時代を超え、遠い憧憬を呼びさます泉鏡花の傑作短篇、初の画本化!
『絵本の春』(泉鏡花 著 / 金井田英津子 画)が6月11日に朝日出版社より刊行されます。
年間約2万人、開館以来これまで約40万人が訪れた泉鏡花記念館(金沢)で開催されている「泉鏡花×金井田英津子『絵本の春』原画展」の公式画本『絵本の春』が、朝日出版社より6月11日(木)に、全国書店・ネット書店で発売されます。
『絵本の春』は、画家である金井田英津子氏がアート・ディレクションと挿絵を、高林昭太氏が装幀を手掛け、漆黒をベースにした質感のある美しいデザインの本に仕上がっています。
澁澤龍彦をして、「鏡花の自我の奥底にひそむドラマの構造が、私の目にありありと映り、その超現実的な言語体験を私もまた痛切に共有し得るという、芸術作品の秘密は何であろうか。」と言わしめた、鏡花の世界が、金井田英津子氏のスクラッチによる超絶技法画によって異界を覗く愉悦と甘美な慄きが見事に描かれています。
金井田氏は本書の「あとがき」で次のように述べています。
「この度、長年の夢だった鏡花作品を画本にする機会を得たとき、
迷いなく『絵本の春』を描こうと決めました。
流れるような言葉の美しさと夢幻的な雰囲気に魅了されつつ、
名文家の文章が喚起するものにひたすら向き合い
悩んだ日々。今になってみると苦しくはあってもどこか楽しく、
懐かしい故郷への道を辿るようなものであったと感じます。
こちらが覗けば向こうからも、というわけで魔の小路を覗いた
少年は美しいあやかしに微かな毒意を秘めたいたずらをされます。
鏡花の少年は常に無垢で純粋な魂の標号のような存在ですが、
それが無惨なもの悪意あるものと対置されるとき、私にはちょうど
手で作った窓のような装置となって束の間の幻想を見せてくれるように
思われました。
逢魔が刻に顕界と異界が混じりあう・・・鏡花のアルカディアは
時代と世代を超えて私たちの遠い憧憬を呼び覚まさずには置きません。
この味わい深い名品を一人でも多くの方に再び注目して頂けたら幸いです。」
「泉鏡花×金井田英津子『絵本の春』原画展」は、泉鏡花記念館で、11月8日(日)まで開催されています。本書の原画29点を堪能したい方はぜひ、一度足を運んでください。
https://www.kanazawa-museum.jp/kyoka/exhibit/index.html
◎判 型: A5判変型 /上製
◎頁 数:64頁/ 5色
◎定 価:本体2,100円+税
◎刊 行:2020年6月11日
https://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255011868/?uiaid=prt
◎著者プロフィール
金井田英津子(かないだえつこ) 画家、版画家、装幀家。群馬県桐生市生まれ。
個展、国際版画展などで版画作品を発表するかたわら、愛好する近代日本の文学作品を画本にしている。
画本の作品として、萩原朔太郎著「猫町」、内田百閒著「冥途」、夏目漱石著「夢十夜」、井伏鱒二著「画本 厄除詩集」。
装幀挿画の作品として、長谷川摂子著「人形の旅立ち」、北村恵理著「ハコの牧場」、斎藤惇夫著「哲夫の春休み」「河童のユウタの冒険」、など。
絵本の作品として、小澤俊夫再話「三まいのおふだ」「ねずみのよめいり」「とら猫とおしょうさん」「仙人のおしえ」「うらしまたろう」、など。
2004年、「人形の旅立ち」で、第18回赤い鳥さし絵賞、第38回蔵本装幀コンクール審査員奨励賞受賞。
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