世界透明性フォーラム2024:より野心的な気候変動対策の推進に向けて

©FAO/Florita Botts©FAO/Florita Botts

2024/05/20


2015年に採択されたパリ協定では、産業革命前に比べ、世界の気温上昇を1.5℃までに抑える努力を追求することが掲げられました。この目標達成に向けては、各国の温室効果ガス排出量の開示やモニタリング等を積極的に進める「透明性の向上」が重要です。2024年5月20日から21日にかけて東京で開催される、世界透明性フォーラム(Global Transparency Forum)では、170名を超える政府関係者、専門家、国際機関の代表が一堂に会し、透明性向上に向けての協力を強化し、野心的な気候変動対策を推進することを目指します。

 

今後各国に提出が求められる報告書

気候変動に関する透明性を確保するため、各国は国連気候変動枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change: UNFCCC)に隔年透明性報告書(Biennial Transparency Report: BTR)を提出する必要があります。この報告書には、それぞれの国の温室効果ガスの排出量と吸収量に加え、いわゆる排出削減目標である「国が決定する貢献(Nationally Determined Contribution: NDC)」の達成に向けた進捗状況や、気候変動適応策、目標達成のための資金の提供・受領・ニーズ等、気候に関連する最新の情報が含まれます。

BTRは、パリ協定の「強化された透明性枠組み(Enhanced Transparency Framework: ETF)」の重要な構成要素です。最初の提出期限は2024年末です。

さらに、各国は2025年2月末までに、農業や土地利用等を含むすべての分野の温室効果ガス排出量を網羅した、より野心的な新たなNDCを提出する必要があります。

 

透明性に関するハイレベル対話

本フォーラム期間中、5月20日午後4時45分~6時15分(日本時間)に「NDCの野心強化における透明性の重要性」に関するハイレベル対話が実施されます。そこでは、提出が必要な上記2つの報告書(BTR及びNDC)について話し合いが行われます。この対話では、2つの報告書の関連性と、将来の野心的な気候変動対策への貢献を確かなものとする上で、包括的なBTRがいかに重要であるかが説明されます。

国際連合食糧農業機関(FAO)はこの対話において、特に農業・土地利用分野における各国の気候関連の報告・計画を支援するために開発された最新のツールや知見を提供します。また、ETFの報告に対応するために各国が必要とする組織的・技術的能力をいかにして強化していくのか、他機関との連携を強化するためにどのような支援が利用できるのか等について、各国に情報を提供します。


強化された透明性枠組み(ETF)とは?

ETFはパリ協定の不可欠な要素の一つで、各国の温室効果ガス排出削減等の目標や公約の達成に向けた進捗を定期的に測定し見守るモニタリングを可能にします。これを実施することにより、国家間の相互信頼や、目標達成に向けた責任が醸成されます。

ETFを構成するBTRは、「グローバル・ストックテイク」の基礎となります。「グローバル・ストックテイク」は、進捗状況とインパクトに関する世界的な対話で、5年ごとに開催されます。パリ協定の目的達成に向けた世界全体の進展を評価する重要な機会で、第1回目はは2023年に開催されました。

 

なぜFAOは透明性に取り組むのか?

農業及び土地利用、土地利用変化、林業の分野は、世界の温室効果ガス純排出量の約4分の1を占めています。その重要性にもかかわらず、これらの分野は、各国の温室効果ガスインベントリ(温室効果ガス排出・吸収量)に十分な報告がなされていません。国レベルでのデータが足りないこと、正確な報告に必要な技術が不十分であること、関係当局の関与が限定的であること等が理由です。

FAO気候変動・生物多様性・環境部のカベー・ザヘディ部長は、「気候変動対策に向けた行動における透明性は、国家間の信頼を築くだけでなく、温室効果ガス排出削減に向けた貢献を達成し、さらに上回るという集団的な野心をも後押しする。BTRから得られる知見は、国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)において、より野心的で効果的な気候変動に対する政策の策定や、その後の気候変動対策に向けた行動につながるでしょう」と述べました。

FAOは、加盟国の能力強化を通じて、各国が実施する農業・土地利用分野における温室効果ガス排出量の報告やNDCの達成を支援する主要機関のひとつです。この支援により、FAOの加盟国は、持続可能で気候に適合した農業・食料システムへの変革を手掛けるために必要な情報を、収集することができるようになります。

 

世界透明性フォーラムの主催者

本フォーラムは、「透明性のための能力開発イニシアティブ-グローバル支援プログラム(CBIT-GSP)」が主催し、地球環境ファシリティ(GEF)、国連環境計画(UNEP)、国連環境計画コペンハーゲン気候センター(UNEP-CCC)、国連開発計画(UNDP)気候の約束(Climate Promise)の協力の下で開催され、日本国環境省がホストします。

 

関連リンク

Global Transparency Forum

(https://climate-transparency-platform.org/events/global-transparency-forum-driving-ambitious-climate-action-through-stronger-collaboration

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会社概要

URL
http://www.fao.org/japan/jp/
業種
水産・農林業
本社所在地
神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1 パシフィコ横浜 横浜国際協力センター5階
電話番号
045-222-1101
代表者名
日比絵里子
上場
未上場
資本金
-
設立
1997年10月