東京コスモス電機株式会社に対する株主提案について
Press Release
Global ESG Strategy
2025年5月20日

プレスリリース全文
d135781-41-225e429ea910f36fee472b3d75daa237.pdfGESは東京コスモス電機の持続的企業価値向上を実現する取締役5名の選任を求める株主提案を提出
Swiss-Asia Financial Services Pte Ltd(以下「SAFS」)の運営ファンドであるGlobal ESG Strategy(以下「GES」)は、ESG(Environment(環境), Social(社会)及びGovernance(ガバナンス))の視点から中長期的な投資を行う投資ファンドであり、責任ある投資家として、建設的な対話等を通じ、日本の上場会社の中長期的な企業価値・株主価値の向上を実現することを後押ししていくことを運用方針としています。
GESは2023年より東証スタンダード上場の東京コスモス電機株式会社(証券コード:6772、以下「TOCOS」)に対する投資を開始し、同社へのエンゲージメントを継続してまいりました。現在、SAFSの運営ファンドにてTOCOSの株式を議決権にして約27%保有しています。GESはTOCOS経営陣との対話を重ね、株価や資本コスト・資本収益性を意識した経営への変革を促してきましたが、現在に至っても十分な対応策が示されておりません。GESはこのようなTOCOSの経営上の問題を解決し、企業価値・株主価値の向上をもたらすため、取締役(監査等委員である取締役を除く)5名選任の件に関する株主提案を提出しました。
1. TOCOSの経営課題
(1) TOCOSの課題①: 成長戦略の不存在
―成長性・収益性を改善し、株価を上げるための具体的な施策の不存在―
TOCOSは2023年3月期に過去最高となる連結売上高107億円を達成したものの、2024年3月期は104億円、2025年3月期は105億円と縮小均衡に陥っています。また、営業利益は、従業員数を削減するなどのコスト削減の結果、2023年3月期において13.5億円(営業利益率12.6%)を達成したものの、2024年3月期は12.6億円(営業利益率12.1%)、2025年3月期は営業利益10.4億円(営業利益率9.9%)まで低下しており、成長性、収益性共に悪化しています。
このような環境の下、TOCOSは2024年4月に第2次中期経営計画(2024~2026)を発表したものの、その数値目標は2026年度に売上高105億円、営業利益10.5億円(営業利益率10%)と現状を維持する3ヵ年計画を設定しています。既に2期連続で成長が鈍化しているにも関わらず、2027年3月期までの3年間を「成長投資」期間とするのは、TOCOSの成長が鈍化していることに対し現経営陣の危機感がないことを示しています。
また、我々がTOCOSに投資を開始して以来、岩崎社長に株価についての見解を尋ねる度に、「市場が決めるものなので分からない」等と答え、具体的な見解や株価を高めるための方針を示したことは一度もありませんでした。加えて、岩崎社長は、企業価値は意識するが株価は意識しない等とも我々に回答しており、我々から企業価値の構成要因である株価を意識せずにどのように企業価値を向上させるのかと尋ねても明確な回答はいただけていません。このような回答から、東証からも上場会社には「資本コストと株価を意識した経営」が求められているにも関わらず、岩崎社長を始めTOCOS経営陣は、現在のTOCOSの成長鈍化に対応し株価の向上を目指すという経営目標を持たず、そのための具体的な成長戦略を策定し実行することが期待できないことは明らかです。
(2) TOCOSの課題②: 成長投資・株主還元の不実行
―余剰資金を成長投資や株主還元に有効活用できていないー
2025年3月期を初年度とする第2次中期経営計画において、「設備投資/研究開発費目標合計20億円」と掲げているにも関わらず、2025年3月期において有形固定資産の取得は約2.2億万円しか計上されていません 。また、第2次中期経営計画公表から1年が経過した現在に至るまで、成長投資や株主還元についての具体的な施策について経営陣は株主に対し何ら示していません。その間にもTOCOSの株主資本とネットキャッシュは増加を続けており(2025年3月末時点において約18.4億円)、TOCOS経営陣が経営資源を有効に活用できていないのは明らかです。現在の経営陣の体制では、とても3年間で20億円の成長投資を実現することを期待できません。
(3) TOCOSの課題③: 後継者及びサクセッションプランの不存在
岩崎社長は今年70歳を迎えられましたが、現経営体制において有力な後継者候補が見られません。取締役会では後継者問題が重要な経営課題であると認識しているとのことですが、取締役会又は指名・報酬委員会が積極的に後継者問題の解決を模索しているとの説明はありません。岩崎社長にとって、後継者の決定は自身の退任を意味し、積極的に後継者を探すインセンティブを持ちにくい可能性があります。それにもかかわらず、岩崎社長に後継者候補及びサクセッションプランの策定を委ねることは適切ではありません。有効なサクセッションプランが示されていないことは、株主やその他ステークホルダーに対し、TOCOSの経営計画執行に疑義を生じさせます。
2. GESの提案する取締役候補は TOCOSの成長戦略を策定・実行しTOCOSをさらに成長させるために必要なスキルと経験を有する
GESが提案する取締役(監査等委員である取締役を除く)候補者は、製造業を含む国内外の企業経営、投資戦略、財務会計等の専門家であり、上記の経営課題を克服し、TOCOSの株主及びあらゆるステークホルダーのために、TOCOSの成長戦略を改めて策定し、確実に実行するために必要なスキルと経験を有する候補者です。具体的には、若林氏、西立野氏及び門田氏はTOCOSの常勤取締役として他の社外取締役、TOCOSの役職員と共にTOCOSの課題解決に取り組む予定です。TOCOSを成長に導くためには、我々の提案する5名の取締役(監査等委員である取締役を除く)を新たに選任し取締役会を再編することが不可欠です。
GESが取締役(監査等委員である取締役を除く)候補者として提案する、常勤取締役候補の若林勇人氏、西立野竜史氏、門田泰人氏、非常勤社外取締役候補として伊勢谷直樹氏及び大木真氏の略歴は以下のとおりです。
GESが提案するTOCOSの新経営体制

なお、門田氏は提案株主の運用者であるSwiss-Asia Financial Services Pte. Ltd.の最高投資責任者であることから、株主と取締役間の実質的な利益相反を避けるため、TOCOS取締役(監査等委員である取締役を除く)に選任された場合であっても、TOCOSからの役員報酬は一切辞退致します。
GESは上記取締役候補者によりTOCOS取締役会を刷新した後、全社的な経営管理及び成長戦略・財務戦略の策定を取締役会に集約し執行の管理・監督や経営戦略の策定、執行体制の整備を担わせ、執行担当幹部職員が既存事業の安定的執行や競争力維持・深化に注力することで、TOCOSの経営リソースが最大限活用され企業価値及び株主価値の最大化が実現されるものと考えております。
3. TOCOSの現任取締役(監査等委員である取締役を除く)である岩崎美樹氏、中島秀雄氏、宮田一智氏及び久保田純氏は再任されるべきではない
現在のTOCOS取締役(監査等委員である取締役を除く)である岩崎美樹氏、中島秀雄氏、宮田一智氏及び久保田純氏は、上記のようなTOCOSの課題について業務執行取締役として何ら具体的な対策を示すことができていません。したがって上場企業であるTOCOSの経営を取締役として委任するに足る経営能力を有していないと言わざるを得ず、再任されるべきではありません。同氏らにおかれては、取締役ではない執行担当幹部職員として、個々人の強みがある分野で引き続きTOCOSのために力を発揮して頂くことが望ましいと考えます。
とりわけ、現専務取締役である中島秀雄氏は2019年にTOCOSに入社し、2020年からは一貫して営業本部長を務め取引先の拡大や値上げ交渉に尽力されてきた功労者と認識しております。また宮田一智氏及び久保田純氏はTOCOSの新たな経営執行体制を構築するため2022年にTOCOSに入社後、それぞれ技術本部、管理本部の充実に取り組まれてきたと認識しております。
新たな経営体制の下、TOCOSは若林勇人氏、西立野竜史氏、門田泰人氏、伊勢谷直樹氏及び大木真氏がその専門性を活かして描く成長戦略や財務戦略を含む全社戦略に基づき、常勤取締役である若林氏、西立野氏、門田氏のリーダーシップの下、中島氏、宮田氏、久保田氏にもTOCOSの経営課題解決に取り組む新たな取締役を支える重要な幹部職員として、個々人の強みがある分野に注力できる環境で引き続きTOCOSのために力を発揮して頂くことが望ましいと考えます。
現任取締役(監査等委員である取締役を除く)の今後の管掌(案)

4. 株主提案にかかる議案
上記記載の取締役(監査等委員である取締役を除く)5名選任の件に加え、GESは2025年6月開催予定の定時株主総会に、取締役(監査等委員である取締役を除く)報酬等の額設定の件に関する株主提案も提出いたしました。これらの提案の詳細につきましては別紙をご覧ください。
GESは、これらの株主提案の実現及びTOCOS株主の皆様への情報公開により、TOCOSの抱える経営課題を解決し、株主共同の利益の最大化を目指してまいります。
本件に関するお問い合わせ先: globalesg@swissasia-group.com
Global ESG Strategyについて
GESは、ESG(Environment(環境)、Social(社会)及びGovernance(ガバナンス))の視点から中長期的な投資を行う投資ファンドであり、投資先との建設的な対話等を通じ、投資先の企業価値・株主価値の向上を実現することを後押ししていくことを方針としています。
Swiss-Asia Financial Services Pte Ltdについて
SAFSは、2004年設立、シンガポールを拠点とし、シンガポール証券先物法に基づく資本市場サービスライセンス(Capital Markets Services License)を保有する投資運用会社です。
免責事項
本資料は、SAFSの運営ファンドであるGESによるTOCOSに対する株主提案に係る情報提供を目的としており、それ以外の用途に用いられてはなりません。
本資料に記載された情報は、SAFS による独自の調査及び分析並びに一般に入手可能な公開情報に基づいています。SAFS、GES又はSAFSのその他の関係者 (以下「SAFSら」といいます。)は、その正確性、完全性、適切性、網羅性等について何ら保証するものではありません。
本資料は、SAFSらの独自の見解、予想、意見を示すものであり、これらは今後変わることがあり得ます。いかなる目的においても本資料に依拠してはならず、また、本資料を投資、金融、法律、税務その他の助言であると理解してはなりません。
本資料に含まれる情報又は意見には将来に関する記述が含まれています。これらの将来に関する記述や予測、予想は、説明のみのために記載されているものであり、もとより不確実、かつ、重大な不測の事態により実際の結果がこれら将来に関する記述と大きく異なることがあります。SAFSらは、かかる将来に関する記述や予測、意見、本資料に含まれる記載に関連して発生する直接的又は間接的なものを含む何らの損害について、一切の責任を負いません。
本資料に含まれるいかなる情報ないし内容も、いかなる意味においても、募集、推奨、サービスや商品の販促、広告、勧誘若しくは表明と解釈してはならず、また、いかなる投資商品の売買若しくは証券へのいかなる投資に関する助言若しくは推奨であるとも解釈してはなりません。
本資料は、株主総会における議案に関し、SAFSらが、TOCOSの株主を代理して議決権を行使する権限をSAFSら又はその他の第三者に対して付与することを要請するものではなく、そのように解釈されてはなりません。また、TOCOSの株主に対して、SAFSら又はその他の第三者を自らの代理人と定め自らに代わってその議決権を行使する権利を付与することを提案し、奨励し、勧誘し又はこれを目指すものではなく、そのように理解されてはなりません。
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