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特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパン
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新型コロナの感染拡大で南アジアの衛生作業員が直面するリスクと懸念が増大

特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパン

ウォーターエイドは、新型コロナウイルス感染症が広がる中、南アジアの衛生作業員(*)に対する調査をまとめた報告書を発表し、防護具が不足し、手洗いや衛生設備も十分に利用できない環境で衛生作業員が作業を続け、感染のリスクと感染への懸念が高まっていることを明らかにしました。衛生作業員は、ロックダウン(都市封鎖)の期間中においても、欠かすことのできない公共サービスの担い手(エッセンシャルワーカー)として、作業を継続しています。しかし、それにもかかわらず、彼らはしばしば、低賃金や不安定な業務継続・雇用、社会的な汚名、差別に直面するなど、劣悪な状況に置かれています。
 

ヘルメットとマスクを着用するインド・デリーの衛生作業員=2019年(WaterAid/CS Sharada Prasad)ヘルメットとマスクを着用するインド・デリーの衛生作業員=2019年(WaterAid/CS Sharada Prasad)

ウォーターエイドの新しい報告書「Safety and wellbeing of sanitation workers during COVID-19 in South Asia」(南アジアにおける新型コロナウイルス感染症が広がる中での衛生作業員の安全性と健康・安心)」は、新型コロナが南アジアの衛生作業員の生活と仕事にどのような影響を与えているかを探っています。

調査は、4月末から6月中旬までの約6週間、バングラデシュ、インド、ネパール、パキスタンで実施。掃除人、トイレの清掃員、病院の清掃員など、さまざまな形態の衛生作業員にインタビューを行いました。

報告書によると、自分が感染する不安と家族へ感染が広がる懸念は、調査対象国の4カ国すべてで共通していました。バングラデシュでインタビューを受けた労働者の10人のうち8人が、自分の仕事は感染のリスクが高いと考えていました。

衛生作業員たちは、感染リスクを軽減するための個人用の防護具(PPE)の必要性を強く感じています。にもかかわらず、その希望に応えるだけの防護具の提供はありませんでした。雇用者が防護具を提供している場合でも、適合性や品質、定期的な供給などの面で適格と言えるケースはほとんどありませんでした。

マスクや手袋の使用率は比較的高かったものの、エプロンやゴーグルのようなより特殊な器具の供給や使用の割合は、病院の清掃員のようなリスクの高いグループであっても、はるかに低くなっていました。ネパールでは、作業員の3分の1が雇用者から防護具を全く受け取っていませんでした。インド、パキスタン、バングラデシュの作業員たちは、炎天下で防護具を使用することによる息苦しさを訴えています。

衛生作業員はさまざまな危険にさらされています。作業中に感染症にかかったり、けがをしたりすることもあり、命を落とすこともあります。新型コロナの感染拡大は、衛生作業員が従来から直面していた作業や健康に関する危険を増大させています。しかし現在も、作業員のほとんどは非常に限られた防護具で作業にあたり、公的な指導や支援も受けていません。

バングラデシュのクルナに住む衛生作業員のラヒマさん(仮名)は以下のように話します。

「私や他の衛生作業員が仕事を続けることで、人々はロックダウン中もゴミの処理のことを心配をせずに家で生活することができます。新型コロナの世界的流行(パンデミック)の間、もし私たちが働かなければ、人々はゴミをどうすればいいのでしょうか。私たちは、大きなリスクの下で仕事を続けています。それによって社会に一定の安心をもたらしています。しかし、人々が私たちの犠牲を認めてくれないのは非常に残念なことです」

こまめな手洗いができるかどうかも、作業員が石けんと水のある手洗い設備を利用できるかどうかによって大きく左右されます。インドでは、ほとんどの作業員が 1 日のうち少なくとも 2 回は手洗いまたは消毒をしていると報告しています。しかし、40%の作業員が職場に手洗い設備がないと報告しており、新型コロナの感染予防のために最も重要な時期に、手洗いがしっかり行われることはありませんでした。

4カ国の衛生作業員の多くが、生計手段を失う可能性を心配しています。すべての国の回答者の約半数が、日々の支出を賄うことが困難だと報告しています。ロックダウンによって収入が失われるだけではなく、食料価格の上昇や、安全装備や衛生用品のための支出の増加もあり、家計はさらに厳しくなりました。開発途上国の衛生作業員は一般的に、社会的な保護やセーフティーネットで守られていることは少なく、何らかの保険に加入している人はごく少数です。多くの作業員は新型コロナ対策として実施・導入された緊急支援策も利用できませんでした。
 

限られた装備でくみ取り作業に従事するインド・バンガロールの衛生作業員=2019年(WaterAid/CS Sharada Prasad/Safai Karmachari Kavalu Samiti)限られた装備でくみ取り作業に従事するインド・バンガロールの衛生作業員=2019年(WaterAid/CS Sharada Prasad/Safai Karmachari Kavalu Samiti)


ウォーターエイドの南アジア地域アドボカシー・マネージャーであるバニタ・スネジャ(Vanita Suneja)は、以下のように話しています。

「衛生作業員は、パンデミックの中でも仕事を続けるしかありません。しかし、それについて見合った報酬を得ることもなく、多くの場合、安全と健康を維持するために必要な保護手段を持たないまま仕事をしています」

「南アジアの政府は、これらの労働者を保護するために、健康保険やガイドライン、トレーニングを含む包括的なセーフティーネットを設けなければなりません。それは、非正規の作業員も対象にするものでなければなりません。労働に対する正当な評価と保護があって初めて、エッセンシャルワーカーたちは、私たちの社会で最も重要な役割を果たしながら、安全な状態を維持することができるのです」

報告書は、新型コロナの世界的流行が続く中、衛生作業員が高まるリスクに対処するために早急な支援を受ける必要があると強調しています。なお、長期的には、衛生作業員の労働条件と生活条件を改善し、彼らを社会のはずれに追いやっている根深い構造的な不平等を改善するための努力も必要です。

報告書「Safety and wellbeing of sanitation workers during COVID-19 in South Asia」(英文)は以下のページから閲覧できます。国別のレポートもあります。 
https://washmatters.wateraid.org/publications/safety-wellbeing-sanitation-workers-south-asia-covid

(*) sanitation worker。ごみ収集や清掃、排せつ物のくみ取り作業、下水の処理など、広く公衆の衛生を保つための業務に従事している人々。しっかりとした装備や福利厚生があって法律にも守られている公務員や企業の社員もいれば、貧困層に属し、社会で最も疎外され、差別を受けている人たちもいる。開発途上国ではほとんどの国で衛生作業員の保護指針が定められていない。
 

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本社所在地
東京都墨田区亀沢2-12-11 PAX21 3F
電話番号
03-6240-2772
代表者名
古米弘明
上場
未上場
資本金
-
設立
2013年02月
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