IT業界はマネジメントや設計ができる人材が枯渇。生成AI時代に直面する“スキルギャップ”をRareTECHが調査レポートとして公開

最大約79万人の人材不足問題を解決するためにRareTECHがハッカソンを開催

var

2025年12月16日 10時00分

株式会社var（本社：東京都品川区、代表取締役：古里栄識）が運営するITスクールRareTECH（レアテックは、国内IT市場における人材不足の実態と、同スクールが実施した「ハッカソン秋の陣」の開催レポートを公開しました。

本レポートでは、生成AIが普及した現在においても、現場では依然として“マネジメントや設計ができる人材”が不足している点を指摘しています。AIツールの普及後もこのギャップは解消されておらず、IT人材教育のあり方を見直す必要性が改めて明らかになりました。

■ 今もなおIT業界が抱える人材不足問題

日本では2030年時点で 最大約79万人のIT人材が不足する と経済産業省や情報処理推進機構（IPA）が推計しており、特に クラウド・DX・サイバーセキュリティ・データサイエンス といった領域で需要が急増しています。これらの分野では教育供給が追いつかず、供給と需要のギャップが拡大しています。

一方で、単にツールを操作できるだけでは現場の課題を解決できず、マネジメントや設計のスキルが不足する状況が続いています。クラウドを利用したシステムが一般的になった現在において、システムが高負荷にも耐えられるかつコストも最適化された設計を採用し、そのプロジェクトを推進するためのマネジメント力が重視されています。これらのセキュリティ対策や障害対策まで見通せる設計力は簡単に身につくものではありません。RareTECHのレポートではこの “マネジメント・設計スキルのギャップ” を重要な課題として位置づけています。

■ AI・ノーコード時代にも残り続ける“3つのギャップ”

RareTECHのハッカソンを通して、初心者がつまずきやすいポイントは以下の3つに集約されることが分かりました。

① 「アプリは顧客の問題を本当に解決しているのか」が考慮できていない

サービスをマネタイズするには、相応の価値を提供する必要があります。しかし、設計や開発に不慣れな場合、手段と目的が逆転し、「最新技術を使うこと」自体が目的になってしまうケースが多く見られます。

② 納期を意識した開発ができていない

MVP（Minimum Viable Product）とは、顧客に価値を提供できる最小限のプロダクトのことです。納期を意識せず機能を追加し続けると、いつまで経ってもリリースに至りません。期限内に動くものを出す視点 が不足しがちです。

③ セキュリティ・障害対策の知識不足

想定される攻撃手法や障害を理解していなければ、適切な対策は取れません。扱う情報の機密性やサービスの重要度に応じた技術選定が必要であり、場合によっては 法的責任が問われるリスク も存在します。

■ RareTECHハッカソンから見えた、マネジメント・設計スキルの向上

RareTECHでは「未経験から体験できるチーム開発」を目的としたハッカソンを年4回開催しています。2025年11月開催の「ハッカソン秋の陣」には 48名 が参加し、非常にレベルの高い成果発表が行われました。特に優秀なチームでは、以下のような 現役エンジニアでも扱いが難しい技術 を活用した実践的なアプリが発表されました。

ハッカソン秋の回で使用された高度技術の例

Redis (レディス)
WebSocket (ウェブソケット)
GCP・AWS
Go・React
TailwindCSS

単に技術を使用するだけでなく、ペルソナ設計、技術選定、ER図、画面遷移図などの要件定義・設計ドキュメントも高い完成度でまとめられており、設計力の成長が明確に見られました。

ハッカソンの詳しいレポートはこちら

RareTECH公式noteが開きます

■ レポート総括：IT人材育成には設計学習環境が必須

RareTECHではチーム開発を学ぶ講義や、ハッカソンのための講義が開催されています。

IT業界には"上流工程"と呼ばれるマネジメントや設計のスキルがある人材が不足しています。一方でそれらのスキルを持つエンジニアは少なく、AIが普及した現在も大きなギャップが存在しています。RareTECHではこの課題に向き合い、希少性の高い人材を育成するカリキュラム を採用しています。ハッカソンではマネジメントや設計などの上流工程を経験できるだけでなく、実践的なスキルを使用したアプリ開発の経験を積むことができる点が特徴です。

このような実践的な技術が習得できる場は多くはありませんが、RareTECHではIT業界全体が抱える人材不足問題の解消に向けて、カリキュラムの改善を日々続けております。