NPO法人クリーンオーシャンアンサンブル、2024年度パタゴニア日本支社環境助成金に採択されました
海洋ごみ問題の解決に取り組むNPO法人クリーンオーシャンアンサンブル(香川県小豆郡小豆島町、代表理事:江川裕基)は、アウトドア企業パタゴニア日本支社の「パタゴニア環境助成金プログラム」
2024年度助成団体に選ばれました。

本助成金は、2025年4月1日から2026年3月31日までを主な活動対象期間とし、河川ごみの海洋流出防止に向けたプロジェクトに活用されます。
今回は3年連続の採択となり、これまで培ってきた自然エネルギー(潮流や風力)を利用した海洋・河川ごみの回収技術やデータ可視化プラットフォーム「海洋ごみMAP」をさらに進化させます。
また、漁業者や行政、地元企業といった外部ステークホルダーとの協力体制を強化し、地域に根ざした「香川モデル」の確立とモデルの世界展開を視野に入れた取り組みを加速させます。
最終的には「海洋ごみゼロ」という根本的な目標の実現に向け、次のステップへ踏み出します。
背景
現在、海洋には約1億5千万トンのプラスチックごみが蓄積し、毎年約800万トンが新たに海へ流入しています。
2050年には海中のプラスチック総量が魚の総重量を上回る可能性が示唆され、海洋生態系や漁業・観光業へ大きな影響が懸念されています。
一方、海に漂うごみを回収する方法はまだ確立途上です。
漂着地が崖の下などアクセス困難な地域も多く、ボランティアによるビーチクリーンだけでは広範囲に拡散したごみをカバーしきれません。
こうした状況の中で、ごみが河川を経由して海へ流れ出る前に抑止する仕組みや、潮流・風力などの自然エネルギーで回収する技術が求められています。

パタゴニア環境助成金プログラムについて
パタゴニアは「故郷である地球を救うためにビジネスを営む。」をミッションに掲げています。パタゴニア環境助成金プログラムでは毎年の売上の1%を世界中の草の根環境保護団体に助成しており、1985年の開始以来、総額2億5千万ドル以上の寄付実績があります。環境問題の根本原因に取り組む姿勢を重視し、市民基盤のある団体を中心に助成を行っています。
※パタゴニア環境助成プログラムリンク:https://www.patagonia.jp/how-we-fund/

助成金の目的と活用計画
今回の助成プロジェクトは、「自然エネルギーを利用した海洋・河川ごみ回収・調査と外部協力体制の構築」をテーマに掲げ、以下の取り組みに注力します。
クリーンオーシャンアンサンブルは瀬戸内海を拠点に、潮流や風力を活用した回収装置の開発や、回収データを「見える化」する海洋ごみMAPの運用を軸に活動してきました。
今回の助成金により、自然エネルギーを利用した海洋・河川ごみ回収をさらに実証・拡大し、世界的な課題解決モデルとして確立することを目指します。
河川回収装置「kawasemi 001」の継続運用と改良
香川県高松市の詰田川などで稼働中の河川回収装置「kawasemi 001」を継続運用し、季節や水量、天候変化による回収量の変動を測定・分析。
年間100kgの回収を目標とし、動力を使わない省エネルギー型回収装置モデルの実用化を目指します。

海洋ごみMAPの拡充によるデータ収集と可視化
独自開発の「海洋ごみMAP」では、ごみ回収時の写真や位置情報、回収場所・種類・
重量といったデータを共有・蓄積します。
より簡単な手法での回収データ取得を目指してユーザビリティを向上させ、AI・気象データとの連携を図ることで、調査機能を強化します。
これにより回収効果の定量化やホットスポット分析を行い、行政や企業への政策提言の基礎資料とします。

調査・発信スキームの強化と組織力向上
現場で得たデータをもとに年3回の論文・コラム発信や学会発表、学術賞等への挑戦を行います。
これらの成果は協力者や支援者を増やす材料となり、産学官民を巻き込んだ連携体制を強化する狙いがあります。
さらに、寄付や助成金・協賛金の獲得、事業収益の確保を通じて、回収・調査を担う人材を有給スタッフとして雇用し、より持続可能な組織運営を実現していきます。
過去の実績
クリーンオーシャンアンサンブルは2020年12月の設立以来、小豆島周辺を中心に58回のビーチクリーンと、漁業者や大学、地元企業と協働した10回の回収装置実証実験を実施し、合計約2097.68kgの海洋・河川ごみを回収してきました。(2025年2月末時点予定)
また、回収した海洋ごみの一部(470.73kg)はリサイクル企業との連携で再利用・再資源化を実現し、海洋ごみMAP上に851件の回収データを蓄積しています。(2025年2月末時点予定)
こうした実績や協働モデルが評価され、瀬戸内海研究会議2023in山口 最優秀賞や、PR TIMESプレスリリースアワードBest101、始動 Next Innovator 2023 シリコンバレー選抜など、
多数の賞やコンペで高い評価を得ています。
今後も引き続き潮流を利用した海上回収装置の検証を行うとともに、河川回収装置の改良を進め、
回収困難箇所での対策を強化していく計画です。
期待される効果
本助成によって、クリーンオーシャンアンサンブルは以下の効果を見込みます。
回収量とデータの飛躍的増加
河川・海域双方での継続的なごみ回収により、年間100kg以上の河川ごみ回収をはじめとする総回収量増加と、1万件の新規データ取得を目指し、科学的根拠に基づく効果測定や対策立案が可能となります。
世界への横展開に向けた香川モデルの確立
自然エネルギーを活用し、漁業者や行政との協働で実装しやすい低コスト型回収装置を開発・標準化。今後3年ほどで2カ国以上への展開を見据え、世界の回収協力者と協働し、長期目標である年間170万トン以上といわれる海洋流出ごみに対抗できる回収規模を目指します。
データドリブンな課題解決の加速
海洋ごみMAPを通じた定量的な見える化により、行政や企業、研究機関といったステークホルダーが連携しやすくなり、政策提言や資金調達を含むさまざまな協働が広がります。
組織体制の強化と持続可能なインパクト創出
助成金や新たな資金源を活用し、有給スタッフの雇用やプロボノ・ボランティアとの協働を拡大。多様な人材が活躍できる基盤を整え、「海洋ごみゼロ」を視野に活動を加速します。
関係者のコメント

代表理事:江川裕基のコメント
この度、パタゴニア様の環境助成金に3年連続で採択いただき、大変光栄に思います。
同時に、継続的なご支援に心より感謝申し上げます。
私たちはこれまで海洋ごみ問題の解決に向けて試行錯誤を続けてきましたが、まだ道半ばです。
今回の助成を原動力に、潮流や風力等を利用した回収装置のさらなる改良やデータを活用した調査・発信を強化し、他のエリアでも活用できるモデルとして世界と連携できる仕組みを築いていきたいと思います。
Clean Ocean Ensembleの活動は、多くの方々のご支援・ご参加によって支えられています。海洋ごみゼロを目指す本取り組みに共感いただけましたら、ぜひ以下の形でのご協力をご検討ください。
寄付による支援
団体公式サイトの寄付ページより継続的なご支援を歓迎いたします。
いただいた寄付は海洋ごみMAPのアップデート、回収装置の開発・設置や清掃活動の運営費などに充当されます。
https://donation.cleanoceanensemble.com/
プロボノ・ボランティア参加
団体の拡大・運営、定期的に実施されるビーチクリーン、回収装置の設置・点検、モニタリング調査に参加できます。SNSや公式サイトで告知しておりますので、多様なバックグラウンドの方のご参加をお待ちしております。
https://peatix.com/group/12922636
SNSでの情報拡散
Twitter(X)・Facebook・InstagramなどでClean Ocean Ensembleをフォローし、活動情報をシェアしてください。海洋ごみ問題への関心を高めることは大きなサポートとなります。
https://lit.link/cleanoceanensemble
皆様の小さなアクションが、世界を変える大きな第一歩です。ともに海をきれいにし、未来の世代へとバトンを渡しましょう。
団体概要
団体名: 特定非営利活動法人クリーンオーシャンアンサンブル(NGO Clean Ocean Ensemble)
所在地: 〒761-4425 香川県小豆郡小豆島町坂手甲985番地
設立: 2020年12月10日
代表理事: 江川 裕基
活動内容: 海洋ごみ回収装置の開発・運用、海洋ごみデータの記録・可視化、環境教育事業 ほか
URL: https://cleanoceanensemble.com
お問い合わせ先
NPO法人クリーンオーシャンアンサンブル(広報担当: 北川、江川)
TEL: 070-8360-9815 E-mail: info@cleanoceanensemble.com

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