環境適応型農業のクラウドファンディング件数が5年間で14倍増。「四季の創出」「水資源最適化」など日本発の注目技術も
~アスタミューゼが世界最大級の研究テーマ/クラウドファンディングDBを分析~
国内では農業改革が推進され、AIやIoT、ビッグデータといった次世代基幹技術の活用が期待される農業分野。海外に目を向けると、ハイテク技術を駆使した近代的節水農業により世界随一の農業国へと発展を遂げたイスラエルのように、少ない雨量などの気候に適応し、農業イノベーションを実現した例などが見られます。
また、日本の大企業でも東レとニットメーカーのミツカワが土壌の代わりとなる筒状の繊維「ロールプランター」を用いて南アフリカで砂漠の農地転換に成功し、パナソニックと京都大学が「水をはじく砂」による砂漠農業の実現と海外展開を目指すなど、地理的条件に限定されない農業ビジネスを創出しようとする動きが起こりつつあります。
このように、自然条件や気候変動に適応、あるいは人工的に自然条件を創出する技術を適用した「環境適応型農業」のグローバル市場規模は2015年で20億ドル、2025年時点で80億ドルと見込まれています。(※1)(※2)
日本では大企業が先頭に立つ形で海外での実証実験などが行われつつある環境適応型農業ですが、国内外の大学・研究機関やベンチャー企業、クラウドファンディングなども巻き込んだイノベーション・エコシステムの構築に関しては未だ模索段階にあります。
アスタミューゼ株式会社(以下、アスタミューゼ)は、自社で保有する世界中の技術・特許・研究テーマ・製品情報とそれに関わるプレイヤー(企業・大学/研究機関)に対する投資データの分析を通じて投資・提携、新規事業支援を行ってまいりました。
そこで今回は、研究テーマ・クラウドファンディングプロジェクトを、それぞれ研究フェーズ・製品化フェーズのアイデアと捉え、「環境適応型農業」におけるイノベーションの動向を分析、その結果をご紹介します。
(※1)アスタミューゼ推計
(※2)「環境適応型農業」の主な技術要素は表1参照
今回調査対象としたのはアスタミューゼが保有する世界最大級の研究テーマ・クラウドファンディング(CF)データベースです。(※3)(※4)
グラフの件数推移を見ると、研究テーマ数はほぼ横ばい状態の中で、クラウドファンディングのプロジェクト件数が急増、直近の5年間で約14倍の伸びを見せていることから、この分野におけるイノベーションが研究フェーズから製品化フェーズに移行しつつあることが読み取れます。
環境適応型農業におけるイノベーションを模索する大企業にとっては、研究テーマだけではなく、クラウドファンディングの製品アイデアからも事業化を検討する好機といえるでしょう。
(※3)研究テーマの年次は研究開始年準拠。NSF(米)・NIH(米)・DGF(独)・KAKEN(日)の競争的研究資金プロジェクトとして採択された研究テーマが対象。
(※4)クラウドファンディングの年次はプロジェクト終了年準拠。
クラウドファンディングで注目されるプロジェクトとしては、日本の農業ベンチャー、SenSprout社があります。同社はプリンテッド・エレクトロニクス技術により土壌中の水分をセンシング・最適化することで世界の水資源を有効活用するというプロジェクトを掲げ、Indiegogo上で2015年までに約2000万円を集めました。
海外のクラウドファンディングプロジェクトでは、カリフォルニア拠点のベンチャーであるEdyn社がスマート・ガーデニングシステムに対し、Kickstarter上で2014年までに約4500万円を集めました。これは土壌センサが取得したデータをスマートフォンで監視でき、かつそれと連携した給水ガジェットにより適切な給水を行うことができるというものです。
また、2013年には農業分野のテクノロジーやベンチャー企業に特化したクラウドファンディングプラットフォーム、『AgFunder』が開設され、これまでに16社が総額約39億円を調達しています。
研究テーマで注目されるのは、東京農工大学の萩原勲教授らによる「ブルーベリーの秋季開花・結実誘導条件の解明とオフシーズン連続生産法の開発」(2012年)で、この研究成果により「ブルーベリーの生産方法、及び該方法により得られる連続開花性ブルーベリー(特許5717111)」が特許化されています。このシステムはポット栽培のブルーベリーのライフサイクルを倍速することで収量の増加を図るというもので、太陽光・人工光併用型果樹工場に春夏秋冬の気候を再現した部屋を設け、ポットを回転式コンベアに載せてそれぞれの部屋間を移動させるという、人工的な「四季の創出」ともいえるものです。
また、海外の研究テーマでは、ドイツ・ボン大学教授Dr. Dorothea Bartelsらによる研究テーマ「水利用効率と干ばつストレス耐性:Water use efficiency and drought stress responses: From Arabidopsis to Barley」(2015年)は、遺伝子の干ばつ耐性に寄与するメカニズムを、大麦とシロイヌナズナを組み合わせて解析するというものがあります。
世界中の課題を解決し、未来を創るプラットフォーム『astamuse.com』 を提供すると共に、法人向けサービスとして、自社の課題を解決するためのイノベーションに関わるコンサルティングサービスを展開しています。
・代表者:代表取締役 永井 歩
・設立:2005 年 9 月
・所在地:東京都中央区築地四丁目1番1号 東劇ビル7階
・URL: http://www.astamuse.co.jp/
【投資/提携・新規事業支援、データ提供に関するお問合せ】
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また、日本の大企業でも東レとニットメーカーのミツカワが土壌の代わりとなる筒状の繊維「ロールプランター」を用いて南アフリカで砂漠の農地転換に成功し、パナソニックと京都大学が「水をはじく砂」による砂漠農業の実現と海外展開を目指すなど、地理的条件に限定されない農業ビジネスを創出しようとする動きが起こりつつあります。
このように、自然条件や気候変動に適応、あるいは人工的に自然条件を創出する技術を適用した「環境適応型農業」のグローバル市場規模は2015年で20億ドル、2025年時点で80億ドルと見込まれています。(※1)(※2)
日本では大企業が先頭に立つ形で海外での実証実験などが行われつつある環境適応型農業ですが、国内外の大学・研究機関やベンチャー企業、クラウドファンディングなども巻き込んだイノベーション・エコシステムの構築に関しては未だ模索段階にあります。
アスタミューゼ株式会社(以下、アスタミューゼ)は、自社で保有する世界中の技術・特許・研究テーマ・製品情報とそれに関わるプレイヤー(企業・大学/研究機関)に対する投資データの分析を通じて投資・提携、新規事業支援を行ってまいりました。
そこで今回は、研究テーマ・クラウドファンディングプロジェクトを、それぞれ研究フェーズ・製品化フェーズのアイデアと捉え、「環境適応型農業」におけるイノベーションの動向を分析、その結果をご紹介します。
(※1)アスタミューゼ推計
(※2)「環境適応型農業」の主な技術要素は表1参照
- 研究テーマ数が横ばいの中、クラウドファンディング件数が急増
今回調査対象としたのはアスタミューゼが保有する世界最大級の研究テーマ・クラウドファンディング(CF)データベースです。(※3)(※4)
(※)2014-2015年に関しては、データ取得元DBの整備状況により、集計外となっている場合があります。
グラフの件数推移を見ると、研究テーマ数はほぼ横ばい状態の中で、クラウドファンディングのプロジェクト件数が急増、直近の5年間で約14倍の伸びを見せていることから、この分野におけるイノベーションが研究フェーズから製品化フェーズに移行しつつあることが読み取れます。
環境適応型農業におけるイノベーションを模索する大企業にとっては、研究テーマだけではなく、クラウドファンディングの製品アイデアからも事業化を検討する好機といえるでしょう。
(※3)研究テーマの年次は研究開始年準拠。NSF(米)・NIH(米)・DGF(独)・KAKEN(日)の競争的研究資金プロジェクトとして採択された研究テーマが対象。
(※4)クラウドファンディングの年次はプロジェクト終了年準拠。
- 「水資源の最適化」「四季の創出」「環境適応型作物」など注目の技術も
クラウドファンディングで注目されるプロジェクトとしては、日本の農業ベンチャー、SenSprout社があります。同社はプリンテッド・エレクトロニクス技術により土壌中の水分をセンシング・最適化することで世界の水資源を有効活用するというプロジェクトを掲げ、Indiegogo上で2015年までに約2000万円を集めました。
海外のクラウドファンディングプロジェクトでは、カリフォルニア拠点のベンチャーであるEdyn社がスマート・ガーデニングシステムに対し、Kickstarter上で2014年までに約4500万円を集めました。これは土壌センサが取得したデータをスマートフォンで監視でき、かつそれと連携した給水ガジェットにより適切な給水を行うことができるというものです。
また、2013年には農業分野のテクノロジーやベンチャー企業に特化したクラウドファンディングプラットフォーム、『AgFunder』が開設され、これまでに16社が総額約39億円を調達しています。
研究テーマで注目されるのは、東京農工大学の萩原勲教授らによる「ブルーベリーの秋季開花・結実誘導条件の解明とオフシーズン連続生産法の開発」(2012年)で、この研究成果により「ブルーベリーの生産方法、及び該方法により得られる連続開花性ブルーベリー(特許5717111)」が特許化されています。このシステムはポット栽培のブルーベリーのライフサイクルを倍速することで収量の増加を図るというもので、太陽光・人工光併用型果樹工場に春夏秋冬の気候を再現した部屋を設け、ポットを回転式コンベアに載せてそれぞれの部屋間を移動させるという、人工的な「四季の創出」ともいえるものです。
また、海外の研究テーマでは、ドイツ・ボン大学教授Dr. Dorothea Bartelsらによる研究テーマ「水利用効率と干ばつストレス耐性:Water use efficiency and drought stress responses: From Arabidopsis to Barley」(2015年)は、遺伝子の干ばつ耐性に寄与するメカニズムを、大麦とシロイヌナズナを組み合わせて解析するというものがあります。
表1:環境適応型農業の主な技術要素
環境適応型農業 | 点滴灌漑、液肥混入システム、温度環境コントローラー、地中灌漑、 水ストレス計測装置、湿潤域モニタ装置、自動潅水装置、水耕栽培、 フィルム農法、品種改良技術、リスクマネジメント、 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)、ガスの排出削減、項温帯性品種、 栽培方法の改良等の適応策、気候予測モデル、植物の生育・環境応答、 予測モデル、環境適応型植物設計システム、気象予測、情報提供システム、 生産性向上システム |
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