VIE、サウナにおける「ととのう」状態の脳活動と気分変容を解明する研究論文を「PLOS ONE」で発表
イヤホン型脳波計で平均精度88%超えで「ととのう」脳状態の分類に成功
・論文情報:Ming Chang ,Takuya Ibaraki,Yasushi Naruse,Yasuhiko Imamura / A study on neural changes induced by sauna bathing: Neural basis of the “totonou” state
・URL:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0294137
PLOS ONEとは
PLOS ONEとは、Public Library of Science社より刊行されている、オープンアクセスの査読つきの科学雑誌です。主に科学と医学分野の一次研究論文を取り扱っており、インパクトファクターは3.75です。
URL:https://journals.plos.org/plosone/
研究の背景
サウナはリラクゼーションや健康を促進する方法として、世界中で人気を誇っています。特に習慣的なサウナの利用は、神経変性疾患や呼吸器疾患を予防できる可能性があり、うつ病や風邪の発症率軽減など、サウナの身体的な効果について、数多くの報告がされています。
しかしながら、脳科学や心理学の観点からサウナ入浴の効果を示す研究は、ほとんど報告されておらず、サウナ入浴に伴う「ととのう」状態の正体は解明されていません。
そこで私たちは、サウナ入浴前後における脳活動の測定を行い、気分に関する評価尺度(アンケート)を実施することで、「ととのう」状態における脳活動と気分変動を明らかにし、脳科学や心理学の観点からサウナの効果を検証する実験を行いました。また、サウナ前後において聴覚oddball課題(ターゲット刺激に対する注意や反応時間を測定するもの)を行い、P300とMMNの振幅の変化に焦点を当てました。さらにイヤホン型脳波計で脳の「ととのう」状態、「非ととのう」状態を分類する精度を検証しました。
「ととのう」状態におけるシータ波とアルファ波の変化
サウナ前後と各セット(サウナ→水風呂→外気浴)間の安静時における脳活動を、VIEが開発しているイヤホン型脳波計を用いて測定しました。
その結果、サウナによってシータ波とアルファ波に大幅な増加が見られ(Figure1)、主観評価に関するアンケートでも、脳活動の変化に伴い、「浮遊感」や「リラックス感」を評価する項目に有意な結果が見られました(Table1)。
聴覚oddball課題におけるパフォーマンスの変化
このタスクにおいて焦点を当てたP300の振幅は、注意力と深く関連しており、注意力が高まるとP300も大きくなることが言われています。一方MMNは、聴覚刺激に対して主観的に注意しなくても誘発することが可能で、自動的な聴覚情報処理によって引き起こされます。
その結果、サウナ後はP300の振幅とターゲット刺激(音の識別)に対する反応時間が大幅に減少し(Figure2)
、MMNの振幅は大幅に増加しました(Figure3)。P300の減少は、注意力が少なくなっていることを表していますが、MMNの増加は音の識別に反応が高まっていることを表しているため、サウナにより、参加者はより少ない注意力でタスクを効率的に実行できたことを明らかにしています。
この研究では、サウナ入浴における「ととのう」状態に伴うリラックス感や幸福感を、脳活動のデータや主観的なアンケートから裏付けることに成功しました。また、イヤホン型脳波計は、将来私たちがサウナなしでも、「ととのう」状態に似た脳活動を作り出し、誰もが簡易的にリラクゼーションを手に入れることができる基盤を作る第一歩となりました。今後は、このイヤホン型脳波計を活用して、サウナなしで「ととのう」状態を作るためのニューロフィードバックを行う研究を続けていく予定です。
※研究内容紹介記事:https://vie.style/blogs/magazine/sauna-science
VIE株式会社
VIEは、「Live Connected, Feel the Life.」をミッションに掲げ、ニューロテクノロジーとエンターテイメントで、感性に満ちた豊かな社会をつくることをサポートするプロダクトを創造することで、ウェルビーイングに貢献し、さらに、脳神経に関わる未来の医療ICT・デジタルセラピューティクスの発展にも寄与していきます。
会社名 | VIE株式会社(VIE, Inc. / ヴィー) |
代表者 | 代表取締役 今村 泰彦 |
所在地 | 神奈川県鎌倉市大町1-9-22 |
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