日本初、民間による災害支援拠点&養成所が開所。国内最大の災害用重機設備と「市民の力」で、被害拡大・集落孤立を防ぐ。日本財団災害ボランティアトレーニングセンター(VTC)をオープン!
日本の新たな災害支援モデル・基盤構築へ ~現役学生・消防士・シニアなど“重機を乗りこなす市民”を養成&派遣~
公益財団法人日本財団ボランティアセンター(以下日本財団ボラセン、東京都港区)は、災害発生時に瓦礫撤去・道路復旧を担う技術系災害ボランティアの人材育成と、配備された重機・資機材を災害現場へ貸し出す実働機能を有する国内初*の施設「日本財団災害ボランティアトレーニングセンター(VTC)」を2025年3月7日(金)に開所いたします。
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~人手・技術不足を背景に、救助に必要不可欠な重機が現場で使用されず~
災害時の人命救助タイムリミットは72時間とされています。迅速な救助活動のためにはまず瓦礫撤去や道路復旧が不可欠であり、そこに必要とされるのが重機の存在です。2011年の東日本大震災では、土砂や瓦礫により緊急車両の進入が困難となり、救助の遅れが課題となりました。この経験を踏まえ総務省は「緊急消防援助隊」への重機配備を進めてきましたが、昨年の能登半島地震では配備された重機の多くが使用されていなかったことが問題視されました。背景には、人手不足や消防の重機操作の技術不足などが挙げられ、能登半島地震に限らず実際の被災地では、専門技術を持つボランティアが道路を復旧し、その後に消防・警察車両が現場入りするケースが多いのが実情です。
被災地への重機派遣や人材育成も。実働機能を有する国内初の民間災害支援拠点
このような状況を受けて、東日本大震災の被災地へ1万人以上の派遣や大規模な催事のボランティア研修・育成事業を実施してきた日本財団ボラセンは、 技術系災害ボランティアの育成を目的とした専門施設VTCを正式オープンします。VTCは2年間の整備期間を経て完成、災害現場など特殊環境における重機操縦のトレーニングが可能な訓練フィールドに加え、座学を行う研修棟、復旧活動に必要なショベルカーやダンプなど16台の重機や資機材を配備し、一般的なボランティア活動では対応が難しい専門的な作業を担う人材の育成を行います。
災害支援に関心のある一般個人の方々が重機の操縦技術や災害支援の専門的な知識・ノウハウを習得できる場であり、平時での研修・トレーニング施設にとどまらず、災害発生など有事の際には配備された重機・資機材の貸し出し・一定以上のスキルを持つボランティア派遣を行う実働機能を有する国内初の施設です。
(※当団体調べ/2025年2月時点:国内の技術系災害ボランティア支援組織・施設として)
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VTCの特長 ~ハード・ソフト面から平時・有事の災害支援に対応~
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①国内最大規模の災害に特化した重機配備~被災現場で実用的な設備と訓練場~
VTCでは小型から大型まで重機16台を配備。消防でも重機を配備している拠点がありますが、5台を超える拠点は全国で2カ所のみであり、主に大型重機のため被災地の地形や状況次第では十分に活用ができません。VTCでは、小回りが利き機動性の高い重機を中心に、災害に特化した重機では国内最大規模の配備となります。消防や自治体では対応が難しい規模の瓦礫撤去や道路復旧を支援できる環境を整備、特殊な災害現場での操縦訓練が可能なフィールドも完備しています。
②毎月講座を開催 ~累計6,000人以上が受講。実践的なスキルが学べる~
災害復旧に必要な工具の使い方から被災者とのコミュニケーション方法など、現場で役立つ知識・スキルを実践的に学べます。日本財団ボラセンは、災害支援人材の育成に注力しており、2021年~2025年2月末までに開催した講座では累計6,000人以上が受講。VTCでは、初心者向けの研修から専門技術の習得まで、幅広いレベルの講座を毎月開催します。(オンライン配信の場合もあり)
◆実際の講座例
【座学】災害ボランティア研修・入門編、実態から学ぶ避難所運営と炊き出し支援、被災後に関係する法制度など
【実技】重機講習会、災害危険木処理、家屋再生に使用する工具や資機材の使用方法など
③緊急時の復旧支援 ~ボランティア派遣&重機を貸出~
日本財団ボラセンでは、令和6年能登半島地震や豪雨災害など、全国各地で発生した災害時に災害ボランティアを派遣し復旧支援を行ってきました。VTCでは、積極的な派遣・復旧支援を継続するだけでなく、被災地で使用する重機や資機材の貸し出しも実施。さらに技術系災害ボランティアの普及・発展を目的として連絡協議会「日本財団災害ボランティアトレーニングセンターネットワーク(VTCネットワーク)」を設置し、団体間の相互の情報共有や連携協働を促進することで、迅速な復旧活動をサポートします。
学生でもシニアでも重機操縦・受講が可能。「市民の力」で日本国内の災害支援を強化~日本の新たな災害支援モデル・基盤構築へ~
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災害支援・人材育成の拠点となるVTCは、土木・建築分野など様々な国立研究機関が集まり、訓練に適した広大な土地を有する茨城県つくば市に開設されます。都心・関東からのアクセスがよく、あらゆる環境下でも対応できるよう整備された環境の中で、重機やチェーンソーなど、震災・水害の復旧活動で必要な専門的な技術を習得できる講習会を実施しています。
これまでの仮オープン期間では、各地の消防士を中心に利用され、その中には十分な操縦訓練を受ける機会が限られている方々の他、「配属先の都合で出動できなかった/現場で待機したまま帰還した」という方や本業ではなくボランティアで能登半島支援に携わった方も含まれています。
日本ではこれまで消防・警察・自衛隊など政府機関を中心に災害支援がなされてきた一方、海外ではドイツの「技術支援隊(THW)」のように8万人以上のボランティアから構成され有事の際は国が雇用主側に補償するような政府公認の土木系災害救援団体が設置されているなど、市民を中心に災害支援に対応しているケースもあります。オープン後のVTCでは、学生・社会人・シニアの方々など様々な市民の方が災害支援スキルを習得することで、「市民の力」で日本国内の災害支援能力の強化と基盤の構築を目指していきます。
施設概要
◆施設名:日本財団災害ボランティアトレーニングセンター
(略称:VTC)
◆所在地:茨城県つくば市南原2番地
◆開所日:2025年3月7日(金)
◆総面積:12,883.22㎡
◆施設内容:研修棟、重機ステーション、訓練フィールド
◆配備重機・車両:合計16台
・ショベルカーViO12(機械質量:1,065kg)×2台
・ショベルカーViO17 (1,660kg) ×2台
・ショベルカーViO25 (2,500kg) ×4台
・ショベルカーViO35 (3,480kg) ×1台
・ダンプカー 3t×3台
・ダンプカー 4t×1台(予定)
・クローラーカー×2台
・軽トラック×1台
◆その他配備
・投光機×2台
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「日本財団ボランティアセンター」について
◆災害支援実績
日本財団ボラセンでは、これまでに東日本大震災の被災地や、地震や台風被害などで被災した全国各地の災害現場に、のべ1万5千人以上(2025年2月末現在)の災害ボランティアを派遣してきました。
2024年は、令和6年能登半島地震と奥能登豪雨の被災地である石川県珠洲市と輪島市、豪雨による水害被害のあっ山形県酒田市にボランティアの派遣や、技術系災害ボランティア団体に重機の貸し出しを行いました。
◆公益財団法人日本財団ボランティアセンター(日本財団ボラセン)概要
日本財団ボラセンは、2010 年にNPO 法人日本学生ボランティアセンターとして設立し、学生のボランティア活動支援をスタートさせ、2022 年3 月までに東日本大震災の被災地にのべ1万2千人以上の学生を派遣しました。2021年に「公益財団法人日本財団ボランティアセンター」へと名称変更し、学生だけではない幅広い世代を対象に、ボランティアに関する事業を実施しています。東京2020 大会ではボランティアへの研修など育成事業に携わり、その後も2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™など、大規模イベントへのボランティア派遣やボランティア団体の支援も行っています。
所在地:〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-11-2 日本財団第二ビル4階
代表者:会長 山脇 康
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