東京大学空間情報科学研究センター、磐梯町、株式会社LIFULLが水道使用量を利用して空き家予備軍を発見する簡易的なモデルの有効性を検証
水道使用量と空き家の現地調査データを活用することで、町内全域の空き家及びその予備軍を、安価かつ容易に発見するモデルを構築
国立大学法人東京大学空間情報科学研究センター(センター長:瀬崎 薫、以下「東京大学」)、磐梯町(所在地:福島県磐町、町長:佐藤淳一)及び株式会社LIFULL(ライフル)(所在地:東京都千代田区、代表取締役社長:井上高志、以下「LIFULL」)は、新たな空き家候補(空き家予備軍)の発見を容易にするべく、磐梯町が保有する過去5年分の水道使用量データ活用に関して共同で実証実験を2021年1月から開始した。
今回、水道使用量のデータのみを利用する簡易的なモデルを利用し、簡易的なモデルで抽出した空き家予備軍を発見するだけでなく、新たに空き家の可能性があると発見された物件に対して、固定資産台帳・住民基本台帳を結合し、「所有者や連絡対象者となる人を特定するための」基本的な情報の突合を行った。これによって、住宅や事業用としての活用物件の新たな候補として、自治体の空き家バンクへの登録を促すアプローチが可能となった。
今回、水道使用量のデータのみを利用する簡易的なモデルを利用し、簡易的なモデルで抽出した空き家予備軍を発見するだけでなく、新たに空き家の可能性があると発見された物件に対して、固定資産台帳・住民基本台帳を結合し、「所有者や連絡対象者となる人を特定するための」基本的な情報の突合を行った。これによって、住宅や事業用としての活用物件の新たな候補として、自治体の空き家バンクへの登録を促すアプローチが可能となった。
今回の共同研究に関するまとめは以下の通り。
・外観目視(2020年度に実施した空き家実態調査)で空き家と判定した結果と比較すると、今回の水道使用量に基づくモデルは、空き家の再現率が82.6%であった。
• 外観目視・水道使用量で、「空き家」の定義を拡大することで、全体の住所から空き家予備軍を追加で8~17%程度抽出できることがわかった。
・外観目視で非空き家と判定したが、今回の水道使用量に基づくモデルで空き家と予測した物件は、追加調査の結果、空き家の適合率68.4%であった。
・追加調査として行なったアンケート調査は回答率26.7%であった。回答の対象物件は全て空き家であったが、回答者の約4割が「売却・賃貸・解体を考えている」と回答しており、自治体の空き家バンクへの登録等を促す機会の創出に有効であることが示唆された。
■研究目的
磐梯町では、2020年度に町内全域の空き家実態調査を実施。単身高齢者、高齢者夫婦世帯が増加する中、変化する空き家の発生状況を把握するための施策がなく、空き家は放置すれば放置するほど、家屋の状態が悪化する。そのため、可能な限り早く空き家を特定し、活用に結びつけていくことが重要である。
■本研究のポイント
A.空き家の抽出
水道使用量のデータを用いることで空き家(予備軍含む)を抽出できるか。
空き家調査結果との比較を通じて、空き家調査では捕捉しきれていない予備軍を抽出。
B.空き家活用に向けた情報統合
水道使用量・固定資産台帳・住民基本台帳を結合し、活用に向けた「所有者や連絡対象者となる人を特定するための」基本的な情報の収集。
■空き家の定義
空き家と定義するには、当該建築物等を現に意図をもって用いていないものであり、一般的な空き家調査に基づき、外観目視および行政区長・隣接居住者への確認によって空き家と判定する。今回は、長期的な水道の不使用を空き家として判定し、空き家調査によって空き家と特定された情報と突合し、実際に空き家であったかの確認を行った。
空き家/非空き家を判定する水道使用量の目安
・一人世帯月水道使用量は約8.2m³* ⇒年間約100m³
・仮に、10m³/月未満として閾値を設定
■突合したリストの水道使用量に基づく空き家判定結果
今回、分析利用住所数の「水道情報」の709件に対して、水道使用量に基づく空き家判定を実施した。
水道使用量1ヶ月・12ヶ月抽出された空き家予備軍には、それぞれ以下のメリット・デメリットがある。
・水道使用量1か月の場合
〇簡便に予測可能、数か月内に発生したような空き家も予測可
×短期的に不在にしている場合も捕捉してしまう
・水道使用量1年の場合
〇長期的に居住していない可能性の高い空き家を予測可
×一年未満で空き家化した家屋は捕捉できない
今回の調査結果で空き家と判定されたものは、それぞれ以下のように言える。
今回の水道使用量基準で空き家と判定されたもの:空き家予備軍
すでに空き家の現地調査で空き家と特定されているもの:今回の調査結果が実際の空き家調査と一致していることを示すもの。
■追加調査
外観目視で非空き家と判定したが、今回の水道使用量に基づく簡易的なモデルで空き家と予測した物件については、空き家予備軍である可能性があるため、LIFULLと連携し、磐梯町が所有者に対して追加調査を行なった。
追加調査の結果、外観目視で非空き家と判定したが、今回の水道使用量に基づく簡易的なモデルで空き家と予測した物件では、空き家の適合率は68.4%であった。
追加調査の概要)
調査件数:60件
調査方法:磐梯町の個別調査(30件)、アンケート調査(30件)
調査結果:60件の内38件の物件状況を確認(その他22件はアンケート未回答のため未確認)
38件の内空き家が26件、非空き家が12件(空き家の適合率68.4%)
空き家所有者のアンケート結果の考察)
アンケート調査の回答率は26.7%で、回答の対象物件は全て空き家であった。回答では、空き家所有者が居住地から空き家物件までの移動にかかる時間は車・電車等で1時間を超えるなど、所有者の約6割が「現地まで通うことが大変」と回答した。また、空き家物件の使用目的について、「墓参りや仏壇を拝むため」も同じく約6割と高く、空き家物件を「手放すことは考えていない」「将来住みたいと考えている」と回答した所有者は約4割であった。一方で、約4割の空き家所有者は「売却・賃貸・解体を考えている」と回答しており、本アンケート調査は自治体の空き家バンクへの登録等を促す機会の創出に有効であった。
■まとめと今後の展望
本共同研究でわかったこと
・外観目視(2020年度に実施した空き家実態調査)で空き家と判定した結果と比較すると、今回の水道使用量に基づく簡易的なモデルは、空き家の再現率が82.6%であった。
・ 外観目視・水道使用量で、「空き家」の定義を拡大することで、全体の住所から空き家予備軍を追加で8~17%程度抽出できることがわかった。
・外観目視で非空き家と判定したが、今回の水道使用量に基づく簡易的なモデルで空き家予備軍と予測した物件は、追加調査の結果、空き家の適合率が68.4%であった。
・追加調査として行なったアンケート調査は回答率26.7%であった。回答の対象物件は全て空き家であったが、回答者の約4割が「売却・賃貸・解体を考えている」と回答しており、自治体の空き家バンクへの登録等を促す機会の創出に有効であることが示唆された。
再現率:外観目視基準で空き家と判定した物件の内、どれだけ空き家と予測できたか
適合率:空き家と予測した物件の内、どれだけ正解だったか
・外観目視(2020年度に実施した空き家実態調査)で空き家と判定した結果と比較すると、今回の水道使用量に基づくモデルは、空き家の再現率が82.6%であった。
• 外観目視・水道使用量で、「空き家」の定義を拡大することで、全体の住所から空き家予備軍を追加で8~17%程度抽出できることがわかった。
・外観目視で非空き家と判定したが、今回の水道使用量に基づくモデルで空き家と予測した物件は、追加調査の結果、空き家の適合率68.4%であった。
・追加調査として行なったアンケート調査は回答率26.7%であった。回答の対象物件は全て空き家であったが、回答者の約4割が「売却・賃貸・解体を考えている」と回答しており、自治体の空き家バンクへの登録等を促す機会の創出に有効であることが示唆された。
■研究目的
磐梯町では、2020年度に町内全域の空き家実態調査を実施。単身高齢者、高齢者夫婦世帯が増加する中、変化する空き家の発生状況を把握するための施策がなく、空き家は放置すれば放置するほど、家屋の状態が悪化する。そのため、可能な限り早く空き家を特定し、活用に結びつけていくことが重要である。
■本研究のポイント
A.空き家の抽出
水道使用量のデータを用いることで空き家(予備軍含む)を抽出できるか。
空き家調査結果との比較を通じて、空き家調査では捕捉しきれていない予備軍を抽出。
B.空き家活用に向けた情報統合
水道使用量・固定資産台帳・住民基本台帳を結合し、活用に向けた「所有者や連絡対象者となる人を特定するための」基本的な情報の収集。
■空き家の定義
空き家と定義するには、当該建築物等を現に意図をもって用いていないものであり、一般的な空き家調査に基づき、外観目視および行政区長・隣接居住者への確認によって空き家と判定する。今回は、長期的な水道の不使用を空き家として判定し、空き家調査によって空き家と特定された情報と突合し、実際に空き家であったかの確認を行った。
空き家/非空き家を判定する水道使用量の目安
・一人世帯月水道使用量は約8.2m³* ⇒年間約100m³
・仮に、10m³/月未満として閾値を設定
■突合したリストの水道使用量に基づく空き家判定結果
今回、分析利用住所数の「水道情報」の709件に対して、水道使用量に基づく空き家判定を実施した。
水道使用量1ヶ月・12ヶ月抽出された空き家予備軍には、それぞれ以下のメリット・デメリットがある。
・水道使用量1か月の場合
〇簡便に予測可能、数か月内に発生したような空き家も予測可
×短期的に不在にしている場合も捕捉してしまう
・水道使用量1年の場合
〇長期的に居住していない可能性の高い空き家を予測可
×一年未満で空き家化した家屋は捕捉できない
今回の調査結果で空き家と判定されたものは、それぞれ以下のように言える。
今回の水道使用量基準で空き家と判定されたもの:空き家予備軍
すでに空き家の現地調査で空き家と特定されているもの:今回の調査結果が実際の空き家調査と一致していることを示すもの。
■追加調査
外観目視で非空き家と判定したが、今回の水道使用量に基づく簡易的なモデルで空き家と予測した物件については、空き家予備軍である可能性があるため、LIFULLと連携し、磐梯町が所有者に対して追加調査を行なった。
追加調査の結果、外観目視で非空き家と判定したが、今回の水道使用量に基づく簡易的なモデルで空き家と予測した物件では、空き家の適合率は68.4%であった。
追加調査の概要)
調査件数:60件
調査方法:磐梯町の個別調査(30件)、アンケート調査(30件)
調査結果:60件の内38件の物件状況を確認(その他22件はアンケート未回答のため未確認)
38件の内空き家が26件、非空き家が12件(空き家の適合率68.4%)
空き家所有者のアンケート結果の考察)
アンケート調査の回答率は26.7%で、回答の対象物件は全て空き家であった。回答では、空き家所有者が居住地から空き家物件までの移動にかかる時間は車・電車等で1時間を超えるなど、所有者の約6割が「現地まで通うことが大変」と回答した。また、空き家物件の使用目的について、「墓参りや仏壇を拝むため」も同じく約6割と高く、空き家物件を「手放すことは考えていない」「将来住みたいと考えている」と回答した所有者は約4割であった。一方で、約4割の空き家所有者は「売却・賃貸・解体を考えている」と回答しており、本アンケート調査は自治体の空き家バンクへの登録等を促す機会の創出に有効であった。
■まとめと今後の展望
本共同研究でわかったこと
・外観目視(2020年度に実施した空き家実態調査)で空き家と判定した結果と比較すると、今回の水道使用量に基づく簡易的なモデルは、空き家の再現率が82.6%であった。
・ 外観目視・水道使用量で、「空き家」の定義を拡大することで、全体の住所から空き家予備軍を追加で8~17%程度抽出できることがわかった。
・外観目視で非空き家と判定したが、今回の水道使用量に基づく簡易的なモデルで空き家予備軍と予測した物件は、追加調査の結果、空き家の適合率が68.4%であった。
・追加調査として行なったアンケート調査は回答率26.7%であった。回答の対象物件は全て空き家であったが、回答者の約4割が「売却・賃貸・解体を考えている」と回答しており、自治体の空き家バンクへの登録等を促す機会の創出に有効であることが示唆された。
再現率:外観目視基準で空き家と判定した物件の内、どれだけ空き家と予測できたか
適合率:空き家と予測した物件の内、どれだけ正解だったか
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