ユニクロの実質9%値下げを受け、フルカイテン瀬川が「価格競争」について緊急提言
縮小市場における在庫ビジネスは「付加価値競争」を
最少の在庫で売上・粗利・キャッシュフローを最大化する在庫DXクラウドサービス『FULL KAITEN』を開発し小売業・卸売業向けに提供するフルカイテン株式会社(本社・大阪市福島区、代表取締役・瀬川直寛)は、株式会社ファーストリテイリングが「ユニクロ」と「ジーユー」で本年3月12日から実施している実質9%値下げを受け、代表・瀬川名で提言をまとめましたので、ここに公表いたします。
本提言は、2020年夏以降に小売業界で大手企業による値下げの動きが相次ぐなか、縮小市場である国内小売市場における価格競争と、大手以外の大多数の小売企業が採るべき「付加価値競争」について考察するものです。
本提言は、2020年夏以降に小売業界で大手企業による値下げの動きが相次ぐなか、縮小市場である国内小売市場における価格競争と、大手以外の大多数の小売企業が採るべき「付加価値競争」について考察するものです。
- 税抜き価格をそのまま税込み価格に“据え置き”
当広告には「毎日の生活に寄り添った服であること。毎日の生活になくてはならない服であること。ユニクロはこれからも、LifeWearをお届けしていきます」というメッセージが記されています。
- 提言:価格競争ではなく付加価値競争を
コロナ禍の影響はまだまだ続いていますが、人口動態からして日本の小売市場は今後、長期間にわたり需要の消失が明らかです。2019年一年間で50万人の人口が減りました。2025年からは約50年にわたって毎年100万人前後の人口が減っていくことが明らかになっています(人口動態は合計特殊出生率のような大きく変動しにくい数値で長期の変化を予測するので、様々な統計の中で最も信頼できるものの1つとされています)。
つまり、2025年を転機に起こる人口減少による需要消失という環境下ではコロナ禍で起きたのと同じ事が起こるということです。そうした縮小市場で惹起されるのが、顧客の奪い合いによる過度な価格競争です。
実際、価格競争は既に始まっています。2020年夏以降、ギャップジャパンや良品計画が定価を下げたほか、ジーユーが21年春夏物を最大3割値下げしています。アパレル以外でも西友やイオンリテールなどが日用品等を中心に値下げに動きました。
そして、株式時価総額がアパレルで世界一となったファーストリテイリングがメインブランド「ユニクロ」で値下げを断行するに至りました。
大手企業ほど店舗網が大きいため固定費負担が重く、値下げによって集客数を確保しなければ固定費をカバーするだけの売上を賄えないという事情があります。一方で、資本力で優位な大企業ほど値下げ余力があるのも事実でしょう。このため消費者の生活防衛意識に合わせて値下げを実行することで、客の奪い合いを制しようとしているとみられます。
ただ、小売業界を支える大多数の中堅・中小の会社が大資本の会社に価格競争を挑んでも勝ち目がないのは明白です。ここでポイントとなるのが、「粗利」を追うことです。いたずらに売上規模を追わなくても粗利を増やすことは可能だからです。
縮小市場では、従来のように売上規模を追うと価格競争に巻き込まれて利益を失います。2021年は、「粗利第一」の経営へビジネスモデルを転換する潮目の一年になるといえるでしょう。
- 縮小市場だからこそ商品・売り場・人材に投資を
コロナ禍の下、特にアパレル産業では各社とも仕入れを抑制して在庫を減らすとともに、在庫の現金化、店舗統廃合等による固定費削減に取り組んできました。しかし、在庫を半減させたからといって営業利益が2倍になるわけでもなく、在庫が減った分だけ売上は減りますから、従来と同じビジネスモデルを続けていては在庫の減少は事業縮小につながるだけです。「売り方の質」が変わっていないので当然と言えば当然であり、下手をするとキャッシュフローが回らずに経営危機に陥ります。
大事なことは、少ない量の在庫で売上・粗利・キャッシュフローを最大化させるために「売り方の質」を改善することであり、増加したキャッシュを原資として商品の付加価値向上に取り組むことだと考えます。
こうした付加価値競争へ舵を切ることが、大手小売が仕掛ける価格競争に巻き込まれないためには必須となるのです。
「付加価値競争」と言うと聞き慣れないかもしれませんが、要は小売業の顧客接点となる商品、売り場(実店舗・ECサイト)、販売スタッフの3要素を起点にしていかに消費者へ体験価値を提供できるかを競うということです。
付加価値を生むためには、商品原価への投資と売り場改善に向けた投資、それから販売スタッフへの投資(人材教育、待遇改善)が必要になります。ここで私は敢えて「投資」という言葉を使いました。つまり商品原価などを今より上げようという意味です。
確かに商品原価も売り場改装費も、人件費も教育費もPL(損益計算書)上は全てコストです。コストは抑える方が良いという考え方は決して間違いではありませんが、これらをコストとしか見なさない考え方では、付加価値競争時代を勝ち抜くことは難しいと思います。
考え方をPL脳からBS(貸借対照表)脳に切り替え、現金を何に投資することで価値を最大化させるという考え方に切り替えなければ付加価値競争時代を勝ち抜くことはできないのです。
そして、投資の唯一の原資となるのは売上規模ではなく粗利です。
ここでぜひ認識していただきたいのは、粗利は商品原価だけで決まるわけではないということです。大量生産によって商品原価を下げても、在庫過多による値引き販売や評価減(棚卸資産評価損)で粗利は容赦なく減少してしまいます。前述したようにむしろ商品原価には投資をして商品の付加価値を上げ、値引きや評価減を抑制することで粗利を増やすビジネスモデルが、価格競争に巻き込まれないためには必須なのです。
ファーストリテイリングによる今般の実質値下げをきっかけとして、多くの企業経営者にビジネスモデル変革の潮目の真っただ中に自身がいることに気付いていただくとともに、ビジネスモデル変革のタイムリミットは人口減少が加速する2025年辺りになることを是非とも認識していただきたいと思っています。
【会社概要】
社名: フルカイテン株式会社
URL: https://full-kaiten.com
事業内容: 最少の在庫で売上・粗利・キャッシュフローを最大化する在庫DXクラウドシステムの開発
本社: 大阪市福島区福島1-4-4 セントラル70 2階B
設立: 2012年5月7日
代表者: 代表取締役 瀬川直寛
従業員数: 21名
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