))
当社のアプローチ
1.ブレインウェルビーイング®の推進
こうした課題に対し、当社は「ブレインウェルビーイング®」という概念を軸に、脳の健康づくりをサポートし、人々の健康資産を最大化することを目指しています。
当社は、認知症の予防から診断・予後まで一気通貫のペイシェント・ジャーニーをカバーすることで、発症リスクの軽減から早期発見、適切な医療・介護へのスムーズな移行、そして患者本人や家族のQOL向上までを包括的に支援します。また、医療機関や介護施設と連携し、AI技術を活用した診断支援や個別最適化されたケアプランの提供を通じて、医療リソースの効率化と負担軽減にも貢献します。
[Splinkのソリューション]
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セルフチェック型認知機能測定ツール「CQ test®」:
健常な方から自身の認知機能を手軽に測定し、健康状態への気づきを促進
https://www.brain-life-imaging.com/cqtest.html -
脳ドック用AIプログラム「Brain Life Imaging®」:
記憶に中核的に関わる「海馬」体積を測定し、受診者様目線のわかりやすいレポートを届けることで気づきを促す
https://www.brain-life-imaging.com/ -
脳画像解析プログラム「Braineer®」:
脳全体の萎縮の客観・定量的評価を支援。視認性の高いUIで脳疾患の診断支援をおこなう
2.グローバル展開と産学公連携を通じた社会実装の加速
当社は、これらのソリューションを活用し、国内外の医療機関・研究機関との連携を強化しながら、認知症診断・予防技術の社会実装を加速しています。2024年には、神奈川県と共同で「認知症未病改善」実証事業を開始するなど、産学公連携を積極的に推進してきました。
一方、海外市場への展開においては、高齢化が進むアジア・欧米の課題解決に貢献するため、日本貿易振興機構(ジェトロ)主催「HealthTech Gateway “AI Medical in the US”」Phase 2に選出されました。この取り組みの一環として、米国を代表する医療機関の一つであるMayo Clinicが保有する医療データクラウドを活用し、AIモデルの開発と米国市場への展開を目指しています。
また、AIを活用した認知症診断技術の進化には、産学連携を通じたエビデンスの蓄積と、国際的な標準化への貢献が不可欠です。国内外の学術学会との共同研究や、厚生労働省と連携した政策提言にも取り組みながら、「病気になってから対処する」のではなく、「健康なうちから脳をケアする」という新しい価値観を社会に広め、認知症予防の行動変容を促進します。今後も、脳の健康を軸としたポジティブな啓発活動を展開し、誰もが「つながり」を大切にしながら人生を歩める未来の実現を目指します。
株式会社Splink 代表取締役 青山裕紀コメント
「このたび、J-Startupに選定いただいたことを大変光栄に思います。これは、当社の認知症の早期発見・診断支援を可能にするAI技術が、日本発のイノベーションとして評価された証であり、大きな責任と使命を感じています。
Splinkは、2019年、2022年のNEDO公募採択に続き、昨年2024年にはディープテック・スタートアップ支援事業(DTSU)に採択され、国内有数の神経領域アカデミアと連携しながら技術開発を推進してきました。また、2022年に特許庁運営IP BASE主催『第3回IP BASE AWARD 』スタートアップ部門でのグランプリ、国際連合WIPO主催『第1回WIPO Global Award』、2024年には医療AIスタートアップとして初の『令和6年度 知財功労賞 経済産業大臣表彰』を受賞するなど、医療ビジネスと密接な関わりを持つ知財戦略で、世界初・史上初の3冠を達成するなど、技術革新と知財戦略を一体化した事業推進を行っています。
今回のJ-Startup選出を契機に、国内外の研究ネットワークを拡大し、AIを活用した認知症診断技術の社会実装を加速させます。加えて、医療現場の負担軽減や認知症予防の啓発活動にも注力し、『病気になる前に脳をケアする』という新たな価値観を社会に根付かせ、日本発の先進技術で世界の超高齢社会の課題解決に貢献してまいります。」

経済産業大臣 武藤 容治 コメント

Splink 推薦理由コメント(一部抜粋)
認知症をはじめとする高齢化の課題に対し、予防から診断までをワンストップで提供する国内唯一の企業である。
認知症の早期段階の診断支援AIを開発、提供しているという点が新規性と言える。認知症に対して健常段階の予防から発症後まで一貫して対応している点が高く評価できる。
高齢化社会という観点で課題先進国日本からグローバルへの発展にも期待されるスタートアップである。
J-Startupのプレスリリースはこちらよりご覧ください。
https://www.meti.go.jp/press/2024/03/20250313001/20250313001.html
スタートアップ支援プログラム「J-Startup」について

日本では約1万社のスタートアップが日々新しい挑戦をしています。しかし、グローバルに活躍する企業はまだ一部。革新的な技術やビジネスモデルで世界に新しい価値を提供するスタートアップを創出するため、経済産業省・日本貿易振興機構(JETRO)・新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が事務局となり、「J-Startup」プログラムが2018年6月に立ち上がりました。
「J-Startup」として選定された企業は、海外・国内大規模イベントへの出展支援、海外現地支援、研究開発支援、規制改革対応、入札機会拡大、民間企業「J-Startup Supporters」との連携支援など、様々な支援を受けることができます。
株式会社Splinkについて
「すべての人につながりを、その日まで」をビジョンに、認知症をはじめとするブレインヘルスケア®領域において、認知症の早期発見から診断支援まで一貫したソリューションをワンストップで提供しています。健常な方から認知機能を簡単に測定できるセルフチェック型認知機能測定ツール「CQ test®」、脳MRIをAIで解析し、脳の中でも記憶や学習にかかわりの深い「海馬」領域の体積を測定・可視化、受診者様目線のわかりやすいレポートを届けることで気づきを促す「脳ドック用AIプログラムBrain Life Imaging®」、脳MRIより脳の減少度を定量・数値化することで診断に役立つ情報を提供し、診断支援をおこなう「脳画像解析プログラム Braineer®」を主力製品として提供しています。
会社名 :株式会社Splink
本社所在地 :東京都港区赤坂1-14-14 WAW赤坂第35興和ビル4階
事業内容 :ブレインヘルスケア事業、医療機器プログラム事業
設立 :2017年1月
代表取締役 :青山 裕紀
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