ウルトラファインバブルを活用した高速道路維持管理の高度化への取組み
平成21年7月6日に記者発表したウルトラファインバブル水によるトイレの新しい清掃方法につきましては、休憩施設のトイレ清掃への導入が、当社管内で90%を達成したこともあり、当社におけるウルトラファインバブル技術の様々な適用への取組みについてご紹介します。
(1) ファインバブルとは
ファインバブルは、我々が日常、目にする泡よりも、小さい泡です。具体的には、直径0.1mm(100μm)より小さい泡をファインバブルと呼びます。さらに1~100μmをマイクロバブル、1μm以下をウルトラファインバブル(以下、UFB)と呼び区別しています。マイクロバブルは、水が白く濁ったようになり目で確認できますが、ウルトラファインバブルは、肉眼で見ることができない大きさです。
(2) ウルトラファインバブル技術の概要
ウルトラファインバブルは、日本発の革新的技術であり、将来的には我が国基幹産業発展の基礎になるものと期待されています。ウルトラファインバブル技術は、気体と液体を混合させることによって生成されるものであり、鉱工業、農林水産業、インフラといった領域において、洗浄、殺菌、水質浄化、液体中での物体のハンドリングなど様々な分野に活用されようとしている技術です。
2. ウルトラファインバブル水によるトイレ清掃への取組み
(1) トイレ清掃の取組み
当社では、休憩施設のトイレをお客様との重要な接点と捉え、民営化以降、トイレ環境の抜本的な改善に注力しています。その取組みの一環として、ウルトラファインバブル水(以下、UFB水)を用いた新たなトイレ清掃方法を平成22年度より中国地方の休憩施設で開始し、西日本全体の休憩施設に順次拡大を図っているところです。(2) 効果
本清掃方法は、UFB水を噴霧器でトイレ床面に噴霧し、モップでふき取る清掃となっており、次の効果があります。
1)従来の洗剤を用いた水洗いに比べ、軽装備で作業も短縮できます。
(作業全体時間を約30%短縮)
2)使用水量が大幅に削減され、洗剤の使用量が少量ですむことから環境負荷を低減できます。
(水量を1/100程度に節減)
3)床面の乾燥時間が短く、お客様の足元が滑らず、安全にご利用いただけます。
(床面乾燥時間を約40%短縮)
(3) 導入状況
導入当初は、UFB生成装置(BUVITAS)を運搬拠点に配置し、トラックなどで各休憩施設へ運搬しておりましたが、平成26年度にUFB生成装置の小型機(BUVITT)を(株)Ligaricが開発に成功し、平成27年度より5ヵ年計画にて当社管内すべての休憩施設への設置を目標として導入を図っているところです。これらを踏まえ、休憩施設への適用については、現在、NEXCO西日本管内で約90%のUFB清掃実施率となりました。
3.橋桁洗浄への取組み
(1) 目的
構造物の効率的な維持・修繕、更新など構造物の延命化が重要課題となっており、限られた予算で効率的に行うことが命題となっています。
特に橋りょうの老朽化においては、車両の大型化や過積載等による橋の損傷のみならず、海岸近くを通過する路線における飛来塩分や冬季における路面の確保のための凍結防止剤(塩化ナトリウム)の散布により、橋の継目などから橋桁に塩分が付着することによる劣化の促進が問題となっています。このことから、予防保全の観点で橋桁洗浄による塩分除去作業を行っています。
(2) ウルトラファインバブル水よる洗浄
橋桁洗浄において、UFB水では、通常の水に対して比較的早く塩分除去が可能となっていることが確認され作業効率も向上します。このため橋桁洗浄で使用する水は、UFB水による導入を開始しています。
4.休憩施設の汚泥減容化への取組み
(1) 技術開発の目的
NEXCO西日本管内における303箇所の休憩施設のうち約4割が浄化槽で処理を行っており、汚泥処分費が年々増大し、その費用削減は今後増大する道路維持管理費用の削減とともに喫緊の課題となっています。この課題解決に向けて、オゾンガス(O3)を利用したウルトラファインバブル(以下、O3UFB)技術を浄化槽に応用する研究開発を平成25年度より広島大学(西嶋教授)と共同で行っています。
(2) 汚泥減容化のしくみ
汚泥減容化のしくみは次のとおりです。
1)汚泥フロックをせん断、微細化
UFB生成装置内に余剰汚泥を吸引し、気体とともに汚泥フロックにせん断応力を働かせ、微細化します。
2)微細化した汚泥フロック内部にO3UFBが侵入
超微細気泡化したO3UFBは、汚泥フロック内部に侵入しやすくなり、フロック内部での反応が促進されます。
(3) 研究状況
現在、山陽自動車道 奥屋PAに実験プラントを設置して、O3UFBによる汚泥減容化技術の確立を目指しています。
平成28年8月において、減容化率70%を達成したことから、年度内に撤去し、今後は、本研究成果を基に、今後新設改築を行う休憩施設の浄化槽への適用を検討してまいります。
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