海外経験ゼロの老舗箪笥店 販路構築後4年で海外シェアが7割に!パートナー企業の海外販路開拓セミナーレポートを公開!
~OMOTENASHI Selection 2022年度第1期のエントリーは2/22まで~
おもてなしセレクションでは、去る2022年2月4日(金)におもてなしセレクションパートナー企業である株式会社門間箪笥店様をお迎えし、「老舗箪笥店から学ぶ海外販路開拓のすすめ」と題したオンラインセミナーを開催しました。
中国、香港のマーケットの概況と海外販路に挑戦する意義、"海外初進出から売上シェア7割を占めるまでの成長に至った軌跡"について、実例を交えながらお話をいただきました。その一部をセミナーレポートとして公開します。
中国、香港のマーケットの概況と海外販路に挑戦する意義、"海外初進出から売上シェア7割を占めるまでの成長に至った軌跡"について、実例を交えながらお話をいただきました。その一部をセミナーレポートとして公開します。
■OMOTENASHI Selection(おもてなしセレクション)とは
おもてなしセレクションは、日本の優れた“おもてなし心”あふれる商品・サービスを発掘し、世界に広めることを目的に、2015年に創設されたアワードです。認定に際しては、日本在住の外国人有識者による現物審査を実施しています。「世界に発信したい“日本ならでは”の魅力にあふれている」と認められた対象を、おもてなしセレクション受賞商品・サービスとして認定しています。
https://omotenashinippon.jp/selection/
■登壇者紹介
門間 一泰 氏(株式会社門間箪笥店 代表取締役)
7代・約150年続いている仙台で唯一の箪笥店「門間箪笥店」代表。
宮城県仙台市生まれ。2001年 早稲田大学商学部卒後、株式会社リクルート入社。2011年 株式会社門間箪笥店入社。2018年 代表取締役に就任。
株式会社門間箪笥店は、2021年よりOMOTENASHI Selectionのパートナー企業として参画いただいています。
■オンラインセミナー|
第1部:門間箪笥店について
― 6%
皆さん、この数字がなんだかお分かりになりますか?この数字、実は2021年の世界のGDPの中における日本のGDPの割合になります。日本のGDPは世界でみるとたったの6%しかありません。しかも経済成長率は、日本では-4.5%です。アメリカも経済成長率はマイナスではあるものの日本ほどその幅は小さくありません。中国は、なんとこのコロナの状況下でもプラス成長しています。つまり、世界全体で見ると日本のGDPは6%ではなく、経済成長率も踏まえると、5%かそれ以下になります。つまりは、日本でしか商売をしない、つまり海外を見ないで商売をするということは、結果的には世界の95%以上のマーケットを捨ててしまっているのと同じ状況なのです。そういった点を頭に入れながら、聞いていただければと思います。
―自己紹介
当社は、門間箪笥店と申しまして、宮城県の仙台にある会社です。創業は1872年で、今年で150周年を迎える会社になります。業種としましては、国内での仙台箪笥といった伝統工芸品、並びに家具の製造販売、そして海外での仙台箪笥、そして家具、工芸品などの販売を行っています。従業員は15名ほどの小さな会社です。しかも、そのうちの15人中の9人が外国人です。外国人の方が多いという、小さなグローバルカンパニーです。店舗はですね、仙台に小規模なお店が2店舗、そして香港に百貨店内の店舗と路面店が各1店舗、そして上海に期間限定ではありますけれども、1店舗あって計5店舗になっております。
第2部:なぜ海外だったのか
では、なぜ海外だったのか、そして中国および香港マーケットの概況に関しても触れていきます。
GDPですが、現状日本は3位です。ところが10年後には、インドに抜かれて4位になってしまいます。さらに、今から30年後2050年には、日本は8位になってしまうというのです。上位には、ブラジルやロシア、いわゆるブリックスと言われるような人口の多い国が入っていきます。少子高齢人口減少が続く日本が上位を維持するっていうのは、物理的に考えて不可能です。ですので、やはり海外を見ていかないことには、2050年では1%かそれ以下になっている可能性すらありえると思います。ですので、そういった強い危機感を持ちながら、マーケットをちゃんと見るというのは大切かなと考えて私は海外の方に目を向けました。
さらに、見てもらいたいのが、1人当たりのGDPランキング、つまり1人あたりの個人がどれくらい金を持っているのか、みたいなものですが、日本は世界で見ると24位なのですけれども、当社ががんばっている香港は15位なのですね。ですので、香港の方は富裕層が多い、という考え方で間違っていないと思います。アジア諸国でいうと、香港とシンガポールが入っていますが、その2カ国は日本よりも金持ちが多い国だと、つまりは日本よりも物が売れやすいということが仮説立てられます。
第3部:具体的な事業展開
では、次に門間屋がどのような海外事業展開をしたかという、門間屋の挑戦ストーリーをお話します。
まずは海外における諸条件ですが、赤道および日付変更線について考えることが必要です。アメリカは日付が違う上に時差も13~16時間あります。そして、ヨーロッパも時差が7~9時間あります。そして、ヨーロッパを目指すのには、赤道があります。これ、船便で大体物は運ぶことを考えると、赤道を2回通通過することになります。コンテナがどこで積まれるのかにもよりますが、商品が傷みやすいのですね。ですので、物流コストも商品が傷む可能性もヨーロッパは高くなります。
一方で、アジア諸国は時差が1~2時間程度、そして赤道もほぼ通過しませんし、距離も近いので物流コストも安い。そして、欧米に比べると、日本に対して親近感を持ってくれる方が多いですし、日本人が欧米に憧れるようにアジア諸国の方々っていうのは比較的日本に対してプラスの印象で憧れのようなものを持ってくださるので、非常にやりやすいです。ですので、物流コスト、国民性、言ってしまえばマネジメントのしやすさも含めてアジア諸国がまずは海外展開するのにはやりやすいのではないかと思っております。ですので、うちはアジア諸国を中心に海外展開をしております。
では具体的にどういったステップを踏んだのかですが、まず香港での事業展開です。
個社での香港初進出は2015年3月です。香港の中心地セントラルのPMQというところにあった、グッドデザインストアのギャラ
リーを借りて展示しました。ここで、たまたま香港のSOGOのバイヤーさんと知り合うことができました。
それがきっかけで香港のSOGOでポップアップがやれることになれました。ただ名刺交換したらポップアップができるかというとそういうわけではなく、名刺交換した後にこちらの方からアポイントを取ってプレゼンをしてポップアップをやらせてくれないかという話をして、ようやくポップアップの機会をいただきました。
2015年6月に香港のショッピング街であるコーズウェベイのSOGOでした。名前はSOGOですが、運営会社も日本の会社ではなく香港のローカルの会社でした。
そしてポップアップを実施しました。最初はエスカレーター脇の狭いスペースで「とりあえずお前らやってみろ」みたいな感じで、やらせていただきましたが、本当に頑張って私も本当にベタ付きで通訳も雇い必死に売りました。そして、これだけ売れたから次回もやらせてくれと営業をして、それを繰り返して、最終的にはちょっとずつ成果を認められました。5回目には、エスカレーター脇から売り場の真ん中にある、プロモーションエリアという広いスペース、3坪くらいある場所を与えられて箪笥だけでなく家具全般含めてある程度の展示ができるようになりました。そして、ここで実績を出した結果として、その後プロモーションエリアの裏側にある5坪の長期のポップアップエリアを与えられて2017年から常設展示をすることになりました。
結果さえ出せば、やらせてくれますけれども、結果が逆に出なければもう次はないというのが海外のビジネスです。そして物流コストもかかりますし、お金は結構かかります。なので、ある程度余裕があるうちに海外はチャレンジした方が良いかなと私は思っています。
その他は、ロサンゼルスの日系のスーパーなんかでもポップアップショップを2回実施したり、そしてシンガポールの高島屋でも1回、台湾のTSUTAYABOOKSTOREなど結構いろんな国でポップアップをしました。このシンガポール高島屋にしても、台湾TSUTAYAにしても、本当にわずかなご縁をたどって売り場を獲得したり、日本展のような催事に出て、結果を出すと次の商談に繋がります。また、客層をみることも重要です。自社のターゲットに合った客層が来ているのかということをシビアに見極める必要があるかなと思っております。そのためにも、今は難しいかもしれませんが、現地に行くことというのは極めて重要です。そして現地に行って、近しい製品がどれくらいの価格帯で売られているのかというのは絶対にチェックしないといけないことだと思っております。
話を香港に戻しますと、香港はプロモーションエリアで4年経っている今でもまだ売れ続けているというのもあるのですけど、結果を出し続けているので、継続しています。さらにですね、思った以上に売れたというのもあって、先ほどの短期のPOP UPエリア、常設の裏手にあるプロモーションエリアのところも、うちの通常のエリアで商品が置ききれないということもあり、年数回機会をもらって、企画展なんかをやらせてもらえています。
ただ、非常に残念だったのは、周りがマットレスの売り場なのですね。なので、うちだけ製品としては浮いてしまっていて、世界観みたいなものを出すことはここではすごく難しかったり、百貨店都合でセールがあったり、運営上こちらにも必ずしもプラスではないこともあったりしました。
ですので、2021年に香港の高級インテリア&高級住宅街であるハッピーバレーに、自社店舗の路面店をオープンさせました。
香港の中でも高級住宅街にあり、店舗を出しているSOGOからも徒歩15分のところにあり、相乗効果を出せる立地で、お客さんの数は百貨店ほどではないですが、非常に客層が良く、今後が期待できます。
ここは特に世界観が出せるということもあり、自社の商品だけではなく、
おもてなしセレクションと協業していて、ハッピーバレーのお店で、金属のオブジェや、酒器・ワインクーラー・漆器など、おもてなしセレクションの受賞事業者4社さんの商品を売り場に置いています。
まだオープンして2カ月弱ですので、実績としてはそこまで出ていませんけれども、今後は非常に期待ができると思っております。
ちなみに、当社が海外でどうだったかというと、2018年と2019年の比較ですが、この1年で店舗を出したこともあり、海外シェアが急激に伸びました。2019年では7割が海外シェアとなりました。
この翌年以降はコロナもあり、かなり厳しい数字にはなったのですが、今期はおそらく2019年の水準、もしくはそれ以上になるのかなと見ています。
弊社の海外展開のスキームです。作り手からエンドユーザーまで通常の一般的な経路ですと、見本市・商社・バイヤーと、たくさん通すのですが、当社は直営でやるというのもあって、エンドユーザーの生の声を的確に拾えて、それを作り手にフィードバックできる仕組みがあります。
やはり、双方向性がないとチューニングができないのです。バイヤーは売れる商品だけを扱っていれば良いので、売れない商品はフィードバックもなしに扱わなくなるだけです。ですので、生の声無しにいきなり海外展開で商品をブラッシュアップしていくのは不可能です。言葉ができて現地に行ければ別ですが、今の状況下でそれは不可能なので、間に信用ができる、ちゃんと言葉ができる人を通して、このようなエンドユーザーとの双方向のやりとりがある状況を作らないと、やはり海外展開はうまくいかないと思います。
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この他にも、海外展開に門間箪笥店がこだわっていることや今後の展望について、また、セミナー参加者から事前にいただいた質問にも丁寧にお答えいただき、アンケートの結果を見ても、参加者の皆様の満足度も高いセミナーとなりました。
全文はこちら
https://omotenashinippon.jp/prize/news/26124/
■受賞後の販路支援企画について
おもてなしセレクションでは、本セミナーでも話題にあがったシンガポールでの受賞商品展示会の開催など、受賞事業者限定で参加できる商品展示企画や、ブランドの認知拡大や販路拡大につながる施策・イベントを年間を通じて実施し、受賞事業者の受賞後のサポートを行っています。
※販路支援企画の例※
・2020年4月~|シンガポールでおもてなしセレクション受賞商品展示
東日本旅客鉄道株式会社がシンガポールに開設したコワーキングスペース「One&Co」で、2020年4月よりおもてなしセレクション受賞商品の展示を行っています。展示は、半年ごとに入れ替えています。
https://omotenashinippon.jp/prize/news/14602/
・その他、催事・イベントの実績https://omotenashinippon.jp/prize/topics/events/
・ECサイトやオンライン施策の実績https://omotenashinippon.jp/prize/topics/ec/
■今期のおもてなしセレクションは2022年2月22日までエントリー募集中!
おもてなしセレクション2022年度第1期のエントリーは、2月22日(火)までです。貴社商品のご応募を心からお待ちしております。
・募集要項など詳細https://omotenashinippon.jp/prize/lp2022_1/
・エントリーはこちらからhttps://form.run/@oms2022
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