生活科学部人間生活学科 村井陽平准教授が、第17回キッズデザイン賞・2023年度グッドデザイン賞をダブル受賞
【受賞作品】
シェルミンキッズ
【作品概要】
本作は、株式会社福井クラフト(福井県鯖江市)から依頼を
受け、バイオマス樹脂の一種である「卵殻プラスチック」を
使用した食器のあるべき姿を、プロダクトデザインの観点から
探求したものです。
SDGsが推進される昨今、プラスチックによる環境問題に対応した、バイオマス樹脂の開発が各社により進められています。しかし、その一方でバイオマス樹脂は、環境負荷を軽減させた理想的素材であるにも関わらず、原料コストが高いことから未だ広く流通していないのが現状です。
株式会社福井クラフトは、業務用食器の大手メーカーです。これまで多くのお客様に樹脂製食器を届けてきた会社だからこそ、これからの地球環境のためにバイオマス樹脂を用いた食器を普及させ、その素材を振興させていく必要があります。しかし、樹脂製食器においては、他の素材に比べて低価格であることから市場で選ばれる傾向が強く、バイオマス樹脂を使用した食器が価格競争に陥ると非常に厳しくあります。そこで、商品のデザインによってバイオマス素材の魅力を伝え、その価値を理解して購入してもらう仕組みが必要と考えました。
本商品の特徴は、大きく分けて3つあります。
① 卵殻プラスチックを用いた商品であることを「見える化」。
「ひよこ」をモチーフに、素材の由来を一目で分かるようにし
ました。また、白と茶の卵殻が混合したことで発生する温かみ
のある色合いや表情を、一部塗装をせずに魅せたデザインにし
ています。
② 「ひよこプレート」の装脱着で、製品寿命を延ばした。
子供用食器は、年齢の経過と共に捨てられる場合が多いです。
しかし、環境問題に対応した商品にあっては、長く使える必要があると考えました。
本商品は、子供向け仕切り皿「ひよこプレート」を取り外せるようにしたことで、様々な年齢に対応させています。
③ すくいやすく持ちやすい形状で、食器の落下リスクを軽減。
食器の落下リスクを軽減させるために、外形を持った際に手に
ひっかかる形状にしました。また、食器の重心をコントロール
することで、転がり難くしています。
これらのデザインにより、バイオマス樹脂による環境負荷の軽減
と、食器としての使い勝手の良さを両立させました。
そして、意匠で素材の由来を示すことで、バイオマス素材の存在を
知るきっかけを演出し、素材を啓蒙させていくことを図っています。
・第17回キッズデザイン賞
子どもの安全・安心と健やかな成長発達に役立つ優れた製品・サービス・空間・活動・研究などを顕彰するものです。
・2023年度グッドデザイン賞
デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動で、かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰するものです。
https://www.g-mark.org/gallery/winners/19694?years=2023
【村井陽平准教授のコメント】
本研究は、停滞するバイオマス素材の普及に対し、意匠面から活路を与える
にはどうすれば良いのかを探ったものです。
本商品を通し、環境負荷を軽減させたバイオマス樹脂の存在を知り、
購買者がこれからの地球環境に対し、何を選択していくべきなのかを
考える一つのきっかけになれましたら幸いです。
また、このような取り組みが、二つのデザインアワードで評価された
ことを、大変嬉しく思います。
【プロフィール】
富山県富山市出身
2011年 金沢美術工芸大学 美術工芸学部 デザイン科卒業
2011年~2014年 大手住宅建材メーカーにて、デザイナーとして従事
2014年 英 Royal College of Art Master of Design留学
2016年 京都市立芸術大学大学院 美術研究科 修士課程修了
2018年 京都市立芸術大学大学院 美術研究科 博士課程修了
同年、札幌大谷大学 芸術学部 美術学科 専任講師
2021年 福井工業大学 環境情報学部 デザイン学科 准教授
2023年 本学に着任し、現在に至る
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