チェーンストアの売場は、なぜ「均一」と「変化」を同時に求められるのか
─ 多店舗運営における売場運用の構造的課題 ─
株式会社平和マネキン(本社:大分県別府市、代表取締役:末次広憲)は、チェーンストアにおける売場運用のあり方について、多店舗展開という構造を前提に、当社の事業領域である売場運用支援の中で、顧客の売場運用や意思決定に活かされることを目的として、考え方の整理と体系化を行っています。
VMDやPOPUPは、百貨店を含む多くの業態ですでに行われている手法です。一方で、チェーンストアにおいては、全国多店舗で同時に成立させること、均一な品質で再現し続けること、スピードと運用効率を両立させることが求められます。
本稿では、こうした前提の違いを踏まえながら、チェーンストアにおけるVMD/POPUPを「表現」ではなく「運用構造」の観点から整理します。
■ VMD/POPUPは、どの業態でも行われている手法である
VMDやPOPUPは、百貨店をはじめ、さまざまな小売業態で活用されてきた手法である。
百貨店においては、象徴性や世界観、体験価値といった「その場で表現を成立させること」が重視され、一つひとつの売場が持つ個性や文脈が尊重されてきた。
一方で、同じVMD/POPUPという手法であっても、チェーンストアでは、まったく異なる前提条件のもとで運用されている。
■ チェーンストアにおける売場運用の前提条件
チェーンストアの売場運用は、単店運営とは異なる前提条件のもとで成り立っています。全国規模を含む多店舗展開においては、売場の再現性や運営効率が重要な要素となります。
・「全国チェーン」ではなく「多店舗チェーン」という構造
・チェーンであること自体が競争力となる理由
■ なぜ「均一な売場運用」が不可欠なのか
チェーンストアの多くは、日常的に利用されることを前提とした業態であり、運営効率や再現性の高さが競争力に直結します。そのため、売場運用においても、一定の均一性を保つことが重要な前提条件となります。
・効率性と再現性を支える均一オペレーション
・本部主導の運営がもたらすメリット
■ 均一すぎる売場が抱える課題
一方で、均一性を重視しすぎた売場では、買い物体験が単調になり、必要なものを効率よく購入する「義務」や「作業」に近づいてしまうことがあります。
その結果、売場における遊びや発見、立ち止まるきっかけといった要素が弱まり、来店そのものの魅力が感じにくくなる場合があります。
・買い物が「義務化・作業化」してしまう構造
・売場の魅力が伝わりにくくなる理由
■ チェーンストアにおける「部分的な変化」という考え方
チェーンストアの売場では、すべてを変える必要はありません。全体は均一に保ちながら、重点となるポイントに変化を持たせることが求められます。
こうした部分的な変化は、プライベートブランドや重点商品など、伝えたい価値を持つ商品を売場の中で印象づけるうえでも重要な役割を果たします。
・全体均一 × 部分最適という設計
・低負荷で回し続けるための条件
■ 売場づくりが「プロジェクト化」してしまう構造的問題
本来、売場の更新は日常的に繰り返される業務であるはずです。しかし現実には、毎回が特別対応となり、現場への負荷が高まるケースも少なくありません。
・属人化が進みやすい理由
・本部と現場のズレが生まれる構造
■ チェーンストアの売場運用に求められる視点
チェーンストアにおいて、「均一」と「変化」は対立する概念ではありません。設計次第で両立可能な要素であり、課題は意思ではなく構造にあります。
■ 売場運用を構造として捉えるということ
平和マネキンは、売場を一度きりの制作物としてではなく、変化を前提とした運用対象として捉えています。業態や規模を超えて売場を見てきた立場から、売場運用の構造を整理し、顧客の現場で活かされる形に落とし込むことを事業の一環として行っています。
