メルセデス・ベンツ、最新のEtherCAT計測技術で車両開発を加速
~高精度・柔軟な計測技術が次世代車のチューニングを最適化~
ベッコフオートメーション(ドイツ・フェアル)の製品と技術は、世界各国の多様な業界で活用されています。今回は、メルセデス・ベンツの次世代車両開発のテストベンチ刷新事例を公開いたします。
ベッコフは、メルセデス・ベンツの次世代車両開発において、EtherCAT、TwinCAT、および高精度計測ターミナル「ELMシリーズ」を活用したテストベンチを刷新いたしました。これにより、同社のシャシー性能評価プロセスが大幅な最適化により、車両特性の高度な解析が可能になりました。
ドライブ特性の追求に欠かせない高精度テストベンチ
メルセデス・ベンツは、車両の特性やブランドの個性を形作るシャシーの品質向上を追求しています。ドイツ・ジンデルフィンゲンにあるメルセデス・テクノロジ・センタ(MTC)では、4台の最新テストベンチを用いてアクスル検査を実施しています。テストプロセスは、車両をジャッキに設置し、アクスルに荷重をかけることで進められます。車両が受ける力や変位、トルクに対する反応を0.1mmの精度で計測しています。テスト結果は、デジタル・ツインにより約90のパラメータと照合され、開発車両の高い走行性能を確保する上で重要な役割を担っています。メルセデス・ベンツ、シャシー分析チームのウーヴェ・ロヒナー氏は、「車両の特性を高精度に把握することが、ブランドアイデンティティの維持に欠かせません」と精度の重要性を強調します。
旧システム刷新の背景と新システムのメリット
長年にわたり使用されてきた旧テストベンチの制御システムは、ダイムラー社が開発した
「Hydromat」をベースに構築されていました。しかし、部品の調達が困難になるといった課題が顕在化し、システムインテグレータであるDynoTec Prüfstandstechnik(以下、ダイノテック)に新システムの設計・実装が委託されました。この新システムには、テストベンチのモジュール式コンセプトを維持しながらも、より効率的かつ柔軟な制御が求められる中でEtherCATを導入することで、長いアナログ信号線をデジタル信号に置き換え、データロギングの精度を大幅に向上させると同時に、制御品質も向上しました。ベッコフのオープンな自動化プラットフォームを用いることで、異なるメーカーの機器との互換性も確保され、メンテナンス性の向上とシステムコストの削減を実現しています。
決め手となったのはベッコフの高精度計測ターミナル
今回のシステム刷新において、ベッコフのEtherCAT計測ターミナルが、導入の決定的な要因となりました。高精度計測ターミナルのELM3xxxシリーズは、車両の振動や変位、トルクなどのデータを高精度かつ高分解能で取得することが可能です。本システムでは、最大136の計測チャンネルをそれぞれ
5kspsで同期して記録します。さらに、必要に応じて10kspsまで拡張可能で、合計680kspsのデータレートを実現しています。また、コンパクトなモジュール構造により、柔軟で省スペースなデータロギングが可能です。EtherCATの高速通信機能により、すべての計測データがリアルタイムで取得され、PC上でのライブモニタリングとデータベースへの即時転送が実現します。EtherCATによる高速通信と高精度計測が可能となったことで、テストベンチの制御品質が大幅に向上し、信頼性が強化されています。また、ベッコフのオープンな制御プラットフォームが導入されたことにより、柔軟性と拡張性が向上し、将来の技術革新に対応できる基盤が整いました。
システム開発の今後の方向性
メルセデス・ベンツとダイノテックは、今後のテストベンチ開発においてベッコフの自動化ソフトウェア機能であるTwinCAT Analytics Loggerの導入を計画しています。これにより、複数のテストベンチでリアルタイムのデータロギングと保存が可能になり、テストデータの集中管理と迅速な分析が実現します。ダイノテックのウォルター・セルグ氏は、「ベッコフのスケーラブルな制御プラットフォームにより、標準化されたシステムで様々なプロジェクトに対応できることを確認できました」と述べ、今回のプロジェクトの成功に確かな手応えを感じています。
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