京都フュージョニアリング、シリーズCラウンド(エクステンション)を終了し、デットファイナンス(融資枠を含む)との合計93.8億円の資金を確保

フュージョンエネルギープラントのエンジニアリングを手掛ける京都フュージョニアリング株式会社は、新たに京セラベンチャー・イノベーションファンド1号(KVIF-I投資事業有限責任組合 無限責任組合員 グローバル・ブレイン株式会社)、株式会社JERA、三井住友信託銀行株式会社を含む計4者を引受先として総額14.5億円のエクイティファイナンスを実施し、三井不動産およびグローバル・ブレインが共同で運営する31VENTURESをリード投資家として実施したシリーズCラウンド(エクステンション)を、過去2回※1を含め総額40.8億円で終了したことをお知らせします。

また、株式会社日本政策金融公庫、株式会社国際協力銀行(JBIC)、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行、株式会社京都銀行からのデットファイナンス(融資枠を含む)による総額53億円の資金調達を行いました。これにより、シリーズCラウンド(エクステンション)総額とデットファイナンス(融資枠を含む)をあわせ、合計93.8億円の資金を確保しました。

なお、今回の資金調達により、当社のエクイティファイナンスでの累計資金調達額は162.6億円となりました。

■フュージョンエネルギー開発の動向

引き続き、フュージョンエネルギーの実現に向けた動向は著しく変化しています。日本国内では、2023年4月に初の国家戦略「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」が制定され、今年6月の改訂で、フュージョンエネルギーによる発電実証を2030年代に実現することが明記されました。昨年11月に当社がプロジェクトリーダーとして始動した「FAST」プロジェクトはこの戦略に応えるもので、民間が主導し、産学連携で2030年代の発電実証を目指しています。

また、自民党のフュージョンエネルギープロジェクトチームが民間支援を国家戦略に向けた提言に盛り込むなど、民間の技術開発を後押しする動きが活発になってきています。

加えて、今後具体的な施設の建設や実証試験が控えていることを踏まえ、安全確保の基本的な考え方が取りまとめられて国家戦略にも盛り込まれました。また規制庁との意見交換会合が開催され、規制についての議論も加速しています。

さらに世界では、アメリカ、イギリス、中国が2030年~40年代をターゲットに、それぞれ自国での発電実証に向けた開発スピードを加速しており、特に中国は政府主導のもと、急速に開発を進行しています。

■京都フュージョニアリングの取り組み

当社は現在、これまでの技術開発とその成果を販売して世界のフュージョン開発に貢献するとともに、技術の統合を加速させ、フュージョンエネルギーの実証試験を経て社会実装を目指す事業フェーズを迎えています。

核融合反応で発生するエネルギーを利活用するための「フュージョン熱サイクルシステム」を実証する「UNITY-1」は、液体金属ループを用いた発電技術の実証の最終段階にあり、世界に先駆けた“模擬プラントでの発電技術の実証”の成功に向けて着実に進捗しています※2。

また、燃料を絶えず供給するための「フュージョン燃料サイクルシステム」は、今年1月に開設した本社併設の研究開発拠点において個々の装置・システムの性能試験を進めています。2026年には当社とカナダ原子力研究所とのジョイントベンチャー「Fusion Fuel Cycles Inc.」が主体となり、それらの装置・システムを統合した「UNITY-2」で、世界唯一である燃料循環システム統合実証をカナダで開始します。

さらに、昨年11月には当社が参画する日本での民間主導のフュージョンエネルギー発電実証プロジェクト「FAST」が始動しました。核融合反応(D-T※3)による燃焼プラズマの生成・維持を行うとともに、エネルギー変換、燃料システムを一体化したフュージョンエネルギー発電システムを実証することで、商業化に向けて発電実証や技術的課題の解決を目指しています。現在はStarlight Engine株式会社が事業主体として概念設計や立地選定などを推進しており、国内の主要大学と共同研究を開始し産学連携を強化しながら、2030年代の発電実証とそれに続くフュージョンエネルギーの実用化に向けて取り組んでいます。FASTは、これまで当社が取り組んできたサブシステムの研究開発から1段階進んだフュージョンプラントの総合的な試験施設であり、事業規模はこれまでの10倍程度となることを想定しています。

加えて、プラズマ加熱システム「ジャイロトロンシステム」は、新たに英国のTokamak Energy社に採用されたほか※4、これまでにアメリカ、イギリス、ドイツ、チェコなどの公的プロジェクトで採用されています。また、1基のジャイロトロンで5つの周波数の電磁波出力を世界で初めて実証するなど※5、ビジネスと技術開発の両輪で事業を推進しています。今後も各国の研究機関や民間企業との連携を深化しながら、世界市場での存在感を高めていきます。

■資金調達の概要

エクイティファイナンス

デットファイナンス

調達額

14.5億円

・シリーズC(エクステンション)総額:40.8億円

・累計資金調達額:162.6億円

53億円(融資枠を含む)

引受先

・京セラベンチャー・イノベーションファンド1号

(KVIF-I投資事業有限責任組合 無限責任組合員 グローバル・ブレイン株式会社)

・株式会社JERA

・三井住友信託銀行株式会社

※ほか1者

※五十音順で掲載

・株式会社日本政策金融公庫

・株式会社国際協力銀行(JBIC)

・株式会社三菱UFJ銀行

・株式会社三井住友銀行

・株式会社京都銀行

調達目的

・UNITY-1, UNITY-2をはじめとする技術開発投資の加速と大型化

・FASTプロジェクトの推進

・グローバル事業の推進および採用活動

・大型案件受注・事業拡大に伴う運転資金の確保

・設備投資および運転資金の確保

・Fusion Fuel Cycles Inc.への融資

■共同創業者 兼 代表取締役社長 兼 チーフフュージョニア 小西哲之からのコメント

フュージョンエネルギーの早期実現に取り組む当社事業を新たにご支援・ご協力いただく皆様に、厚く御礼申し上げます。

国家戦略で2030年代の発電実証が明確に掲げられた今、当社が持つ知見やネットワークを最大限活用し、いよいよフュージョンエネルギーの実現に向けてギアを上げる段階となりました。技術の面では、フュージョンプラントに不可欠なシステムの統合試験を成功させることに注力し、ビジネスの面では世界中の研究機関や民間企業に対してプレゼンスを高め、パートナーとなり貢献するべく、全社一丸となり取り組んでまいります。

一方、一民間のスタートアップ企業だけでは立ち行かない困難に直面することも容易に想像できますので、投資家の皆様のご知見やネットワークにも頼らせていただきながら、一歩一歩着実にマイルストーンを達成しつつ、同時にスピード感を持って開発を加速させてまいります。

■エクイティファイナンス:各者からのコメント(五十音順)

京セラ株式会社

執行役員、研究開発本部長 仲川 彰一氏

フュージョンエネルギーの実現は、持続可能なエネルギーによって地球温暖化をはじめとする社会課題を解決する有効な手段の一つであり、人類社会の進歩・発展に大きく貢献すると考えております。京都フュージョニアリング様の技術は、フュージョンエネルギーを実際に利用可能なエネルギーへと転換するために不可欠なものであると認識しており、その実現に貢献すべく、今回、京セラベンチャー・イノベーションファンド1号を通して出資させていただきました。

弊社の材料技術も活かしながら、両社が力を合わせて連携し、夢の実現に向けて精力的に取り組んでまいります。

株式会社JERA

JERA Ventures代表兼Managing Partner 小玉 丈氏

JERAは「JERAゼロエミッション2050」の実現に向け、当社CVCであるJERA Venturesを通じて次世代の脱炭素技術の探索に取り組んでいます。フュージョンエネルギーはCO₂を排出せず、無尽蔵なエネルギーであることから将来有望なエネルギー源の一つと捉えており、当社は京都フュージョニアリングのフュージョンエネルギー産業化への挑戦に共感しています。

今回の出資を契機に、フュージョンエネルギー発電の社会実装に向けた協業の具体的検討を推進しながら、エネルギーの安定供給および脱炭素社会の実現に向けて、ともに歩んでまいります。

三井住友信託銀行株式会社

常務執行役員 坂上 雄彦氏

”核融合の産業化”というビジョン、日本がエネルギーの輸出国になるという壮大な夢に挑み、「究極のクリーンエネルギー」実現に本気で取り組む京都フュージョニアリング。その挑戦に心から感動しています。世界トップレベルの技術力と日本のものづくり力を結集し、未来の発電インフラを世界に届ける、その志とビジョンは日本の希望であり、誇りです。

京都フュージョニアリングの皆さんの、夢を現実に変えていこうとする強い意志と技術力が、必ず未来を切り拓いていくと信じています。我々三井住友信託銀行は、皆さんを全力で応援していきます。

■デットファイナンス:各者からのコメント

株式会社日本政策金融公庫

京都支店 中小企業事業 事業統轄 浅井 康一郎氏

京都フュージョニアリング様は、技術力及び経営戦略等の点から業界において極めて重要な立ち位置を築かれており、国内サプライチェーンの構築や、数十兆円の市場規模が見込まれる一大産業の創出を担う企業として大きな期待がかかっています。持続可能でクリーンな未来を切り開く鍵を握るフュージョンエネルギーの実用化に向け、今回融資させていただいた「スタートアップ支援資金」が有意義に活用されることを期待しております。

株式会社国際協力銀行

産業ファイナンス部門・執行役員大阪支店長 丸山 具彦氏

当行はデットファイナンスにより、京都フュージョニアリング様のカナダ法人Fusion Fuel Cycles Inc.が実施する燃料サイクルの統合的な実証施設「UNITY-2」の建設・運転事業をご支援いたします。

日本政府が「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」、「第7次エネルギー基本計画」等において、フュージョンを次世代エネルギーとして位置づけ、スタートアップを含めた官民の研究開発力を強化する旨を示す中、UNITY-2は、日本のフュージョンに係る研究開発力強化の一翼を担う重要なプロジェクトです。

当行の支援により、本プロジェクトがフュージョン燃料サイクルシステムの研究開発を一段と加速させ、フュージョンエネルギーの実現に貢献するとともに、この分野で日本を代表するスタートアップである京都フュージョニアリング様が、グローバルにより一層ご活躍されることを期待しております。

株式会社三菱UFJ銀行

執行役員 京都支店長 小杉 裕司氏

京都フュージョニアリングはフュージョンエネルギーの早期産業化を目指す、業界をグローバルで牽引するスタートアップです。

本融資資金は、UNITY-2でのプラントテックの実証に活用され、核融合プラントにおける安全なトリチウムの取扱いを確立し、フュージョンエネルギーの実現を加速するものであると理解しております。

MUFGが選定した優先課題である「カーボンニュートラル社会の実現」「産業育成・イノベーション支援」の実現を目指しMUFGグループとして引き続き同社の成長を支援して参ります。

株式会社三井住友銀行

成長事業開発部長 吉川 弘昭氏

核融合エネルギーは、カーボンニュートラル社会の実現に向け、地球環境に負荷をかけない次世代のクリーンエネルギーとして期待されており、核融合エネルギーの産業化に向けた壮大なチャレンジは、日本にとって重要な取組だと思います。SMBCグループは、「社会的価値の創造」を経営の柱のひとつに掲げ、社会的価値創造に資する産業の育成等に注力しております。これからも、様々な企業への支援を通じ、社会課題解決に向けたイノベーション創出に取り組んでまいります。

株式会社京都銀行

本店営業部 第一部長 岩田 和彦氏

京都フュージョニアリング株式会社様は、最先端のフュージョンエネルギー技術に挑戦し、「夢のエネルギー」実現に向け重要な役割を担っておられます。同社は、京都発のスタートアップ企業であり、今現在も京都等にて技術開発を行っておられます。当行は、同社の技術に大きな期待を寄せ、更なる成長を支援するため、このたび融資を実行いたします。今後とも京都に所縁を持つ企業として歩みに寄り添いながら、持続的な成長を支援してまいる所存です。

■既存投資家(五十音順)

  • In-Q-Tel(IQT)

  • 株式会社INPEX

  • SMBCベンチャーキャピタル株式会社

  • 株式会社MOL PLUS(商船三井CVC)

  • 京銀輝く未来応援ファンド3号forSDGs投資事業有限責任組合 無限責任組合員 京都キャピタルパートナーズ株式会社

  • 京都大学イノベーションキャピタル株式会社

  • 合同会社K4 Ventures(関西電力グループ)

  • Coral Capital

  • 31VENTURES -グローバル・ブレイン-グロースI合同会社(運営者:三井不動産株式会社/グローバル・ブレイン株式会社)

  • JICベンチャー・グロース・インベストメンツ株式会社

  • ジャパン・コインベスト4号投資事業有限責任組合 三井住友トラスト・インベストメント株式会社

  • ジャフコ グループ株式会社

  • 大和企業投資株式会社

  • DBJキャピタル株式会社

  • 電源開発株式会社(J-POWER)

  • ニチコン株式会社

  • 日揮みらい投資事業有限責任組合(運営者:グローバル・ブレイン株式会社)

  • 株式会社フジクラ

  • 丸紅株式会社

  • 三井物産株式会社

  • 三菱商事株式会社

  • 三菱UFJキャピタル株式会社

  • 株式会社三菱UFJ銀行

■京都フュージョニアリング株式会社について

当社は、京都大学をはじめ、日本で長年培われてきた核融合研究の成果に基づき2019年に設立された、フュージョンエネルギープラントのエンジニアリング企業です。

プラズマ周辺領域を構成する工学分野において高度な技術力を有しており、主にプラズマ加熱システム「ジャイロトロンシステム」や、核融合反応で発生するエネルギーを利活用する「フュージョン熱サイクルシステム」、燃料を絶えず供給する「フュージョン燃料サイクルシステム」を手掛けています。個々の技術を統合して実証試験を行う統合試験プラント「UNITY-1」、「UNITY-2」建設を進めており、フュージョンエネルギーの早期実現に向けて取り組んでいます。

ウェブサイト:https://kyotofusioneering.com/

※1:各発表をご参照ください。

シリーズCラウンド(エクステンション)で15.6億円の資金調達を実施(https://kyotofusioneering.com/news/2024/04/11/2251

シリーズCラウンド(エクステンション) 2nd closeで10.7億円の資金調達を実施(https://kyotofusioneering.com/news/2024/07/23/2531

※2:UNITY-1の試験では、核融合反応を起こさず、放射性物質も取り扱いません。

※3:重水素(Deuterium)と三重水素(トリチウム:Tritium)による核融合反応。

※4:ジャイロトロンシステムが英国トカマク・エナジーの「ST40」に採用(https://kyotofusioneering.com/news/2025/01/21/2814

※5:1基のジャイロトロンで5つの周波数の電磁波出力を世界で初めて実証(https://kyotofusioneering.com/news/2024/07/26/2538

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会社概要

URL
https://kyotofusioneering.com/
業種
電気・ガス業
本社所在地
東京都大田区平和島六丁目1番1号 東京流通センター 物流ビルA棟 AW1-S
電話番号
03-4530-3706
代表者名
小西 哲之
上場
未上場
資本金
1億円
設立
2019年10月