【実証結果の報告】北九州市と介護施設の夜間医療体制を支えるドクターメイトの官民共創プロジェクト
◎北九州市×株式会社ソーシャル・エックス×ドクターメイト株式会社
介護施設向けに医療相談・夜間オンコール代行™を提供するドクターメイト株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役医師:青柳直樹、以下「ドクターメイト」)は、社会課題解決型の官民共創プラットフォーム「逆プロポ」を通じて、介護領域で国家戦略特区に指定されている北九州市とマッチングが成立し、2022年2月1日から2022年8月31日の7か月間、北九州市内の特別養護老人ホーム17施設に協力いただき実施してきた実証事業が終了したことと、取り組んだ事業の結果についてご報告いたします。
- 実証事業の概要
また、介護労働安定センターが2021年8月に発表した調査報告によると、介護職員の離職率は14.9%(※3)と高くなっているため、今後の要介護高齢者の伸びに対応するためには、採用活動だけでなく、現在介護施設で働く介護職員の離職を防止するための勤務環境改善を図る必要があります。
介護施設で負担が大きく、課題となっていることに「夜間オンコール対応」が挙げられます。
夜間帯でも施設看護師には携帯電話を肌身離さずの状態で待機してもらい、施設入居者に転倒や急変等があり救急搬送が必要となった場合には、すぐに施設へ駆けつけて救急隊や病院と医療的なコミュニケーションを取る必要があることが大きな負担となり離職理由にもなっています。
電話をかける側の介護スタッフの夜勤者も、「深夜帯に休んでいる看護師に電話しては申し訳ない」といった感情になり、「明らかに救急対応が必要な時以外は電話するのは控えるようにしていため、聞きたいことを聞けず、不安を感じながら夜間帯の勤務している」といった介護スタッフも多いことが分かっています。
そこで、介護施設向けに提供しているドクターメイトの「夜間オンコール代行™サービス」が、介護施設に入居する方の安心安全を確保しながら、介護施設職員の夜間帯負担軽減と離職率低減にもつながり、地域を選ばず、必要な医療サービスを持続的に提供できるニューノーマルな医療介護システムの実現と、サスティナブルな介護施設運営に寄与するのかについて、内閣府の国家戦略特区事業に認定されており、医療・保健・福祉施策の豊富な実績、高い技術力を持つ企業・学術研究機関との連携体制がある福岡県北九州市と調査する実証事業を実施しました。
出典元)
※1 「福祉人材センター・バンク 職業紹介実績報告(令和4年3月)」
※2 「厚生労働省 一般職業紹介状況(令和3年12月分及び令和3年分)について」
※3「介護労働安定センター 令和2年度「介護労働実態調査」結果の概要について」
- 実証事業で効果検証を行ったドクターメイト「夜間オンコール代行™サービス」について
全国の入居型介護施設で業務として実施されている夜間オンコールの対応を、施設看護師に代わって、全国のドクターメイト看護師(夜間オンコールナース)が代行します。
介護施設の夜勤者から受けたご相談内容について、電話でアドバイスをするだけでなく、切電後すぐに、アドバイス内容をレポートとしてまとめて、電子データやFAXでアドバイス情報を提出いたします。
レポートには電話時間・質問内容・アドバイス内容などが詳細に書かれているため、夜間帯に起きたことを施設職員全員で把握できる申し送り情報となり、救急搬送対応が必要となった場合にも、搬送依頼をした理由がレポートにまとめられているため、救急隊員へ伝える情報の取りまとめ作業を削減することができます。
また、ドクターメイトの夜間オンコール代行™サービスは、施設ご入居者様の急変時・異変時の発見時だけでなく、医療者に聞きたいけれど、今までであれば遠慮してしまっていたような些細な疑問に対しても、何度でも・気兼ねなく、質問が可能となっているため、介護業界に勤めて間もない若手職員のケーススタディ(教育ツール)としても活用することが出来ます。
夜間オンコール代行™サービスを活用することによって施設の医療体制がさらに充実し、通院数・入院数・救急搬送数の減少や看護師採用にも有利に働くほか、属人化しやすい業務の仕組み化、経験の浅い若手職員のスキルアップにも貢献して、継続可能性の高い安定した介護施設運営のサポートをします。
- 実証期間中の「夜間オンコール代行™サービス」利用実績について
期間中の「夜間オンコール代行™サービス」総利用回数は270回で、相談内容は「転倒・転落した」が最も多く、
続いて「発熱」、「呼吸困難感・SpO2低値」についての相談が同数で2番目に多い相談内容となりました。
4番目に多い「その他」とは、施設ご入居者様の急変時・異変時の発見時のご相談でなく、医療者に聞きたいけれど、今までは遠慮して聞けなかったような些細な疑問に対してのご相談となります。
実証期間中、北九州市内17施設の施設看護師に代わって、全国のドクターメイト看護師(夜間オンコールナース)が、270回のオンコールを代行させていただきましたが、実証期間中に医療判断ミス0回、対応に対するクレーム等も0回を実現することが出来ました。
- アンケート概要
アンケート対象:実証協力を表明してくれた福岡県北九州市内の特別養護老人ホーム17施設
アンケート調査期間:2022年9月6日~9月25日
アンケート回答属性:3パターン
└経営層(理事長または施設長)
└オンコール対応者(主に看護師)
└夜勤者(主に介護スタッフ)
アンケート回答者総数:155人(有効回答者数:95人)
└経営層(理事長または施設長):14人(内、集計対象者数:14人)
└オンコール対応者(主に看護師):30人(内、集計対象者数:17人)
└夜勤者(主に介護スタッフ):121人(内、集計対象者数:64人)
※より実態に近づいた結果にするため、以下のグラフは夜間オンコール代行™サービスを実際に使用した施設の経営層とオンコール対応者、実際に夜間オンコール代行™サービスを使用した夜勤者の集計対象者をもとに集計しています。
アンケート内容について:アンケート回答属性3パターンごとに別内容
詳細は以下にて
- アンケート集計結果
※本リリースではアンケート結果の一部を、リリース用にまとめたデータの紹介となります。
※アンケート対象者ごとの全結果は以下URL先にてご確認いただけます。
https://app.box.com/s/iucaoyj1v43qrip7hu0w7xg7ude2jy61
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夜間オンコールを外部委託することへの不安が、すべての属性で改善された。オンコール対応者と夜勤者の回答は、使った上での感情変化を確認するため、実際に夜間オンコール代行™サービスを使ったことのある人からの回答に絞って、夜間オンコールを外部委託することに対しての感情変化を確認した。
実証前アンケートでは、オンコールを外部委託することに対して不安視する声が大きかった経営層と夜勤者だが、実際に夜間オンコール代行™サービスを使ってみたことで、不安がなくなったという感情変化が大きく出た。
オンコールを外部委託することに不安が「ない」と答えた理由(回答を一部抜粋)
・夜勤スタッフからよかったと聞いたから。
・レポート内容がしっかりしていて、全員で夜に起きたことを把握することが出来て、安心できた。
・半年間、特に問題がなかったため。
オンコールを外部委託することに不安が「ある」と答えた理由(回答を一部抜粋 集計対象者以外も含む)
・入居者の事を詳しくわからないから。
・家族対応、もしくは病状経過が複雑な人について介護職員の説明ができるか。
オンコールを外部委託することに不安が「ない」と答えた理由(回答を一部抜粋)
・判断に困った際に専門家に意見が聞けるから。
・夜間不安な事もあるので、気軽に相談出来るのはいいと思う。
・実際、使用するまでは不安はあったが、使用した際に、適切な観察点と対応、必要に応じてドクターへの
連絡をしてくださり、安心に変わった。
・夜間に内部の職員へ連絡して相談するのは気が引けるので気軽に相談できる窓口があると安心できるから。
オンコールを外部委託することに不安が「ある」と答えた理由(回答を一部抜粋 集計対象者以外も含む)
・話すのが苦手
・スムーズに行えるのか、こちら側からの伝え方の不安。
・職場の看護師は利用者情報がわかっているので伝えやすいが、夜間代行サービスには、1からその方の
説明しないといけないのでその間に状態がひどくなったらと思うと不安。
・不安というか、今まで経験してきた内部のオンコールとの指示の違いに戸惑う事がある。
夜間オンコール代行™サービスを使用した実証期間中、オンコール対応者はオンコール待機負担が減少し、夜勤者は夜間帯の勤務に対しての不安が減少したと回答した。
実証開始前アンケートでは※65.7%の人が夜間オンコールを外部委託することに対して不安を感じていたが、
実証終了後の最終アンケートでは76.8%の人が、夜間オンコールを外部委託するサービスを「有効」と回答。
※(実証開始前アンケートで夜間オンコールを外部委託することに不安と答えた回答総者100人/実証開始前アンケート回答総者152人)
夜間オンコール代行サービスを活用することで、オンコール対応者(主に看護師)にはしっかりと休暇を取ることができる環境を、夜勤者(主に介護スタッフ)には夜間勤務中でも、医療者に気兼ねなくアドバイスを受けられる環境を整備することができた。介護施設に入居する方の安心安全を確保しながら、介護施設職員の夜間帯負担軽減に繋がる処遇改善を図れることが分かった。
<属性別の回答結果>
夜間オンコール代行™サービスを有効かどうかに対して「はい」と答えた理由(回答を一部抜粋)
(経営層)
・介護職個人での判断に迷ったとき、気兼ねなく尋ねることができるため。
・夜勤職員の不安、看護師の負担軽減の両方にかなりの効果を感じました。
・一般的に、介護事業の現場は医療の専門性や感性が整っていない傾向にあります。
したがって、この仕組み・取組みは有効に作用するでしょう。
・当施設はドクターへいつでもオンコールできるので、外部へのオンコールサービスの必要性は高くはないが、
嘱託医の先生たちの負担軽減と、職員が夜間に「こんな事で夜にドクターに連絡するのは…」気が引けるとい
う負担軽減になるため。
(オンコール対応者)
・オンコールが本当にかかってこなかったので、ゆっくり休むことが出来た。
・負担軽減となったことと、レポートがあるため安心することもできた。
・夜間帯の時間により、その後気になり眠れないまま仕事につくので、代行サービスにより精神的にも肉体的に
も有効に感じます。
・夜勤者のみで判断することは不安に感じる為、救急搬送を優先してしまう傾向にあります。
オンコール代行サービスに相談することで適切な対応につながると考えます。
(夜勤者)
・一人夜勤な為、不安が軽減されよかった。
・丁寧に対応して頂き不安軽減出来た。
・何も気にせずに夜間でも電話しやすいから。
・気になるが重要性が低そうなことでも気軽に問い合わせしやすいため。
・診る視点やタイミングを指示されるので、逆に施設看護師も情報を理解しやすくなるので、有効であった。
夜間オンコール代行™サービスを有効かどうかに対して「いいえ」と答えた理由(回答を一部抜粋 集計対象者以外も含む)
(経営層)
・実際に施設に駆けつける看護師の待機も必要だと感じている。
・日々、昼夜の状態の情報収集が少ない外部の方のオンコールは迅速性に欠けると思われる。
(オンコール対応者)
・自施設は夜勤帯に看護師がいるので。
(夜勤者)
・施設の看護職員の負担の軽減にはなるが急変が重度の症状な場合、施設の看護師にも再度オンコール行う為、
二度手間になる。
・施設の看護にしかわからない情報もあるから。
・転倒の対応などの場合は代行サービスで安心だが、場合によっては利用者の詳細は施設看護でないとスムーズ
に伝達出来ず、ロスタイムが出るのではないかという不安がある。
・嘱託医に任せた方がいい。
・気がね無くオンコールは出来るとは思うけど、やはりデータの共有など行っていないので不安に感じる事は
あったから。
- 共創プロジェクト実施 協力団体 代表者からのコメント
本市では、介護人材不足の深刻化が懸念されるなか、介護現場における職員の負担軽減に資する、職場環境の改善モデルにつながればとの思いから実証を行いました。
実証を通じて、オンコール代行サービスの活用に適した施設像が明確になったほか、職員負担の要因の一つと言われる夜間救急搬送については、実証期間中、本市の高齢者施設全体からの軽症搬送件数が増加しているのに対し、実証参加施設では増加していないことも確認でき、オンコール代行サービスが負担軽減策の一つになり得ることは大きな発見でした。
一方で、実証参加施設から救急搬送時の更なる負担軽減を求めるご意見もいただきました。こういった声を地域における安定的な介護サービスの提供に活かしてまいります。
▶公益社団法人 北九州高齢者福祉事業協会 会長 木戸邦夫 様
介護事業は『経営』をしなければならないのが老人福祉施設の今日の正道であり、その大きな要点の一つは施設の弱点である医療対応を充実させること。特に『夜間オンコール代行サービス』実証では、現有の人材だけでは補い切れない効果が十分に示されています。
変わらなければ困難が生じる介護・医療現場のあり方において、ICT等の駆使と同様そのニーズ変化に対応し働きやすい職場・施設環境を整えること、その結果として介護の質を高めることがこれからの老人福祉に必要なコンセプトです。施設医療の弱点を補う今回の新たな課題解決策・先鞭性のご提供に感謝申し上げる次第です。
▶公益社団法人 北九州高齢者福祉事業協会 特養部会 看護部会リーダー 眞鍋哲子 様
高齢者施設では病気を抱えている方がほとんどです。
生活の中で医師が常勤していない中の看護師の対応は責任を伴い不安です。
今回のオンコール実証事業に参画し、命を支える現場において外部で気軽に相談が出来る存在は、看護師介護職共にとても頼もしく安心感に繋がりました。実際には、介護現場からの報告や対応の仕方への学びにも繋がり、ドクターメイト担当看護師よりレポートが届くので情報を得やすく受診をする時に具体的に明確に伝えることが出来ました。
また北九州市での高齢者の救急搬送問題は大きく、医療機関や救急隊との連携は欠かせません。特別養護老人ホームの課題は最後まで安心して施設で看取りが出来る仕組みづくりと必要時にしっかり治療が受けられるという人の尊厳を考えた支援です。
今回の実証で外部との連携の一歩を踏み出せたことはとても大きく感じています。更なる今後の業界の発展に共に尽力いたします。
▶株式会社ソーシャル・エックス 代表取締役 伊佐治幸泰 様
実証事業の結果を大変興味深く拝見しました。デジタルやIoTだけでは解決されない介護現場の真の課題を発見し、結果として関係者からの大きな期待感と安心感を得られている様子が素晴らしいですね。
本プロジェクトはスタートアップ企業と政令市という異色のコラボレーションでしたが、社会課題解決の前提にある「本当の困りごと」を官民で探求されている姿が非常に印象的でした。
官民共創のお手本のような事例を、私たちSOCIALXの逆プロポサービスにてアレンジさせていただけましたことに感謝しております。引き続き、共に全国への横展開を進めてまいりましょう。
▶ドクターメイト株式会社 代表取締役医師 青柳直樹
この度は北九州市と実証を行えたことを大変うれしく思っております。
自分自身も医療者でありますが、夜間対応の負担は大きく、人員の確保も難しい課題です。介護を持続可能なものにしていくためには夜間対応の負担軽減が必要です。
業務を外部に切り出すという発想は、介護医療では今まで積極的に考えられていませんでしたが、これからは現場をより良いものにしていくために外部の力も上手く使っていくという発想も必要だと思います。
介護と医療は人々の生活の基盤になる部分です。これからの時代に合わせて、介護を提供する人も、介護を受ける人も負担が少なく、自分らしい持続可能な介護を行うことができるのか、今回の実証のデータがその一助になれば幸いに思います。
- 共創プロジェクト実施団体
部局名:保健福祉局先進的介護システム推進室
所在地:北九州市小倉北区城内1番1号
URL :https://www.city.kitakyushu.lg.jp/
会社名:株式会社ソーシャル・エックス
代表者:代表取締役 伊佐治幸泰・伊藤大貴
所在地:東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ32F
URL :https://socialx.inc
会社名:ドクターメイト株式会社
代表者:代表取締役医師 青柳直樹
資本金:1,160,400,000円(資本準備金含む)
所在地:東京都中央区東日本橋三丁目7番19号東日本橋ロータリービル9階
URL :https://doctormate.co.jp/
- ドクターメイト株式会社について
2017年12月に創業してから、毎月安定して導入施設が増えており、現在は国内42都道府県、590を超える介護施設に導入がされています。また、ドクターメイト主催のWEBセミナーには900名以上の介護関係者が参加するなど、介護業界で大きな注目を集めています。
▼シリーズBにて10億円調達に関するリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000047082.html
▼導入介護施設500施設を突破に関するリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000047082.html
▼大手有料老人ホーム様でも続々ご利用が開始
株式会社ニチイ学館 様の導入事例
https://doctormate.co.jp/case/nichiigakkan
株式会社さわやか倶楽部 様の導入事例
https://doctormate.co.jp/case/sawayakaclub
- リリースに関するお問い合わせやご取材は、下記までお問い合わせください
本事業担当責任者:中島健志(Takeshi Nakashima)
〒103-0004 東京都中央区東日本橋三丁目7番19号東日本橋ロータリービル9階
Tel:03-6822-5055
メールアドレス:t-nakashima@doctormate.co.jp
問合せフォーム:https://doctormate.co.jp/inquiry
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