途上国で磨いた“解決力”で社会課題に取り組む 第4回 JICA海外協力隊 帰国隊員社会還元表彰式を開催
~大賞はウガンダの水設備管理に取り組む坪井彩さんに決定~
独立行政法人国際協力機構(JICA)は、2026年6月8日(月)、JICA本部にて「第4回 JICA海外協力隊 帰国隊員社会還元表彰」の大賞決定イベント・表彰式を開催しました。本表彰は、JICA海外協力隊として派遣国で培った知見や経験を、帰国後に国内外の社会課題解決へとつなげている方々の取り組みに光を当てるものです。
第4回となる今回は、国内外・公私を問わず、社会課題の解決に取り組む6名の海外協力隊経験者が入賞。当日は入賞者が、それぞれの活動内容についてプレゼンを行いました。審査の結果、大賞は福井県出身の坪井彩さんに授与されました。

坪井さんはウガンダでの海外協力隊経験を生かし、日本のモノづくりのノウハウと、ウガンダ人技術者のアイディアを組み合わせた井戸のプリペイド式料金回収システムを開発しました。これまでに、ウガンダ国内に合計300基以上導入し、約10万人の住民が安全な水にアクセスできる体制を実現しています。水という開発途上国において最も重要とも言える課題に対し、現地の視点で取り組み、インパクトを生み出している点が評価され、大賞を受賞されました。
JICA海外協力隊は2025年に60周年を迎え、これまでに累計5万8千人を超える隊員を99ヵ国に派遣してきました。派遣国で培われた創造力、実行力、そして社会貢献意識は、帰国後も国内外のさまざまな社会課題解決に活かされています。本表彰を通じて、JICA海外協力隊での経験を一過性の国際協力の経験にとどめず、社会を変える実践知として可視化し、協力隊経験者による社会還元の機運をさらに高めることを目指します。

大賞の坪井さんを含む6名の入賞者によるプレゼンテーションでは、マラウイでの農民の収入創出支援や、三重県での動物園再生、愛知県での外国につながる子どもたちへの支援、千葉県でのSDGs教育など、国内外の多様な社会課題に向き合う取り組みが紹介されました。
活動分野やアプローチは異なるものの、いずれの発表からも、海外協力隊経験を通じて培われた「現場で課題を捉える力」「限られた環境の中で仕組みをつくる力」「多様な関係者と協働する力」が、帰国後の実践に活かされていることが示されました。途上国で磨かれた“解決力”が、地域や国境を越えて社会課題の解決につながっていることを感じさせる発表となりました。
審査委員長である宮崎桂JICA副理事長からは、「それぞれ現地で気づいたことをもとに、社会課題に取り組んでいることに感銘を受けた」とコメントがあり、大賞を受賞した坪井さんの活動については、「井戸のプリペイド式料金回収システムは、日本で作ってしまったほうが手っ取り早い可能性もある。しかし坪井さんは、現地(ウガンダ)のエンジニア2名とともに起業した。現地で開発したものを、現地の人に使ってもらうことが、“自分たちのものだから大事につかおう”という想いにつながっているのではないか」と高く評価しました。
また、田中明彦JICA理事長は、「世界を見渡すと困難な時代だからこそ、人と人とのつながりを通じた課題解決、人材育成への貢献は、国内外でますます期待されていると実感しました」と、人を結びつける役割と、社会課題解決への大きな推進力となっている点について言及しました。
式典後には、会場参加者を対象としたネットワーキングイベントを実施。受賞者、協力隊経験者、企業・団体、関係機関、報道関係者などが参加し、社会還元活動のさらなる広がりや今後の共創の可能性について活発な交流が行われました。
改めまして、本表彰の実施にあたり、ご応募いただいた協力隊経験者の皆さま、多方面からご支援いただいた関係者の皆さまに深く感謝申し上げます。
■大賞 坪井彩さん 受賞コメント
JICA海外協力隊に参加したことが、私の人生をすっかり変えました。水の管理維持の問題について、現場に行ったからこそ、なぜそういうことが起こっているのかを現地の目線で知ることができました。そして、現地の人たちと一緒に解決方法をじっくり考えることができたのは、海外協力隊だからこそできたことです。現地でのオペレーション、相手国との折衝、現地に合ったモノづくりなど、さまざまな課題を乗り越え、自信をもって展開できるプロダクトができました。今後も皆様によい報告ができるように、引き続き頑張っていきます。

■各賞の受賞者詳細
アントレプレナーシップ賞


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氏名 |
ムスクワ 野原(2016年度3次隊、マラウイ、コミュニティ開発) |
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活動拠点 |
マラウイ |
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所属 |
PENJANI Malawi代表 |
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出身 |
長野県 |
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取組名称 |
完全メイドインマラウイによる農民収入創出と地域経済循環モデル |
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活動概要 |
◇伝統布“チテンジ”でつなぐ、農家の新しい収入源 JICA海外協力隊の活動中に、農家の農閑期の生計向上を目指しPENJANI Malawiを設立。帰国後現地に再渡航し、現在まで約8年間にわたり「マラウイ人による、マラウイ国内製造を通じた地域経済循環」を基本理念とし、現地産の伝統布(チテンジ)を活用した布小物の製作・販売を行っている。マラウイ北部ムジンバ県ムズズを中心に、地域に既に存在する素材や技術を活かし、材料調達から製造、販売までをマラウイ国内で完結。現在は約50世帯の農家が製作者として参加し、作業時間と難易度に合わせた報酬体系を導入。農業収入に偏らない安定的な現金収入確保にビジネスを通じて貢献している。 |
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関係リンク |
地域活性化賞


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氏名 |
髙橋 文彦(2012年度9次隊、ウガンダ共和国、動物学) |
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活動拠点 |
三重県 |
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所属 |
株式会社ウェバレッジ 代表取締役 |
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出身 |
神奈川県 |
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取組名称 |
過疎化が進む地域での小さな動物園の挑戦 |
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活動概要 |
◇存続危機の動物園を再生、地域と命を支える共生拠点へ 「ワンヘルス」の理念のもと、人・動物・生態系が健康で適正なバランスで支え合う持続可能な社会を目指し、動物園の管理運営事業を中心に、自治体や学校・地元企業と連携した教育・普及活動を展開。2024年には三重県多気町で存続危機にあった動物園を地域の声を受けて改修し「ごかつら池どうぶつパーク」としてリニューアルオープン。来園者を倍増させ、2025年には県内初の日本動物園水族館協会 (JAZA)加盟を実現した。2026年にはJICA海外協力隊連携派遣制度によって自社からウガンダに協力隊員を派遣予定。国内外における野生動物の保全と動物園の体制強化も推進している。 |
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関連リンク |
多文化共生賞


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氏名 |
越智 さや香(2005年度0次隊、ブラジル、日系日本語学校教師) |
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活動拠点 |
愛知県 |
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所属 |
特定非営利活動法人 みらい 代表 |
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出身 |
岐阜県 |
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取組名称 |
外国につながる子どもの成長・子育てを支える地域に根付いた多文化共生の実践 |
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活動概要 |
◇地域とともにつくる、多文化共生の子育て環境 ブラジルの活動で学んだ「人とのつながりの大切さ」を原点に、外国人人口の割合が高い愛知県知立市において外国につながる子どもたちの健全な育成と、保護者が安心して子育てできる環境の発展に寄与することを目的に2009年から取組を開始。2014 年には特定非営利活動法人みらいへと法人化し、外国につながる児童生徒への学習支援教室や多文化子育てサロン、日本語教育体制整備支援を、地域や行政、大学等と連携しながら実施してきた。また、有識者として市の関連事業や学校運営協議会の委員等を務めるほか、愛知県や他団体が主催する説明会や研修会において事業報告等を行い、自身が現場で培った知見を発信している。 |
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関連リンク |
多文化共生賞


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氏名 |
川上 貴美恵(2005年度0次隊、ブラジル、日系日本語学校教師) |
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活動拠点 |
愛知県 |
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所属 |
多文化ルームKIBOU コーディネーター(社会福祉法人せんねん村 多文化共生教育コーディネーター) |
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出身 |
愛知県 |
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取組名称 |
愛知県西尾市にて多文化共生教育を実践 |
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活動概要 |
◇不就学ゼロを目指す、外国につながる子どもたちの支援 JICA海外協力隊参加後、2008 年より現在に至るまで外国につながる子どもたちを支援。現在は、立上げから関与し責任者を務める愛知県西尾市の多文化ルーム KIBOUで、子どもたちの不就学ゼロ(SDGs4)を目指しスタッフとともに活動。多様な文化的背景をもつ子どもたちの学びに必要な環境を提供すべく、地域の関係者とつながり支援の幅を広げている。専門性を活かし、学会での研究発表や語彙調査の実践、愛知県のプレスクール実施マニュアル策定への参画、公的機関主催の会議や研修で事例報告や講義を担当し、地域・行政・教育機関をつなぐ実践者として高い信頼を獲得している。 |
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関連リンク |
開発協力実践賞


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氏名 |
坪井 彩(2017度3次隊、ウガンダ共和国、コミュニティ開発) |
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活動拠点 |
ウガンダ |
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所属 |
株式会社 Sunda Technology Global CEO |
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出身 |
福井県 |
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取組名称 |
アフリカ×日本の協働による持続可能な水設備管理の実現 |
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活動概要 |
◇約10万人に安全な水を提供する、持続可能な井戸運営モデル JICA海外協力隊の活動中、ウガンダの井戸が維持管理体制の欠如により機能停止し、水へのアクセスが不安定になっている現状に直面。帰国後、持続可能な水インフラを維持・運営する体制構築を目標に2020年に株式会社 Sunda Technology Globalを創業。日本のモノづくりのノウハウとウガンダ人技術者のアイディアを組合わせ井戸のプリペイド式料金回収システムを開発した。これまでにウガンダ国内の複数地域で当該システムを合計 300 基以上導入し、約 10万人の住民が安全な水に安定的にアクセスできる体制を実現。協力隊で学んだ、課題分析、合意形成、実装を現地主体で進める姿勢を活かし、持続性を確保しながら事業を拡大している。 |
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関連リンク |
審査員特別賞


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氏名 |
田仲 永和(2017年度1次隊、マラウイ、小学校教育) |
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活動拠点 |
千葉県 |
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所属 |
(応募時)君津市教育センター 主査(指導主事) |
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出身 |
千葉県 |
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取組名称 |
きみつSDGs教育の推進 (国際理解、環境・地域課題、つながる山・川・海) |
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活動概要 |
◇日本の教室と世界をつなぐ、SDGs教育の実践モデル 現職教員特別参加制度を活用しJICA海外協力隊に参加。帰国後、国際理解教育と地域・環境教育を2本柱とする「きみつSDGs教育推進事業」を君津市教育センターの事業として立ち上げ、持続可能な社会の創り手育成に貢献している。国際理解の取組では、マラウイで活動中の隊員や隊員経験者・国連機関の駐在職員等を招き講演を開催し、2021年度~2025年度で君津市内外の延べ1500名を超える生徒が世界と繋がる機会をサポート。地域・環境教育の取組では探究学習用の副読本「探究百科きみペディア」の作成を主導し、きみつSDGs教育の取組と共に2025年度グッドデザイン賞等を受賞した。 |
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関連リンク |
■独立行政法人国際協力機構(JICA)について
JICAは、開発途上国が直面する課題を解決するため、技術協力、有償資金協力、無償資金協力など日本の政府開発援助(ODA)を担う二国間援助の実施機関で、150以上の国と地域で事業を展開しています。 国際社会の課題は日本とも密接に関係しています。国内外のパートナーと協力してそれらの解決に取り組み、世界の平和と繁栄、日本社会の更なる発展に貢献します。
詳しくはhttps://www.jica.go.jp/index.htmlをご覧ください。
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