嘉悦大学 経営経済学部 榎澤祐一准教授の研究論文が国際学術誌 Voluntary Sector Review に掲載
—「寄付の意味は後から生まれる」ふるさと納税を対象に新たな心理メカニズムを提示 —
嘉悦大学(東京都小平市/学長:真田幸光)経営経済学部の榎澤祐一准教授の研究論文が、イギリスの学術出版社 Policy Press(ブリストル大学出版局《Bristol University Press》傘下)が刊行する、国際学術誌 「Voluntary Sector Review」に掲載されました。本誌は、ボランティア活動、非営利組織、寄付、社会貢献活動、市民による公益的な活動などを扱う査読付き学術誌です。ヨーロッパで発展してきた公益活動研究の国際的な議論を背景に、学術研究者に加え、政策や実務に携わる読者にも知見を届ける専門誌です。
■研究の背景と概要
本研究は、日本の「ふるさと納税」制度を対象に、寄付行動がどのように形成されるのかを再検討したものです。従来は、返礼品などのインセンティブが寄付を動機づけると考えられてきましたが、本研究はそれだけでは説明できない側面に着目しました。
具体的には、寄付後の経験を通じて、寄付者と対象(自治体や地域)との間に心理的な適合感が形成され、その結果として寄付の意味づけが再構成されるプロセスを明らかにしました。本研究ではこれを「事後フィット認知(Post-hoc fit perception)」と概念化しています。
この結果は、寄付が事前の合理的判断だけではなく、経験を通じて意味づけられる行動であることを示唆しています。つまり、寄付の評価や満足は、寄付の「後」の体験やコミュニケーションによって形成される可能性があることを示しています。
本研究の知見は、ブランドが十分に確立されていない地方自治体や非営利組織(NPO等)にとって、寄付募集のあり方を再考する視点を提供します。特に、寄付後の体験設計やコミュニケーションの重要性を示唆するものであり、従来のインセンティブ中心のアプローチを補完するものです。
本研究は、マーケティング研究と市民社会研究を架橋するものであり、公共分野における消費者行動研究の新たな展開を示すものです。
嘉悦大学では、今後も経営と公共分野を結びつける学際的かつ国際的な研究を推進し、地域社会や国際社会の発展に貢献してまいります。

【概要】
著者:榎澤 祐一(Yuichi Enosawa)(嘉悦大学 経営経済学部 准教授)
掲載誌:Voluntary Sector Review(Web of Science Core Collection収録)
出版社:Policy Press(Bristol University Press)
論文タイトル:Post-hoc Fit Perception Shifts in Japan’s Hometown Tax Donation Scheme
早期公開(2026年7月)
DOI:https://doi.org/10.1332/20408056Y2026D000000088
■榎澤祐一准教授プロフィール
嘉悦大学 経営経済学部 准教授 榎澤祐一
レコード会社に新卒入社後、映像ビジネスの経営管理や事業戦略業務に従事。また、ゲーム会社でアニメソングや声優の歌手活動を中心とした音楽事業に草創期から参画し、各種事業を立ち上げた。大学教員に転身後、博士号(経営管理)を取得し、マーケティングを中心とした教育・研究に取り組んでいる。日本マーケティング学会で学会賞(日本マーケティング学会 オーラルセッション2023 / ベストオーラルペーパー賞)受賞。
■嘉悦大学・大学院について
嘉悦大学の前身は、創立者である嘉悦孝により、1903年(明治36年)に日本初の女子を対象とした商業学校として設立された「私立女子商業学校」に遡ります。以来、120余年に渡り、嘉悦学園は時代に先駆けた実学教育を展開。日本初の女性公認会計士をはじめとする有為の人材を多数輩出してきた歴史ある大学です。
大学院は2010年に創設され、昨年15周年を迎えました。本大学院はビジネススクールとして、 「リスキリング(新技能習得)」「リスタート(再出発)」「リバイタライズ(地域再活性化)」の3つの「R」を掲げ、社会人のキャリアアップを多角的に支援しています 。「経営戦略」「公共政策」「基礎管理」の3つの領域で多彩な科目群を設置し、講義形式による『理論知』と、企業経営者による現場のライブケースを題材としたケースメソッドを取り入れた『実践知』を融合させるカリキュラムを展開。不確実な時代を勝ち抜くための思考力、課題解決能力、戦略的思考力を養うとともに、ビジネス現場で直面する課題解決のための実践知を修得します。
修士修了後には博士後期課程進学も視野に入れた研究プログラムに加え、より広い層に学んでいただける実践プログラムも設置し、MBA取得を目指せるビジネススクールとして社会人の学びをサポートしています。
本学大学院の講師陣には、地域経済や国際金融に深い知見を持つ真田幸光教授をはじめ、金融庁、金融機関、監査法人、ベンチャーキャピタル等での豊富な実務経験のある冨田尚子教授、元財務官僚で各種メディアでも活躍されている高橋洋一教授、大手広告会社での長年のキャリアを持つ國田圭作教授など、各分野の第一線で活躍してきた教授たちが、理論と実務を結びつけた実践的な知識を提供します。
また、国税庁からの出向教員らによる税理士試験科目免除に対応した論文指導で高度な専門知識が修得でき、税務・会計のスペシャリストとしての道を拓きます。

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