不妊・不育症当事者の63%が、保険診療による不妊治療の「年齢制限に賛成、回数制限に反対」し、流産後に回数がリセットされない現行制度に、85%が「回数リセットを望む」
「不妊治療の保険適用の条件緩和に関する緊急アンケート2025」結果速報
不妊治療患者をはじめ不妊・不育症で悩む人をサポートする、セルフサポートグループ「NPO 法人 Fine (ファイン、以下、当法人)」は、「不妊治療の保険適用の条件緩和に関する緊急アンケート2025」を実施し、373人から回答を得ました。詳細な分析結果については、後日あらためて公表する予定です。当法人は今回の結果をもとに、回数制限および年齢制限のあり方について、当事者の視点から社会に問いかけてまいります。
この結果をぜひ貴媒体で取り上げていただき、広く社会への周知を図っていただけますようお願いいたします。

<調査結果速報サマリー>
1. 治療と自己負担の実態(Q1・Q4)
回答者の99%(369人)は、保険制度の対象になりうる方々です(Q1)。受けている(きた)治療における自己負担の割合(Q4)は、「3割負担(保険診療)」23%、「3割負担+10割負担(保険診療+先進医療)」66%、「10割負担(自由診療)」11%となっており、回数制限・年齢制限の有無にかかわらず、現行の保険制度だけでは不妊や不育症治療が十分ではない構造があることがうかがえました。
2. 回数制限・年齢制限に対する改善の声(Q8)
現在、「体外受精/顕微授精」に保険が適用されるためには、女性の年齢が治療開始時点で43歳未満であること、「胚移植」には回数制限があり、女性の年齢が40歳未満の場合は1子につき6回まで、40歳以上43歳未満の場合は1子につき3回までです。この現状に対して、63%の人が“年齢制限は賛成”、“回数制限は反対”と回答しました。「保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022」(2022年)(*1) 調査では「年齢制限・回数制限ともに反対」が42%でしたが、近年は回数制限について改善の声が根強いことが明らかになりました。
3. 流産後の回数リセットに対する意識(Q10)
現在、保険診療を使って胚移植した後に流産しても、胚移植の回数制限はそのままです。この状況に対して当事者の85%が「リセットされるとよいと思う」と回答しました。
※調査結果のグラフと当事者の生の声については、次ページ以降をご覧ください。
(*1)「保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022」
<調査概要>
■調査目的:不妊治療の保険適用にかかる回数や年齢の制限によって、不妊・不育症の当事者にどんな困難や思いが生じているかを知り、社会に届けるため
■調査期間:2025年11月13日~2025年12月15日
■調査方法:WEBアンケート。自由回答を含む全18問
■対象者:2022年4月以降に不妊や不育症治療を経験した人、治療中の人、これから始めようと思っている人
■回答数:373
(1)回答者の概要

(2)不妊治療の保険適用にかかる回数や年齢の制限について
回答が多かった順に、「年齢制限→賛成、回数制限→反対」(63%)、「年齢制限→反対、回数制限→反対」(26%)、「年齢制限→賛成、回数制限→賛成」(7%)となっています。

(3)不妊治療の保険適用にかかる回数や年齢の制限についての年変化
今回最も多く回答のあった「年齢制限→賛成、回数制限→反対」は、保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022」(2022年)(*1)では36%、「不妊に関する意識・環境調査2024」(2024年)では19%でした。

(4)保険診療を使って胚移植した後流産したら、回数制限のリセットを求む声が85%
現在は、保険診療を使って胚移植した後流産しても、女性の年齢が40歳未満の場合は1子につき6回まで、40歳以上43歳未満の場合は1子につき3回までという回数はカウントされたままです。「今のままでいいと思う」と回答した人は7%でした。

(5)回数制限をなくしてほしいと望む当事者の生の声(抜粋)
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20代で不妊治療を開始しましたが、トライアンドエラーで回数を重ねるしかない部分があり、6回の保険分を使い切りました。5回目の移植でなんとか原因らしきものに辿り着きましたが、これから出産まで辿り着くまで自費診療です。(25~29歳女性・愛知県・正社員(総合職))
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体外受精は高齢妊活の人が必要としているイメージを勝手に持っていました。実際は20代でやる人も多く、私は回数制限を超えての自費は金銭的に厳しいため、20代で子どもを諦める未来が近づいてきているつらさをかかえています。(25~29歳女性・高知県・パート・アルバイト)
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移植3回まで化学流産で、その後不育症・着床不全が見つかりました。流産もしました。まだ20代なのにあと1回しか保険が残っていません。(25~29歳女性・神奈川県・正社員(一般職))
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移植後心拍確認後の流産を2回経験しています。移植回数がリセットされないのはつらいです。今年の4月から心拍確認後流産には給付金が出ていますし、妊娠として認められてないのかと思うとモヤモヤします。(30~34歳女性・大阪府・正社員(専門職))
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28歳で男性不妊のため、顕微授精しています。6回という回数が自分自身のプレッシャーになっていてそれがストレスです。もし6回でできなければ30歳で子どもを諦めることになります。(25~29歳性別回答しない・東京都・正社員(その他))
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不育症です。妊娠しても流産を繰り返し、6回の移植で出産まで至れませんでした。30歳で保険は終了。高額な自費治療しか道がなくなるのはつらいです。(30~34歳女性・東京都・正社員(専門職))
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31歳で不妊治療を始め、(現在)34歳になり9回の移植をしましたが妊娠に至りません。6回の移植(回数)制限を超えたため、7回目以降は自費での治療になり非常に高額です。年齢的には妊娠できると言われているにも関わらず、金銭的理由で子どもを持つことを諦める可能性も出てきており精神的にもつらいです。(30~34歳女性・愛知県・正社員(総合職))
当法人 のこれまでのアンケート調査結果:https://j-fine.jp/activity/enquate/index.html
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