HIOKI、国際学会 IPEC-Nagasaki 2026 にて「Best Paper Award 2nd Prize」を受賞

次世代モーター設計に寄与する高周波損失解析技術を提案

HIOKI

HIOKI(日置電機株式会社:長野県上田市、代表取締役社長:岡澤 尊宏)は、当社所属のエンジニアである赤羽真和が、横浜国立大学の赤津観教授との共同研究において執筆した論文「Proposal and Validation of a Ringing Loss Analysis Model for PWM Inverter-Driven Motor Systems」* が、パワーエレクトロニクスの国際学会「IPEC-Nagasaki 2026 -ECCE ASIA-」において、「Best Paper Award 2nd Prize」を受賞したことをお知らせいたします。

近年、EV(電気自動車)などのモーター駆動システムでは高効率化が強く求められています。これに伴い、SiC(シリコンカーバイド)をはじめとするWBG(ワイドバンドギャップ)半導体を活用したインバーターの採用が進み、その高速なスイッチング動作によって生じる高周波帯域の電力損失、「リンギング損失」の把握が重要性を増しています。本研究では、リンギング損失のメカニズムを明らかにし、その損失を予測するための新しい解析モデルを提案しました。実測による検証の結果、その妥当性が証明され、従来は困難であった設計段階でのリンギング損失の予測が可能となりました。

* M. Akahane, K. Hayashi and K. Akatsu, "Proposal and Validation of a Ringing Loss Analysis Model for PWM Inverter-Driven Motor Systems," 2026 International Power Electronics Conference (IPEC-Nagasaki 2026 - ECCE Asia), Nagasaki, Japan, 2026, pp. 1-6, doi: 10.23919/IPEC-Nagasaki2026-EC64663.2026.11596686. 

横浜国立大学 赤津教授(左)と当社R&D本部所属 赤羽(右)

技術のポイントと社会的意義

  1. 設計プロセスの効率化

    モーターやインバーターの開発・設計において高周波帯域の電力損失を早期に予測できることから、試作後の手戻りを大幅に削減し、開発期間の短縮とコスト低減に寄与します。

  2. インバーター・モーターの効率損失評価における「計測指針」の確立

    モーター駆動システムの効率を高めるためには、これまで見過ごされがちだった「高周波かつ低力率」な電力成分の把握が欠かせません。本研究では、この電力成分の把握に、広帯域で位相確度に優れた電力測定システムが重要であることを技術的に示しました。この成果は、次世代インバーター・モーターの開発に必要な計測指針の提案につながります。

次世代パワーエレクトロニクスにおける損失課題への新たなアプローチ

近年、SiCやGaN(窒化ガリウム)といった次世代半導体デバイスの普及により、PWMインバーターのスイッチング動作は高速化しています。これにより、EVのパワートレインをはじめ、産業用モータードライブや再生可能エネルギーシステムにおいて大幅な性能向上が実現しています。その一方で、高速スイッチングに伴う電圧・電流の高周波発振によって、モーターで発生する「リンギング損失」が増加するという新たな課題が生じています。リンギング損失は高周波かつ低力率な電力成分であるため、従来の評価技術では正確に把握することが困難であり、システム全体の最適設計において十分に考慮されていませんでした。

今回提案する解析モデルでは、ケーブルとモーターの寄生インダクタンスや寄生容量を考慮することにより正確な損失予測を実現しました。さらに論文では、リンギング損失がモーターの寄生容量やインバーターのスイッチング周波数、DCバス電圧の2乗に比例して増加することを実証。これにより、次世代モータードライブ設計において取り組むべき明確な設計パラメーターをエンジニアに提示しています。

広帯域計測技術によるモデル検証と信頼性の確立

リンギング損失を解析するモデルの妥当性検証には、高周波領域における電力計測が不可欠です。赤羽らのチームは当社の電力計測ソリューションであり、高周波帯域の電力測定においても高い精度を誇るパワーアナライザPW8001、入力ユニットU7005、電流センサCT6904Aを活用。実測データとシミュレーション結果が高い一致を示したことで、本モデルの有効性と、当社が持つ広帯域計測技術の優位性とその必要性が証明されました。

この計測ソリューションにより、エンジニアは設計初期段階からリンギング損失を予測・評価できるようになりました。本論文では、シミュレーションと当社の計測データの両面からモデルを定量的に検証するとともに、リンギング損失の主要因を特定し、次世代の高効率モータードライブ設計における広帯域・高精度な電力計測技術の価値を示しています。

論文の要旨は以下のリンクよりご覧いただけます。

Proposal and Validation of a Ringing Loss Analysis Model for PWM Inverter-Driven Motor Systems | IEEE Conference Publication | IEEE Xplore

国際パワーエレクトロニクス会議(IPEC)について

IPEC(International Power Electronics Conference)は、電力変換技術およびモータードライブなどのパワーエレクトロニクス分野において、世界を代表する学会です。日本電気学会(IEEJ)主催、IEEE Power Electronics SocietyおよびIndustry Applications Society共催のもと、世界中の研究者やエンジニア、アカデミア関係者が集い、最新技術の発表と議論が行われます。昨今急速に進むエネルギー転換や電動化の流れを受け、EV、再生可能エネルギー、産業用モータードライブなどあらゆる分野の最先端技術が集約される場として、IPECは重要な役割を果たしています。第10回IPECは2026年5月31日から6月4日に長崎にて開催されました。

日置電機株式会社について

自動車をはじめ、電子部品、環境・新エネルギー、インフラなど、様々な分野に向けて電気計測ソリューションを提供しています。産業のマザーツールと呼ばれる電気計測器は、研究開発、生産ライン、保守サービスなど、あらゆる場面において必要不可欠な存在です。1935年の創業から電気計測一筋で培った確かな技術と独自のイノベーションにより、お客様の安全で有効なエネルギー活用を促進し、社会の安心と発展に貢献しています。開発・生産・管理機能を集約した日本本社と、国内販売拠点およびアジア、アメリカ、欧州に広がるグループ販売会社とのスピーディーな連携により、世界中のお客様にタイムリーなソリューションを提供しています。

商  号:日置電機株式会社

創  業:1935年(昭和10年)6月

事業内容:電気計測器の開発、生産、販売・サービス

本  社:長野県上田市小泉81

https://www.hioki.com/ja

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


会社概要

日置電機株式会社

3フォロワー

RSS
URL
https://www.hioki.com/ja
業種
製造業
本社所在地
長野県上田市大字小泉81
電話番号
-
代表者名
岡澤尊宏
上場
東証プライム
資本金
32億9946万円
設立
-