日本の国際協力NGOのモデルチェンジ・寄付基盤強化を提言
オンラインイベント「国際協力NGO×ファンドレイジング~報告書を活かす!これからの組織の作戦会議」を11/26(水)に開催
認定特定非営利活動法人 日本ファンドレイジング協会(代表理事:鵜尾雅隆、以下「当協会」)は、外務省より「令和6年度 NGO研究会」における調査研究業務の委託を受け、「新しい開発協力大綱を踏まえた国際協力NGOのファンドレイジング力の強化と、国際協力NGOを取り巻くエコシステムの拡大戦略」に関する報告書を取りまとめました。
報告書公開リンク:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/files/100876250.pdf
また、報告書作成プロセスにおける議論の積み重ねを礎に、報告書を各組織で活かしていただくためのオンラインイベントを2025/11/26(水)19:00より開催することを決定しました。国際協力NGOで、これからの組織づくり・資金調達をどう考えていくかを、報告書をヒントに語り合い、団体の”次の一歩”を一緒に考えます。
イベント概要:https://jfra.jp/event/58230
役割の再評価とモデルチェンジ
本報告書では、かつてない規模の人道危機や社会問題に対峙する日本の国際協力NGOが、どのような方向性でモデルチェンジし得るのか(「①16の貢献領域」)を整理しました。さらに、特に何を強化すべきか(「②7の基盤強化領域」)、そしてこれらを総合的に勘案したうえで、優先的に活性化すべきエコシステムとは何か(「③12のエコシステム活性化領域」)についても示しています。

日本では現在700団体以上が国際協力活動に取り組んでいるといわれ、それぞれが時代の変遷とともにその使命と手法を進化させてきました。迅速な人道支援、災害対応、貧困削減、人権擁護、医療支援、政策提言などを世界各地で行い、「人間の尊厳を守る最前線」に立ち続けています。日本の国際協力NGOをとりまく環境が厳しさを増している中、今こそ、彼らが果たしてきた役割の再評価が必要とされています。
そこで、本報告書「2-2. 国際協力NGOの貢献領域」では、急速かつ複雑に変化する日本社会を背景に、国際協力NGOがこれから担うべき役割を多角的に検討しました。気候変動や人口減少、地域の共助力の低下といった課題に直面する中、従来型の“日本の資金力”を源泉とするモデルでは、活動の現場で持続的に価値創出することが難しくなっています。そのため、経営・組織を変化に適応させ、新しい形で社会的インパクトを生み出していくモデルが注目されます。

具体的な例として、現地住民とともに課題解決を共創する「グラスルーツ・アクティビスト」、現地組織を支える「グラスルーツ・ファウンダー」、さらにはインパクト投資や多主体連携を通じて社会変革を推進する「インパクトパートナー」など、国際協力の現場における新たな可能性を提示しています。また、日本国内での貢献領域として、海外で培った知見を地域課題に還元する「リバース・イノベーター」や、多文化共生を推進する「多文化コーディネーター」、個人の生きがいを支える「ウェルビーイング・クリエイター」といった役割が紹介されています。
さらに、資金調達や制度づくり、規範形成の面でも、創造的な慈善環境をつくる「フィランソロピー・イノベーター」、海外知見を社会に伝える「ローカルエキスパート」、国際的なルール形成に関与する「グローバル・ルールメイカー」など、国境を越えて活動するNGOならではの貢献領域を展望しています。多様性と柔軟性を強みとするNGOの存在は、不確実な時代において新たな解決策を生み出す創造性の源泉です。
この16の分野はあくまでも出発点であり、社会の変化とともに常に更新されていくことが期待されています。
本報告書の構成
本調査では、国際協力NGOを取り巻くエコシステム全体の強化や、モデルチェンジの方向性まで踏み込んだ点に大きな特長があります。全体の要約である第二章からご覧いただき、その後、関心のあるテーマに進んでお読みください。

報告書構成
第一章:研究会概要
1-1. テーマ
1-2. 活動概要
1-3. 実施体制
1-4. 問い合わせ先
第二章:国際協力NGOのモデルチェンジ方向性
2-1. 国際協力NGOの歴史
2-2. 国際協力NGOの貢献領域
2-3. 国際協力NGOの基盤強化領域
2-4. 国際協力NGOのエコシステム活性化領域
第三章:国際協力NGOのためのファンドレイジング・シンポジウム
3-1. シンポジウム概要
3-2. 日本のNGOが持つポテンシャルと果たす役割(青木 健太/井川 定一/五十嵐 豪/鵜尾 雅隆/大西 冬馬/鈴木 亜香里/田代 美智華/永井 温子/門田 瑠衣子)
第四章:国際協力NGOのためのファンドレイジング研修
4-1. 研修概要
4-2. 忘れられた危機の現状~支援の温度差~(五十嵐 豪)
4-3. 寄付先からパートナーとしてのNGOへ:国際協力NGOはどう見られているか。JPF認知度サーベイより(高杉 記子)
4-4. 日本の国際協力NGOセクターの財務傾向(井川 定一)
4-5. NGOのこれから(大西 健丞)
4-6. 国際協力NGOを取り巻く助成金動向概要(井川 定一)
4-7. 個人、財団、中間支援組織による革新的な資金提供(小堀 悠/澤目 梢/岨中 健太)
4-8. 申請書を書くときに見落としがちな注意点ベスト3(井川 定一/番野 智行/武藤 良太)
4-9. 国際協力NGOに求められる倫理(五十嵐 豪)
4-10. 福祉分野のファンドレイジングの広報における倫理観(久津摩 和弘)
4-11. プラットフォーム経営者と考える「プラットフォーム×国際協力NGO」(小谷 菜美/田中 辰也)
4-12. プレスリリースアワード2024責任者と考える「プレスリリース×国際協力NGO」
(松本 英里香)
4-13. 遺贈寄付専門家と考える「遺贈寄付×国際協力NGO」(齋藤 弘道)
4-14. 一人一人との向き合い方~一人ひとりの寄付がNGOを支える(大西 冬馬)
4-15. どうしたら自分の寄付が有効だと感じてもらえるのか:寄付のエフィカシーの研究(會澤 裕貴)
4-16. ファンドレイジングをする上で「共感」以外に必要な要素とは
(會澤 裕貴/大西 冬馬 /鈴木 亜香里/細貝 朋央)
4-17. 社会的投資スペクトラム~「インパクト投資」から「寄付」まで(鈴木 栄)
4-18. NPOでのNFT、DAOの活用事例(門田 瑠衣子)
4-19. インパクトファイナンス(岡本 拓也)
4-20. エンドゲームを考える(青木 健太/木内 真理子/中野 貴行)
4-21. 日本におけるプロボノの現状と国際協力NGO①(岡本 祥公子)
4-22. 日本におけるプロボノの現状と国際協力NGO②(小國 泰弘)
4-23. 国際協力NGOを取り巻く労働市場の現状・傾向①(腰塚 志乃)
4-24. 国際協力NGOを取り巻く労働市場の現状・傾向②(高藤 悠子)
4-25. 「遠く」を「近く」に(玉懸 光枝)
公開情報

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報告書名: |
令和6年度 外務省NGO研究会 報告書 |
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発行: |
2025年7月 |
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委託元: |
外務省国際協力局NGO協力推進室 |
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実施団体: |
認定NPO法人 日本ファンドレイジング協会 |
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公開URL: |
オンラインイベント「国際協力NGO×ファンドレイジング~報告書を活かす!これからの組織の作戦会議」を2025年11月26日に開催!
外務省NGO研究会には、国際協力NGOの現場リーダーをはじめ、ファンドレイジングや広報の専門家、助成やインパクト投資に携わる資金提供者など、幅広い分野の方々が参加し、議論を重ねてきました。
この度、これまでの議論の積み重ねを礎に、国際協力NGOとファンドレイジングのこれからを多様な立場の方々と考える“さらなる出発点”の場として、国際協力NGOスタッフのコミュニティ「Nピボ」とともにオンラインイベントを開催します。
開催概要
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日時:2025/11/26(水)19:00~20:30
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開催形式:オンライン
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参加費:無料
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ポイントの取得:認定・准認定ファンドレイザー資格の受験・更新のために必要な研修ポイント(1ポイント)が取得可能。
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当協会・Nピボ(https://n-pivo.jp/)の共同主催
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詳細・お申込:https://jfra.jp/event/58230

【本件に関するお問合せ先】
認定特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会
広報担当:事務局次長 宮下真美
メールアドレス:pr@jfra.jp
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- 国際情報・国際サービスボランティア
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