洋上風力発電の環境影響評価の高度化プロジェクト始動

― バイオロギング×生物多様性ビッグデータで脱炭素とネイチャーポジティブを両立 ―

株式会社シンク・ネイチャー

1.プロジェクト概要

株式会社シンク・ネイチャー、バイオロギングソリューションズ株式会社、Koudou Labは、東京大学大気海洋研究所 佐藤克文教授をアドバイザーとして、バイオロギングによる野生生物行動データと、生物多様性ビッグデータを統合し、洋上風力発電をはじめとする再生可能エネルギー開発の環境影響評価を高度化する共同プロジェクトを開始しました。


本プロジェクトは、脱炭素社会の実現とネイチャーポジティブを同時に達成するための、次世代型環境影響評価モデルの構築を目的としています。

2.【行政・政策の視点】

再生可能エネルギー政策と生物多様性政策の統合を支える科学的基盤

我が国では、GXの推進、生物多様性国家戦略、ネイチャーポジティブ経済移行戦略の実装が求められる中、洋上風力発電など再生可能エネルギー導入拡大に伴う自然への影響評価の高度化や、地域的な合意形成の進め方が重要な政策課題となっています。従来の環境影響評価は、調査地点や期間が限定的であり、野生生物の生息適地あるいは移動や行動を十分に反映できないという制度的・技術的制約を抱えてきました。そこで本プロジェクトでは、バイオロギングによる野生生物の行動・移動データと、生物多様性ビッグデータを統合し、個体レベルの生息エリア情報を高解像度で可視化するマクロ生態学的分析を実施します。これにより、洋上風力発電施設のような再エネ施設と野生生物の生息適地と行動エリアの重なり、衝突リスク、累積的な開発影響を含む広域的なインパクト評価が可能となります。

本取り組みは、環境影響評価制度の科学的高度化・透明性向上、再生可能エネルギー導入における生物多様性配慮指針の具体化、国・自治体による計画策定段階での影響回避・低減策検討支援、地域合意形成に資する客観的・定量的エビデンス提供を通じて、科学と政策をつなぐネイチャーポジティブ実装モデルの構築に貢献します。


3.【金融・ビジネス/ESGの視点】

TNFD・ネイチャーポジティブ対応を支える自然関連リスクの可視化

金融機関・投資家においては近年、気候変動リスクに加え、自然関連リスク、すなわち企業活動による生物多様性・生態系サービスの毀損に伴う事業レジリエンスの劣化をどのように定量し、ファイナンスの意思決定に反映するか、ということが重要な課題となっています。洋上風力発電のような再生可能エネルギーに関するプロジェクトは長期・大規模投資である一方、自然資本への影響が顕在化した場合、事業遅延、規制強化、レピュテーションリスクにつながる可能性があります。そこで、本プロジェクトは、野生生物の「生息適地」と「行動」に基づいた高解像な自然の可視化を行い、自然関連リスクを定性的評価から定量評価へと進化させます。これにより、開発初期段階での生物多様性リスクの見える化、TNFD・ESG評価に資する科学的エビデンスの提供、非財務リスク(事業中断・社会的反発等)の低減、ネイチャーポジティブ投資としての説明可能性・透明性向上を実現し、持続可能な投資・ファイナンス判断を支援します。


4.今後の展開

初期フェーズでは、既存のバイオロギングデータを活用し、風力発電施設との空間的重なりや移動経路上のリスク(バードストライク等)を整理・可視化します。本プロジェクトの特徴は、バイオロギングデータを単なる「生データ」として提供するのではなく、高度な解析と概念整理を通じて、政策・投資・事業判断に資する“インテリジェンス”として提供する点にあります。学術論文の出版だけに拘らず、ホワイトペーパー形式で予察的・概念的成果を段階的に発信することで、政策・市場・金融の対話を先行させ、ネイチャーポジティブに関する評価軸やルール形成を主導していきます。中長期的には、洋上風力発電を対象としたパイロット事例を通じて知見を蓄積し、制度設計・ガイドライン整備・持続可能な投資判断への反映を見据えた社会実装を進めていきます。

会社概要

■株式会社シンク・ネイチャー

マクロ生態学、生物多様性保全科学において卓越した研究実績を有する国内・海外の研究者を有するグローバル企業です(https://think-nature.jp)。世界の陸・海を網羅した自然史の研究論文や標本情報、リモートセンシング(人工衛星・ドローンによる観測)、環境DNA調査、野生生物のバイオロギング、市民科学などで収集された生物関連データ(地理分布、遺伝子、機能特性、生態特性など)をデータ統合し、AI等の最先端技術を用いたネイチャーの可視化や予測や、シナリオ分析技術を有しています (J-BMP*1)。TNFDのデータカタリストイニシアティブに参画し、自然資本ビッグデータを活用した自然の持続的利用に関する分析、評価、ソリューション(GBNAT*2 、TN LEAD*3)で、金融機関・機関投資家・企業の生物多様性対応を支援しています。さらに、「生物多様性ネットゲイン」を可視化し、ネイチャーポジティブ事業を推進するためのサービス(TN GAIN*4)を提供しています。また、生物多様性の記載に尽力している研究者を表彰する「日本生態学会自然史研究振興賞(*5)」を提唱し、賞金を提供して基礎科学の裾野を支える活動を行い、さらには一般向けに、生き物の豊かさを、地図で見える化したスマートフォンアプリ「ジュゴンズアイβ版(*6)」(無料)をリリースし、生物多様性の主流化(教育普及)を推進しています。

■ Biologging Solutions株式会社

Biologging Solutions株式会社は、設立以来10年以上にわたり、陸上動物(サル・シカ・クマ等)や水産資源(マグロ・カツオ・ブリ・サバ等)を含む様々な野生生物・海洋環境を対象に、行動・移動・環境データを高精度に取得するバイオロギング機器と、その運用・解析・可視化までを一気通貫で提供する機器・データソリューション提供企業です。GPS首輪や小型ロガー、各種センサ等の開発・製造に加え、クラウドを通じたデータ管理、地図表示、アラート、レポーティングを支援し、研究機関・行政・企業の意思決定を支えています。取得データを“使える知見(インテリジェンス)”へと変換し、ネイチャーポジティブの社会実装に貢献します。

■ Koudou Lab

Koudou Lab は、野生動物の行動を「見える化」するバイオロギング研究を中心に活動する個人事業です。海鳥や魚、陸上の哺乳類など、さまざまな動物に小型の記録計を装着し、「どこで」「どのように」行動しているのかをデータから読み解いています。集められた GPS や加速度、深度、水温などのデータは、コンピュータ解析によって整理・可視化され、動物の移動や採餌行動、周囲の環境との関係を理解する手がかりになります。こうした解析は、研究だけでなく、自然環境の保全や人と自然のよりよい関係づくりにも役立てられています。また Koudou Lab では、バイオロギングデータ共有プラットフォーム(BiP)に公開されたデータを使った解析方法の開発や解説にも取り組んでいます。YouTube チャンネルでは、野外調査の様子や研究の裏側を紹介し、バイオロギング研究を身近に感じてもらうための発信も行っています。


*1J-BMP: 日本の生物多様性地図化プロジェクト

https://biodiversity-map.thinknature-japan.com/

*2 GBNAT: GBNATは、生物多様性、森林減少、人的影響、水リスクに関するグローバルな定量データを提供し、生物多様性への影響を評価するための優先地域の特定を支援します。GBNATの "ready-to-use" なアウトプットは、TNFDのロケーション評価をサポートし、さらにコモディティ生産、採鉱、自然再生拠点の分析にも役立ちます。

https://lp.gbnat.com/jp/

*3 TN LEAD:全産業セクター&グローバルな事業拠点に対応した TNFD対応支援サービス

https://think-nature.jp/service/

*4 TN GAIN:住宅の庭づくり、都市再開発における不動産物件の緑化計画 、企業緑地や社有林の森づくり、ビオトープの計画など、ネイチャーポジティブ関連事業の効果量をビフォー・アフターの比較を基に算定し、生物多様性ネットゲインを可視化するサービス 

https://services.think-nature.jp/gain/

*5 日本生態学会自然史研究振興賞:日本生態学会の新賞​​、生物多様性に関する記載研究を推進している会員を表彰する新たな賞 

https://note.com/thinknature/n/n885ba7f11009

*6 ジュゴンズアイ(DugongsAI)β版:生物種毎の生物の豊かさが地図上で可視化された個人向けスマホアプリ

https://services.think-nature.jp/dugongsai/



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会社概要

株式会社シンク・ネイチャー

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URL
https://think-nature.jp/
業種
情報通信
本社所在地
沖縄県浦添市前田3丁目15番10号 Ocean Current 202
電話番号
-
代表者名
久保田 康裕
上場
未上場
資本金
4832万円
設立
2019年08月